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今日のアフリカ

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マリ、ブルキナファソで移行期間の延長

2024/05/28/Tue

 25日、ブルキナファソの軍事政権は、移行期間を2029年まで延長した。軍事政権は25-26日に「国民集会」(assise nationale)を招集し、国民各層から広く参加者を募る体裁を取って、移行期間のあり方等について議論をさせた。25日に結ばれた新たな憲章では、移行期間が2024年7月2日から60ヶ月と定められた。また、次の大統領選挙に、現在の軍事政権トップであるイブラヒム・トラオレ(36歳)が出馬できることを決めた。
 この国では2022年1月にダミバ中佐によるクーデタが起こり同年9月に再度のクーデタでトラオレ大佐が政権を握って今日に至っている。ダミバ中佐が政権を獲得した際に制定した憲章では、移行期間を2024年7月1日までの21ヶ月としていた。今回、その期限が迫るなかで、「国民集会」が開かれ、新たな憲章が定められた。
 「国民集会」と名付けられていたものの、市民団体や政党の多くはボイコットしており、軍事政権側がこれを移行期間延長の口実として利用されたことは明らかである。この手法は、隣国マリのやり方をそのまま真似たものだ。
 アシミ・ゴイタ大佐をトップとするマリ軍事政権は、5月6日~10日かけて「平和と国民和解のためのマリ人対話」を開催し、政権移行のあり方について議論させた。そしてその勧告として、移行期間の延長と、移行後の選挙へのゴイタの立候補資格を認めたのである。マリの主要な市民団体や政党は、この「対話」をボイコットし、勧告の内容を批判している。
 サヘル諸国では、イスラーム急進主義勢力の攻撃が強まるなか、政権が安全保障の危機に対応できないことを非難してクーデタが頻発し、軍事政権が成立した。いまや軍事政権は、イスラーム急進主義勢力対策よりも、自らの政権維持を優先課題としているようだ。
(武内進一)