将来の民政移管に向けた動きが進展するスーダンで、8月19日、バシール・スーダン前大統領の収賄罪を問う公判が開催された。バシール失脚後に行われた家宅捜査により、邸宅から大量の外貨が発見されたことから収賄の疑惑が浮上したことによると言う。収監中の身であるバシールは、厳重な警備のもと金属製の檻に入った姿で出廷した。公判では計9000万米ドルの現金をサウジアラビアの王族らから授受したこと等について問われた。
今般の公判は、バシールの汚職に関する捜査の一部として開かれたものであり、国際刑事裁判所(ICC)から起訴されている戦争犯罪、人道法違反等については問われていない。これまでの経緯や、近隣諸国並びにアフリカ諸国とICCとの関係性を考慮すれば、スーダンがバシールの身柄をICCに引き渡すことは考えにくい。しかし、バシール政権時の犯罪に対する厳格な処罰は、バシール時代との決別を国内外に印象付ける点で現下のスーダンにとって重要とも考えられる。同国内でバシールの罪がどこまで追求されるかに今後注目が集まる。
今日のアフリカ
バシール・スーダン前大統領の初公判
2019/08/21/Wed