1月4日、コンゴ民主共和国東部紛争において、反政府武装勢力M23が主要都市のマシシを制圧した。マシシはキヴ湖畔のゴマから約70キロに位置し、ルワンダ系住民が多く居住する地域である。M23は、2021年11月頃から活動を活発化させてきた。ウガンダ国境から活動を拡大させてきたので、東部コンゴの広範囲を制圧していることになる。コンゴ政府や国連は、ルワンダ軍の支援を指摘している。
マシシの陥落を受けて、米国国務省報道官は6日、M23が停戦合意を破っていると批判した。M23を支援しているルワンダに圧力をかける動きであった。
一方、ルワンダのンドゥフンギレヘ(Nduhungirehe)外相は、7日、国際社会のダブルスタンダードを批判した。これは、ルワンダばかり批判して、コンゴ側の問題を指摘しない、という意味である。
コンゴ東部ではルワンダ系住民(特にトゥチ人)が迫害されており、マシシ地区の多くの土地はFDLR(フトゥ系の武装組織。1994年のジェノサイドに加担した人々が含まれる)が占拠しているが、これについては批判しない。EUは、ヨーロッパからコンゴにやってくる傭兵について口をつぐんでいる。誰も、コンゴ政府とM23が直接対話する必要に言及しない。こうした主張であった(8日付New Times)。カガメ大統領も同様の主張を繰り返した。
M23が勢力を拡大するなかで、同じ議論が続いている。コンゴは、M23がルワンダの傀儡だとして直接対話を拒否している。ルワンダは、M23はコンゴ人であり、コンゴが自ら対話して解決すべきだと主張している。また、コンゴ東部におけるFDLRの存在こそ根本的な問題だ、とも繰り返している。
M23の中心は、コンゴのルワンダ系住民である。その意味で、対話を拒否するチセケディ政権の態度には問題がある。しかし、それは、ルワンダが東部コンゴに派兵し、介入を続ける理由にはならない。
年明けの戦闘で10万人が避難を余儀なくされているという。同じ議論がいつまで繰り返されるのだろうか。(武内進一)
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