• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

エチオピア、ティグライ州の状況悪化

2021/06/26/Sat

 25日、国境なき医師団(MSF)スペイン支部は、エチオピアのティグライ州で活動していた職員3名(スペイン人1名、エチオピア人2名)が殺害されたと発表した。24日午後、自動車で移動中に連絡が取れなくなり、25日朝になって、空の自動車とその周りに3名の遺体が発見された。
 6月21日、エチオピアでは、コロナ禍で長く延期されてきた国会議員選挙の投票が実施された。ティグライ州では治安悪化のため投票は先送りされたが、その前後から同州での戦闘が激化している。22日には、政府がティグライ州の州都メケレから約30キロ北西にあるトゴガ(Togoga / Togogwa)に対して、空爆を行った。この日は市が開かれており、多数の死傷者がでた。ルモンド紙は、64名の死亡、180人の負傷と報じている(25日付)。エチオピア軍は空爆の実行を認めたが、市民ではなく反乱軍を対象としたものだと説明している。EUや米国は、この空爆を激しく非難した。
 MSF職員殺害について詳細は不明だが、エチオピア外務省は、事件が紛争当事者であるTPLFが活発に活動する地域(メケレ西方約50キロのアビ・アディ)で起こったと発表している(25日付ルモンド)。昨年11月に勃発したティグライ州での武力紛争は長期化し、最近では同州で飢饉が発生しているとの報道もなされている(6月7日付ルモンド)。今回のMSF職員殺害事件も、事態の泥沼化の一端を示すものと言えよう。