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今日のアフリカ

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コンゴ東部紛争とルワンダ、ウガンダ

2024/07/11/Thu

 8日、コンゴ民主共和国に関する国連専門家報告書が公開された。6月4日付けのこの報告書では、ルワンダとウガンダによるコンゴ東部紛争への深い関与の実態が示された。
 ルワンダ国軍(RDF)については、事実上M23の作戦をコントロールし、指揮しており、M23の行動の責任はルワンダにあると指摘された。3月末の段階で、東部コンゴのニイラゴンゴ、ルチュル、マシシ県には、M23の兵力を上回る3000~4000人のRDF兵士が存在するとされた。
 2023年12月時点と比べてM23の支配領域は70%拡大したが、これにはルワンダ軍が大きな役割を果たしている。加えて、RDFによってルワンダやウガンダ国内のコンゴ人難民キャンプから子供のリクルートが行われているとも述べている。
 国連専門家パネルは以前からコンゴ東部紛争へのRDFの関与を指摘しているが、ルワンダ側は一貫してこれを否定している。今回もルワンダ政府スポークスマンのマコロは、ルワンダに対する情報戦の結果だとコメントした(8日付ルモンド)。
 この報告書では、ウガンダの役割についても取り上げられている。以前から、M23の部隊がウガンダ領内を頻繁に通過、利用しているとの指摘はあったが、今回はコンゴの新たな反政府武装勢力である「コンゴ川同盟」(Alliance Fleuve Congo:AFC)との関係が述べられている。
 AFCはM23と同盟関係にあるが、その指導者のナンガー(Corneille Nangaa)は、チセケディが勝利した2018年末の大統領選挙の際に選挙管理委員長を務めた人物である。彼は現在カンパラに居住しており、ムウェンダ(Andrew Mwenda)というウガンダの公人の支持を受けて、カンパラで幾つかの大使館にM23指導部への制裁解除を働きかけるなどの活動を行った。このムウェンダなる人物は、ムセヴェニの息子カイネルガバ(Muhoozi Kainerugaba)に近いとされる。カイネルガバは、ルワンダとウガンダの接近を取り持った経緯がある。ルワンダとウガンダの関係は緊張と緩和を繰り返してきたが、現段階ではM23の動きを支援する方向で一致している。
 ルワンダがこれだけの規模の国軍をコンゴに投入していることには、驚きを禁じ得ない。西側先進国は制裁を含めた相応の対応を検討することになるだろう。そうした反応を予測しながら派兵するルワンダの意図はどこにあるのだろうか?『名前を言わない戦争』(白水社)のなかでスターンズが指摘するように、ルワンダのアグレッシブな行動は経済的な要因だけでは説明できないように思う。
(武内進一)