3月14日にサイクロン・アイダイが上陸したモザンビークであるが、6週間後の4月25日に2つ目のサイクロン・ケネスによる被害を受けた。ケネスの上陸直後の中心気圧は940hPa、最大風速は57m/sで、大きな被害を出したアイダイを上回る「強烈な(Intense)」勢力であり、国家史上最強の勢力であった。ケネスが上陸したモザンビーク北部のイボ島では、41人の死者が出ており、病院を含めた1万棟以上の家屋が倒壊、4000人以上がいまだ家のない生活をしており、1500人以上が仮設キャンプで生活している。このほかコモロで3人の死者が出ていると伝えられている。イボ島の病院では医療機器や薬も浸水被害に遭っており、被災者に十分な医療的処置が施せないことが課題となっている。
モザンビークに最大風速33m/s以上の規模のサイクロンが上陸するのは9年に一度のこととされており、わずか6週間の間に2度もサイクロンが上陸したことは統計開始以来初となる。世界中で2015年から史上最強クラスのサイクロンや台風が立て続けに発生しており、発生頻度が増していることが指摘されている。また、ケネスはアフリカ史上では最北に上陸したハリケーンとなり、ハリケーンの発生域の拡大も懸念される。