近年、原子力発電所設置への意欲を示すアフリカ諸国が続々と現れている。1月初めにはウラニウム産出国のナミビアが、中国の支援を得て原発開発への意欲を示した。12月にはジンバブウェが、原発設置に向けロシアと協力関係を結ぶと表明した。原発への関心がアフリカで高まる現状と背景を分析した15日付ルモンド紙の記事を紹介する。
現在、アフリカ大陸で稼働している原発は、南アフリカに1基あるだけだ。しかし、数年前から、ウガンダ、ガーナ、マリ、ブルキナファソ、ルワンダなどが開発計画を表明している。
2024年4月に世界原子力協会が実施した調査では、アフリカで約30ヵ国が原子力エネルギーの新プログラムを検討、計画、開始したと回答した。その多くは、ロシアのRosatom、中国のCNNCとの協力に基づくものであった。
その大部分は、実現まで時間がかかりそうだ。しかし、例外はエジプトで、Rosatomが北部の町エル・ダバア(El Dabaa)に4つの原子炉を建設した。建設費は290億ドルで、そのうち85%はロシアの貸付けで賄われた。原子炉は、2030年に稼働する予定である。
原発への高い関心の背景は、もちろん電化の必要に迫られているためである。現在アフリカの人口の約半分は、電気がない暮らしをしている。
一方、原発建設がそう簡単でないのは、建築費が巨額だからである。エジプトの原発建設費は、ブルキナファソやマリのGDPを上回る。この両国はRosatomと核開発・インフラ協定を結んだが、エジプトに行ったような貸付をロシアが他の国に行うのかは不明である。
技術面の革新として、小規模組立原子炉(Small Modular Reactor:SMR)が注目されている。300メガワット程度の能力で、安価に設置できる可能性がある。ただ、建設は簡単でなく、研究者は多くの国では設置まであと20~30年かかるだろうと予想している。
ただし、進捗が顕著な国もある。ガーナは、2016年から核安全省を設置した。ルワンダは、2026年に実験用原子炉建設を目指している。両国とも、SMR設置に向けてアメリカ企業と署名した(15日付ルモンド)。
アフリカの原発開発というと、ロシアや中国が友好国の歓心を買うために売り込んでいるイメージがあったが、事実はもっと複雑なようだ。脱炭素の中で原発回帰の流れが世界的に強まるなか、アフリカだけがそこから無縁であるはずはない。日本としても、安全性に関わる議論を喚起し、関連する情報や技術の提供を考える必要があろう。(武内進一)
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