アフリカで最も影響力のあるペンテコステ・カリスマ系教会の一つ、ナイジェリアに本拠地があるシナゴーグ・チャーチ・オブ・オールネイションズ(SCOAN)の後を、指導者の妻であったエブリン・ジョシュア氏が引き継ぐことになったことが報じられている(BBC 11月22日)。SCOANのカリスマ指導者T.B.ジョシュア氏が今年の6月、57歳という若さで亡くなったため(BBC 6月6日)、教会では数ヶ月にわたる後継者争いが起こっていた。
T.B.ジョシュア氏率いるSCOANは、奇跡や予言などのパフォーマンスで知られ、90年代から急成長した。毎週の数万人規模の礼拝だけではなく、独自の衛生テレビ番組やYouTube番組における礼拝で世界的に影響を広げていた(YouTubeアカウント停止については今日のアフリカ4月17日)。
ナイジェリアの主流のキリスト教組織からは「カルトである」などとして認められてこなかったが、アフリカにおける政治家や有名人への影響力は強く、ガーナの元大統領ジョン・アッタ・ミルズや、リベリア現大統領ジョージ・ウェア、ナイジェリアの元大統領グッドラック・ジョナサン、タンザニアの元大統領の故ジョン・マグフリなどが、彼に様々な問題を相談しに来ていたとされる。またラゴスのSCOANの拠点は宗教ツーリズムの一大目的地ともなっており、アフリカ内外からの訪問者は毎週15000人ほどに上っていた(The Guardian 9月9日)。周辺にはホテルや商業施設、銀行などが建設され、教会は町の大きな産業であるだけではなく、ナイジェリアの観光業の主要な担い手でもあったといえる。
カリスマ的指導者亡き後、巨大に成長した教会がどのような展開を見せるのか。SCOANの今後の動向は、80年代以降アフリカで急成長を見せた、カリスマ指導者に頼るペンテコステ・カリスマ系教会の将来を考えるときの一つのメルクマークとなるだろう。