12月2日、米国のバイデン大統領が4日までの日程でアンゴラを訪問した。任期終了間近のレームダック期の訪問である。それでも、米国大統領としては、2015年にオバマがケニアを訪問して以来のアフリカ行きとなる。
今回の訪問では、コンゴ民主共和国とザンビアに跨がる産銅地域(カッパーベルト)と大西洋岸のロビト港を結ぶ、ロビト回廊計画に焦点が当たっている。ここには20世紀初頭に英国が建設した鉄道が通り、2015年に中国の出資で改修された後、2022年にはスイスのTrafigura社、ポルトガルの建設企業Mota-Engil社、ベルギーの鉄道企業Vecturis社のコンソーシアムにコンセッションが与えられた。米国はここに30億ドル以上を出資し、大幅に改修する計画である(12月2日付ルモンド)。
アンゴラはアフリカでナイジェリアに次ぐ産油国だが、長く中国の強い影響下にあった。米国はここにテコ入れして、中国に対抗にしたい思惑がある。コンゴ民主共和国のコバルトなど、重要な資源が中国企業の手に抑えられているという危機感がある。
アンゴラも先週、ロシアのダイヤモンド企業Alrosaを退去させるなど、米国寄りの姿勢を強めている。一方中国は、今年に入ってザンビアとタンザニアのダルエスサラーム港を結ぶタンザン鉄道に10億ドル以上出資して改修工事を行うなど、カッパーベルトの資源アクセスには力点を置いている(2日付ファイナンシャルタイムズ)。
米国民主党政権でエネルギー担当の特別顧問を務めたエイモス・ホクスタインは、米国は冷戦後アフリカ進出に出遅れたと述べている(上記FT)。今回の訪問が、米国の変化を示すものだろうか。今回は、レームダック期の大統領によるアンゴラ一カ国だけの訪問であり、これが米国の対アフリカ政策積極化を示すのかどうかは、なお判然としない。(武内進一)
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