今日のアフリカ
対南スーダン制裁更新とロビイストとの契約
2019/06/11/Tue
2019年5月30日、国連安全保障理事会は南スーダンに対する制裁の更新を決めた。南アフリカ、コートジボワール、赤道ギニア、ロシア及び中国の棄権にかかわらず10票の賛成票が集まったことから米国作成のこの決議案は採択され、同国に課せられた武器禁輸は1年延長されることとなった。南スーダンにおいては、2018年9月、紛争当事者らが「再活性化された衝突解決合意」へ署名したものの、当初の期限内に統一暫定政府を発足できなかったなど、合意の履行状況は捗々しくない。南スーダン政府はこの制裁更新について、南スーダン政府の弱体化を招き反政府勢力を付け上がらせるものであると述べて、国連及び賛成票を投じた国々を非難した。
これに関連した興味深い記事がある。それは、南スーダン政府が今年4月に米国籍のロビイスト企業と契約を交わしたことを報じたものだ。契約は2年超の任期で、約370万米ドルの支払いで合意に至ったと報じられている。ロイター(2019年4月30日付)等によれば、このロビイスト企業は、米国主導の制裁の解除、戦争犯罪を裁くハイブリッド法廷の設置中止、そしてキール南スーダン大統領とトランプ大統領とのコミュニケーション仲介に対する支援を行うという。この民間企業には、元駐ケニア米国大使を含むアフリカでの外交経験者も複数所属しているようである。南スーダンにいる現役の外交官や和平状況を監視するNGOのなかには、各国の和平構築の努力に水を差すものとして、同企業を厳しく批判しているものもいる。
今般、米国作成の制裁更新決議が採択されたことに鑑みれば、このロビイストの影響力は限定的かもしれないが、今後ハイブリッド法廷設置の履行や対米関係等に影響する可能性もゼロとは言えないだろう。
【参考資料】
- UNプレスリリース(https://www.un.org/press/en/2019/sc13827.doc.ht)
- ロイター通信(https://af.reuters.com/article/topNews/idAFKCN1S60Q6-OZATP)
- VOAニュース(https://www.voanews.com/archive/south-sudan-pays-millions-block-establishment-hybrid-crimes-court)