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今日のアフリカ

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コンゴ民主共和国でクーデタ未遂

2024/05/22/Wed

 19日、コンゴ国軍報道官は、クーデタを未然に防いだと発表した。この事件については不明な点が多いが、現在のところ、次の点が明らかになっている。
 19日早朝、約40人の部隊が、チセケディ陣営の大物政治家ヴィタル・カメレのキンシャサの邸宅を襲撃し、カメレの護衛兵と銃撃戦になった。その後、この部隊は大統領執務室がある国民宮殿(Palais de la Nation)に侵入し、チセケディ大統領の追放を訴えたが、治安部隊に鎮圧された(20日付ファイナンシャルタイムズ)。
 襲撃部隊の首謀者は、クリスチャン・マランガという米国に帰化したコンゴ出身者で、コンゴ人ディアスポラでは知られた存在であったという。襲撃部隊には、アメリカ人2人とイギリス人1人も参加していた。部隊のメンバーは、ザイールの国旗を振り回し、「モブツの子どもたちよ!万歳!」と叫んだ。マランガはその後射殺された(20日付ルモンド)。
 キンシャサは速やかに平常に戻ったと報じられ、事件の直接の余波は限定的であるように見える。ただ、この奇妙な事件が、コンゴの政治的空白のなかで起こったことは確認しておくべきであろう。昨年12月の大統領選挙でチセケディが圧勝し、再選を決めた者の、その後今日に至るまで新たな内閣は作られていない。4月1日にトゥルカ(Judith Suminwa Tuluka)元計画相が首相に任命されただけである。
 比例代表制を取っているためもあるが、コンゴでは小政党が乱立する傾向があり、多数派形成に時間を要する。それは実効的な政策実施に時間がかかることを意味している。
(武内進一)