コンゴ民主共和国東部紛争の和平プロセスが、複線化、複雑化の様相を呈している。アフリカ連合(AU)から指名されたアンゴラのロウレンソ大統領が仲介の任に当たってきたが、3月24日にその役目を返上した。
仲介役としてロウレンソは、2024年12月15日にチセケディとカガメの会談、2025年3月18日にコンゴ政府とM23の会談を設定したが、最後になって、前者はカガメが、後者はM23が来訪をキャンセルした。
一方同じ3月18日には、カタールのドーハでチセケディとカガメが会談した。カタールは両国との経済関係を梃子に2人を対話させ、一定の外交的成功を収めた。
しかし、アンゴラはカタールの動きに不満を抱いている。アフリカ外交の原則は、「アフリカの問題は、アフリカ域内で解決する」ことだ。カタールの動きは、アフリカの域内外交をないがしろにしているとの不満が燻っている。
ロウレンソの下で、東アフリカ共同体(EAC)と南部アフリカ開発共同体(SADC)とが並行して和平プロセスに関与する格好となっていた。しかし、2月8日のAUサミットで、この二つを一本化することが合意され、それを主導する5人の元国家元首が選出された。エチオピアのゼウデ(Sahle-Work Zewde)、中央アフリカのサンバ=パンザ(Catherine Samba-Panza)、ケニヤのケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)、ナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)、南アフリカのモトランテ(Kgalema Motlanthe)の5人である。
また、ロウレンソの後任として、トーゴのフォール・ニャシンベ大統領の名前が挙がっている。
とはいえ、5人がどのような役割分担とロードマップで和平プロセスに関与するのか、フォール・ニャシンベの役割は何か、カタールの和平プロセスとの関係はどうなるのか、など不明点は依然として多い。カガメとチセケディが一度会っただけで紛争が終結するほど、簡単な話ではないだろう。(武内進一)
アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。