1月19日、モロッコはトランプ米大統領が主導する平和委員会への参加を宣言した。1月初めには、両国の外交関係250年を記念する式典が米国上院内で開催された。モロッコは1777年に米国の独立を承認した経緯がある。
両国は近年蜜月状態と言ってよく、外交的、軍事的関係を深めている。2025年12月半ば以降だけでも、米国はStingerミサイル600発、GBU-39/B誘導爆弾500発などをモロッコに供与している。大量の武器供与はモロッコへの信頼を示すものであり、2004年以降、米国にとってモロッコは主要な非NATO同盟国の位置づけにある。
モロッコはまた、2006年以降、米国との間で二国間自由貿易協定を結んでいる。2025年4月にトランプ大統領が世界各国に関税を宣言した後も、モロッコは最低水準の10%に留まっている。
こうした深い関係を加速したのが、2020年12月のモロッコによるイスラエルとの外交関係樹立であった。これは同年8月のアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交樹立に始まる、いわゆるアブラハム合意によるものである。イスラエルとの国交正常化を受けて、アメリカは西サハラに対するモロッコの主権を認めた。
これ以降、米国とモロッコはさまざまな領域で関係を深めている。特に顕著なのが軍事面で、モロッコは急速に空軍力を増強した。最新鋭のF-16Block 72戦闘機、パトリオット地対空ミサイルシステム、ハイマースロケット砲、ボーイング社製アパッチ軍事ヘリコプターなどが供与された(2月6日付ルモンド)。
米国戦争省(旧国防省)は、モロッコとの関係を「アフリカの平和への礎石」と位置づけ、アフリカのみならず地中海地域全体にとって有益なパートナーだとみている。モロッコ側としても、アルジェリアとの緊張関係を考えると、欧米やイスラエルの支持を受けた軍事力増強は望ましい。
モロッコとアルジェリアは国交断絶状態が続いており、アルジェリアはロシアなどから大量の武器を購入している。北アフリカに「安全保障のジレンマ」による軍拡競争が広がりつつある。(武内進一)
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