14日付ルモンド紙は、ベナンのジャーナリストであるフランシス・ラルポ(Francis Laloupo)へのインタビューを掲載している。アフリカ人知識人の民主主義に対する見解として興味深いので、紹介する。
フランスで極右政党の候補者が2回続けて大統領選挙の決選投票に進出したこと、あるいはドナルド・トランプの言動や支持者の行動に見られるように、ポピュリズムは欧米で勢いを増している。一方、この現象は欧米にとどまらずアフリカにも強く影響しており、例えば、反フランス意識の盛り上がりという形で現れている。フランスにおけるルペンやゼムールの言動を見て、人々はマリ政府要人のナショナリスティックな振る舞いや反仏演説を正当化している。
アフリカのポピュリズムは、新しい現象ではない。かつてのムガベもポピュリズムに支えられた政治家だった。しかし、近年の特筆すべき現象は、伝統的な政党が崩壊したところにポピュリズムが現れていることだ。マリ、ブルキナファソ、ギニアで起こったクーデタは、歴史的な政党政治への不信から起こっている。
ポピュリストが発するメッセージには共通点が多い。彼らは内外の敵を攻撃する。うちにあってはこれまで民衆を貧困のままにとどめてきたエリート層を、外にあっては植民地経験を押しつけたフランスをやり玉に挙げる。とはいえ、実行可能な解決策を提示するわけではない。SNSを使った陰謀説の流布は、彼らの重要な手法である。欧米はアフリカ人を絶滅させようとしているといった情報が流されている。
新興国の民主主義は脆弱だが、それは西側先進国の民主主義の運命と結びついている。西側で台頭するポピュリズムは、アフリカでもポピュリズムや権威主義を正当化し、民主主義を弱めている。
総じて重要な指摘である。政治現象の国境を越えた共振や政治手法のグローバル化が進行していることを強く感じる。