7月30日のジンバブウェ大統領選挙では、昨年11月に事実上のクーデタでムガベを追い落としたムナンガグワが自らの地歩を固めることができるかが注目される。経済開放を約束し、また白人との和解を訴えるムナンガグワは、総じて西側で評判が良い。ただし、主要野党MDCの候補であるネルソン・チャミサ氏との間に、支持率の大きな差があるわけではない(7月26日付ファイナンシャルタイムズ紙)。ムナンガグワの楽勝というわけにはいかない。
ジンバブウェの当面の課題は、2000年代以降ムガベの白人農場強制収用政策をきっかけに著しく悪化した経済をどのように立て直すかにある。ハイパーインフレーションによる経済の崩壊(2008年頃)をどん底として、ジンバブウェ経済は上向いてはいるものの、依然1990年代末の水準を回復していない。投資額も、南部アフリカで比較すると、モザンビーク、南アはもとより、ザンビアにも及ばない水準である。経済復興への道のりは遠いと言わざるを得ない。
選挙の勝者が誰であれ、ジンバブウェは今後経済開放政策を進めることになろう。しかし、性急な外資呼び込み政策には慎重であるべきだ。ムガベが進めた土地再配分政策は、複雑かつ多様な影響を与えてきた。ジンバブウェ農業の専門家であるサセックス大のスクーンス教授は、ジンバブウェの食糧生産は近年土地改革以前の水準を回復したと述べている(7月24日付FT)。白人大農場の配分を受けたアフリカ人小農による生産が増大したためである。白人農場主への抑圧政策を止めることは賢明だが、アフリカ人小農の生産力を活かす形で今後の政策を設計すべきである。
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ジンバブウェ大統領選挙
2018/07/29/Sun