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今日のアフリカ

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大エチオピア・ルネッサンスダム(GERD)の完成

2025/09/14/Sun

 9月9日、アビィ首相は、大エチオピア・ルネッサンスダム(GERD)の完成を正式に表明した。ナイル川全水量の85%を供給する青ナイルをせき止め、着工から14年を経て完成した。アフリカ最大級の発電力を持つこのダムは、ほぼエチオピア国民の税金で建設された。当初、世界銀行が融資を拒否し、エチオピアは隣国ジブチの支援を受けてダム建設を進めた(8月28日付ルモンド)。

 ダムの完成はエチオピアにとって国家的偉業だが、ナイル川の下流に位置するエジプトは、自国の水資源が脅かされるとして反発している。エジプトは、1959年に結ばれた協定を根拠として、エチオピアのダム建設を一方的だと非難するが、エチオピアは同協定は既に時代遅れだと反駁している。エチオピアは、2024年10月、ナイル川下流に位置するブルンジ、ルワンダ、ケニア、南スーダン、ウガンダとともに、ナイル川水域協力枠組協定(Nile River Basin Cooperation Framewrok Agreement)を発効させた。

 エジプトとエチオピアの緊張には、両国間の、さらにはナイル川流域における北アフリカとサブサハラアフリカ諸国とのパワーバランスの変化が反映されている。1959年当時、エジプトの国力は圧倒的で、上流域の国々(多くはなお植民地体制下にあった)のことを考えずにナイル川の水を利用できた。GERDの竣工は、そうした時代がもはや過去のものとなったことを示している。(武内進一)

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