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今日のアフリカ

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コートジボワールの仏軍基地返還

2025/01/05/Sun

 12月31日、コートジボワールのワタラ大統領は年末の演説で、アビジャン市ポール・ブエのフランス軍基地が、1月末までに返還されると述べた。第43海兵隊キャンプ (BIMA)のことである。

 これはコートジボワール側からの一方的な通告ではなかった。ワタラは演説で、これが「協議の上で組織された撤退」であり、コートジボワール軍の「効率的近代化」に資するものだと強調した。

 西アフリカではフランス軍に対する一方的な撤退要求が相次いでいるが、コートジボワールはそれらと分けて考える必要がある。今回の決定は、フランスとコートジボワールが協議の上で取られたものであり、第43BIMAの縮小は、仏大統領顧問のボケル(Jean-Marie Bockel)が2024年11月にマクロン大統領に提出した報告書でも言及されていた。この基地は返還されるが、コートジボワールのフランス軍がすべて撤退するわけではない。

 フェリックス・ウフエ=ボワニ大学のバンガ(Arthur Banga)教授によれば、この決定に関して国民の意見は割れており、与党とPDCIの大部分は好ましく思っていない。サヘル地域でイスラム急進主義勢力の勢力が拡大し、テロの脅威が増しているためである(2日付ルモンド)。 

 この決定については、今年10月の大統領選挙への出馬が取り沙汰されているワタラが、フランスと一定の距離を取った方が有利と判断した可能性があるとの見立てがある(2日付ファイナンシャルタイムズ)。

 フランス側としても、兵力削減に動くべきだとの判断があったはずである。ワタラ政権のコートジボワールは西アフリカで最も親仏的な国だが、反仏意識や「主権」を求める感情は、この国も含め、仏語圏アフリカ諸国全体で広まっている。こうした状況下、フランスとしては、軍の維持に固執するよりも、兵員削減に動く方が友好的な外交関係の維持に資すると判断したのであろう。(武内進一)

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