4月18日に予定されている大統領選挙に現職のブーテフリカ大統領が立候補を表明して以来、アルジェリアで抗議デモが続き、その規模は拡大を続けている。ブーテフリカは82歳。1990年代の凄惨な内戦を収拾させる形で1999年に大統領に就任し、次の選挙で五選を目指している。2014年に脳溢血を患った彼は、近年では入退院を繰り返し、車椅子生活を送っている。現在もジュネーブの病院に入院中と言われている。2月にブーテフリカが立候補を正式に表明して以降、特に毎週金曜日に大規模なデモが行われ、8日はこれまでで最大規模になった。アルジェ、オラン、ティジウズなど国内主要都市のみならず、パリなどヨーロッパでもアルジェリア人移民がデモを組織した。
8日付ファイナンシャルタイムズ紙は、同日の光景を2011年のエジプトにおけるムバラク政権末期を想起させると述べている。いわゆる「アラブの春」の時期、アルジェリアでは目立った反政府運動が起きなかった。これは、1990年代の内戦の記憶がまだ生々しく、人々が政治的不安定を好まなかったからだと解釈された。それから10年近くが経過し、ブーテフリカの体力も衰えるなか、変化を求める人びとの要求が高まっている。
アルジェリアでは独立以来、「アルジェリア民族解放戦線」(FLN)が政権を掌握し続けている。対仏独立戦争を主導した正統性を掲げ、1990年代のイスラーム主義運動も力で押さえつけた。今回のデモは、老齢で病気の大統領に対する不満というだけでなく、FLNが築き上げてきたシステムに対する不満と言え、容易に収拾しないだろう。
今日のアフリカ
アルジェリアでブーテフリカ五選反対デモ
2019/03/09/Sat