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今日のアフリカ

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モザンビーク北部におけるイスラーム過激派の拡大

2021/03/31/Wed

 モザンビーク北部の町パルマがイスラーム過激派によって襲撃され、天然ガス資源が豊富なカボ・デルカド州においてイスラーム武装勢力の影響が急速に拡大していることが報じられている(Aljazeera 3月28日)。約75,000人の住民が住んでいるパルマで、先週人々や建物に対する無差別的な攻撃があり、被害はまだ正確には把握されていないが、数十人が殺害され外国のガス労働者を含む多くの人々が避難したとされる。フランスのエネルギー大手Totalは、近隣で実施している巨大なガスプロジェクトの操業を停止せざるを得ないと述べている(BBC 3月27日)。

 モザンビーク北部では2017年のイスラーム武装集団の蜂起以降、2,600人以上が殺害され、70万人近くの人々が家を追われるなど、深刻な人道的危機が引き起こされてきた。現地で「アル・シャバーブ」とも呼ばれる武装集団「アル・スンナ・ワル・ジャマー」は、ISIL(アイシル)との関係が指摘されており、月曜日にISILはパルマへの攻撃を認めている。しかし、マプトを拠点とするジャーナリストで政治評論家のフェルナンド・リマ氏は、数十億ドルの価値を持つガスプロジェクトの開発に伴う富の約束にもかかわらず、貧困と失業が蔓延しているこの地域において、主な問題となっているのは宗教的な対立ではなく社会的な不満ではないかと考察している。昨年よりこの紛争は深刻さを増し、女性や子どもの首をはねたり、誘拐されたりするなどの虐殺も報告され、早急な対策が必要とされている。