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今日のアフリカ

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エチオピアをめぐる国際関係

2018/06/23/Sat

アビィ新首相の登場後、エチオピアをめぐる国際関係が急展開している。20日、アジスアベバで南スーダンの大統領と反乱軍トップが会談したが(「今日のアフリカ」2018年6月21日)、同日エリトリアのイサイアス・アフェウォルキ大統領は、今月5日のエチオピア首相の和平の申し出を前向きに受け止め、アジスアベバへ使節を送る意向を示した。エリトリアは、エチオピアからの脅威を内政締め付けの理由づけに用いてきたため、エチオピアからの申し出に冷淡な態度をとるのではと見られていた。それだけに、エリトリアの好意的な対応は意外感を持って受け止められている。
 エリトリアの対応について、6月20日付ルモンド紙は、同国にとって外交的孤立のコストが高くなりすぎたという点の他に、TPLFとの関係を理由として挙げている。エリトリアが最も厳しく対立してきたのは、エチオピアのEPRDF政権のなかでもTPLF(ティグレ人民解放戦線)であった。TPLFは1991年の内戦、政権奪取の過程で、連合組織であるEPRDFを主導してきた。そのため、ティグレ人は人口としては比較的少数であるにもかかわらず、EPRDF政権下で中心を占めてきた。しかし、それに対する不満から反政府運動が激化し、今年2月のハイレマリアム首相の辞任とアビィ新首相就任に至ったわけである。アビィは、EPRDF政権で初めてオロモ出身である。エリトリアとしては、アビィの申し出に好意的に応えることで、TPLFの影響力をさらに引き下げる狙いがあるというのがルモンド紙の分析である。
 エチオピアは、エリトリアだけでなく、ナイル川の水問題を巡って対立していたエジプトに対しても関係改善のアプローチをしている。この動きについてルモンド紙は、サウジアラビアの影響を指摘している(6月13日付記事)。サウジアラビアは、イエメン内戦への関与を深めるにつれて、スーダン、エリトリア、ジブチなどアフリカの角地域にも影響力を確保しようとしているという。
 エチオピアを中心に、アフリカの角地域の状況が大きく変化する可能性がある現在、念頭に置くべき重要な情報といえよう。