11月30日、ブルンジ検察は、ブヨヤ前大統領を含む17人に対して、1993年のンダダエ大統領暗殺に関与した容疑で国際逮捕状を発出した。同じ容疑で、24日に4人のトゥチ軍人が逮捕されている。ンダダエは、ブルンジ史上初めての競争的な選挙の結果、1993年6月に同国史上初めてのフトゥの大統領に選出された。しかし、同年10月、急激な改革を恐れるトゥチ軍人に誘拐され、殺害されてしまう。その後ブルンジは、2000年にアルーシャ和平協定が締結されるまで、長い内戦を経験した。
今回の逮捕状発出に対して、AU委員会のムーサ・ファキ・マハマト委員長は12月2日、「現行の危機をこれ以上複雑化させるべきでない」と否定的なコメントを出した(RFI)。背景にあるのは、ブルンジ・ンクルンジザ政権下の混乱とその孤立である。2015年以来、ブルンジは事実上の紛争状態にある。ンクルンジザの三選出馬をきっかけとしたものだが(詳細は、武内進一「アフリカの三選問題」『アフリカレポート』2016年参照)、それ以来ブルンジ政府は、国際社会の調停を一切受け付けず、孤立を深めている。EUやAUなど調停の努力を払う機関に対してヒステリックな非難を繰り返しており、調停努力を続けてきたタンザニアのンカパ前大統領も匙を投げた。11月末にもブルンジ問題について討議するべく東アフリカ共同体(EAC)が設定した会合に、ンクルンジザ大統領が突然欠席を表明したばかりである。
ンダダエ大統領暗殺はもとよりブルンジ現代史の重要事件だが、この時期にトゥチ軍人が多数逮捕される事態は、同事件を口実として現与党(CNDD-FDD)の支配体制を強化する目的があると考えるのが妥当だろう。ブヨヤは現在AUで活動する立場であり、ブヨヤへの逮捕状発出も、AUに対する嫌がらせという目的が透けて見える。ンクルンジザ政権は、アフリカ域内でもさらに孤立を深める方向を選択している。
今日のアフリカ
ブルンジ政府がブヨヤ前大統領に逮捕状発出
2018/12/04/Tue