11日、M23はブカヴから約60kmのイフシ(Ihusi)付近でコンゴ軍を攻撃し、4日に自ら宣言した一方的停戦措置を破った。8日に開催されたEAC(東アフリカ共同体)とSADC(南部アフリカ開発共同体)の合同サミット声明で即時停戦が呼びかけられていたが、状況を大きく変えることはなかった。合同サミットにルワンダのカガメ大統領は直接出席したが、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領はオンラインで参加し、両者の対話はなかった。これでは事態は変わらない。
こうしたなかコンゴは、様々な形でルワンダに対する国際的な圧力を強めようとしている。外相のカイクワンバ・ワグネル(Thérèse Kayikwamba Wagner)は、1月31日、ヨーロッパの3つのプロサッカーチームに書簡を出し、ルワンダとのパートナー協定を解消するよう求めた。パリ・サンジェルマン (PSG:フランス)、バイエルン・ミュンヘン (ドイツ)、アーセナル(英国)の3チームで、いずれもルワンダと契約を結び、"Visit Rwanda"のロゴをユニフォームに付けている。
バイエルンはコンゴ政府の要請に反応し、近々キガリに赴いて協議すると2月6日に発表した。PSGとアーセナルは今のところ特に対応が報じられていない。コンゴ外相はPSGとアーセナルの対応に失望を表明し、「評判を上げるためにスポーツを利用している抑圧国の共犯だ」と批判した。
一方、PSGのコンゴ出身のサポーターがインターネット上で署名活動をはじめ、7日までに63,000の署名が集まった。アーセナルについては、カガメがファンだと公言しているが、現在までコメントを拒否している(2月7日付ルモンド)。
アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチなどの国際人権団体は、これまでもルワンダとのプロサッカーチームとの契約を批判してきた。一方で、西側スポーツを利用して自国のプレゼンス向上を図るルワンダのやり方をポジティブに捉える意見も多かった。
しかしながら、ルワンダの軍事介入が明確となった現在、プロサッカーチームが宣伝契約を続けることは難しい。ルワンダはこれまで、対外イメージを高めることで観光促進や国際会議誘致、投資拡大に繋げてきたが、この戦略は深刻なダメージを受けることになろう。(武内進一)
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