9月5日、中国・アフリカサミット(FOCAC)が北京で開幕した。セネガルのジョマイ=ファイ、南アフリカのラマポサ、コンゴ共和国のサスー=ンゲソ、ナイジェリアのボラ・ティヌブ、タンザニアのサミア・スルフ・ハッサンなど、多数のアフリカ首脳が出席した。
習近平首席は冒頭の演説で、借款、援助、中国企業の投資を含めて今後3年間に500億ドルの資金支援を約束した。これは前回のFOCAC(2021年)で表明された支援額(400億ドル)より多く、前々回(2018年)に表明された支援額(600億ドル)より少ない。中国によるアフリカへの貸付は2016年をピークに急減していたが、2023年にはアフリカ8ヵ国に46.1億ドルの借款を供与し、上向きに転じた。こうした動きを反映しているのであろう。
この間、ザンビアのデフォルトなど、中国の債務が引き起こす危険性について大きな議論があった。とはいえ、ケニアのルト大統領が、今回のサミットに際して、モンバサ・ナイロビ間に建設された鉄道をウガンダまで延伸することは最優先課題のひとつだと述べるなど、アフリカ側からのインフラ建設に向けた中国への期待は依然として強い。
一方、南アフリカのラマポサ大統領は、中国に対して貿易不均衡対策を求めたと報じられている。中国に対する貿易赤字を問題視する国も多い。
FOCACで中国は、グローバルサウスの守護者という立場を打ち出した。習近平主席は挨拶で、「西側のやり方は、発展途上国に深刻な苦しみを与えた。中国とアフリカがともに近代化を追求することで、グローバルサウス全体の進歩がもたらされる」と述べた。西側に抗する南の守護者としての中国、という立ち位置を示したと言える。
今回のFOCACでは、エネルギー転換と安全保障に対する中国の関わりが関心を引いた(6日付ルモンド)。中国は、電気自動車バッテリーでは世界総生産の三分の二、太陽光パネルではそのほとんどを生産し、エネルギー転換関連産業で圧倒的な影響力を持っている。アフリカでの販路も開拓中で、今回のFOCACでは30の適正エネルギープロジェクトを約束したと報じられている。
安全保障面の協力についても、積極的な姿勢を打ち出した。中国は既にジブチに軍基地を建設しているが、アフリカ諸国の軍人6000人、警官1000人を訓練するなど、共同演習、共同パトロールに力を入れる意向を示した。
中国が国連PKOに派遣している部隊の75%はアフリカ向けだし、南北スーダンなどでは中国の民間軍事企業(VSS Security、DeWe Security)が活動している。アフリカで中国人労働者が襲撃される事件も起こっており、自国民の安全確保という要請もあるようだ。米国は、中国がアフリカ西海岸にも軍基地を建設するのではないかと警戒している。
中国は過去20年あまりの間に、アフリカ諸国との間で確固たる政治経済関係を構築した。関係が緊密なだけに摩擦もしばしば生まれるが、重要なパートナーとしての地位を確立したと言えるだろう。(武内進一)
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