11月13日付のAljazeeraによれば、エチオピアのアビィ首相は、ティグライ州に新たな行政長官(chief executive)としてムル・ナガ博士を任命したとツィッターで発表した。ムル・ナガ博士は、アジスアベバ大学で教鞭をとった後、科学・高等教育大臣を務めていた。この発表の前日、政府は、9月のティグライ州の選挙で選出された州知事(president)であるデブラチオンTPLF議長を解任した。
国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルは、4日に始まったティグライ州における戦闘のなかで、州南西部の町で市民への虐殺が行われたと報告した。衛星画像の解析では、犠牲者は数百人にのぼるとみられている。目撃者の話によれば、この虐殺は9日に発生したとみられる。報告によれば、政府軍が州西部を攻撃した際に、TPLF支持派の軍隊が行った可能性がある。また、銃ではなく、鋭利な刃物やパンガ(山刀)が使われたとみられている。ただし、同州はいまだ通信網が遮断されており、詳細は明らかになっていない。
エチオピア政府は、このアムネスティの報告に言及しつつ、TPLFを激しく批判し、TPLFの議長とリーダーに対する逮捕令状を発行したと発表した。一方のTPLFは、この報告に根拠がないとして否定している。
ティグライ州からスーダン東部に流入する難民は増加している。国連は、4日の戦闘開始以来、エチオピア難民が11,000人に達したと発表し、さらに、2万人が国境を越えるだろうと予測している。また、ティグライ州内にはかなりの国内避難民が出ているとみられているが、同州に入ることは許可されておらず、支援活動が難しい状況にある。この状況に対し、スーダンのハムドゥク首相は、エチオピア政府とTPLF双方に即時停戦を求めている。
ティグライ州における政府軍とTPLFとの戦闘はすぐには終結しない可能性が出てきている。紛争の長期化によって、市民にさらなる犠牲が出ることが危惧される。