2日、ケニア政府は、3月以来、洪水により累計で188人が死亡したと発表した。ケニアでは最近の豪雨が大きな被害を生んでおり、28日夜にはナイロビ北西約100キロに位置するマイ・マヒウ(Mai Mahiu)でダムが決壊し、死者、行方不明合わせて100人を超える惨事となった。ナイロビでも洪水の被害が深刻になっている(2日付ルモンド)。
ケニアだけでなく、東アフリカ各地で洪水の被害が報道されている。ブルンジでも昨年来の多雨でタンガニーカ湖の水位が上昇するなど、20万人以上が被害を受け、9万人以上が移動を強いられている(4月17日付ルモンド)。その他、タンザニア、ウガンダ、ルワンダについても同様に、豪雨による被害が報道されている。
東アフリカでは昨年も、コンゴ東部、ルワンダ、ソマリアなどで豪雨と洪水が発生した。なかでも世界の耳目を集めたのは、昨年9月11日にリビアの地中海沿岸都市デルナを襲った大洪水で、サイクロンの直撃を受けてダムが決壊し、5000人以上が死亡する大惨事となった。
多雨に備えるインフラが十分でない地域で、自然災害が大きな犠牲を生んでいる。加えて、リビアやソマリアで典型的だが、政治的混乱が被害を拡大させた側面もある。こうした事例は、気候変動対策が開発や政治と不可分であることを示している。
(武内進一)