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今日のアフリカ

今日のアフリカ

COP28とアフリカ

2023/12/14/Thu

 COP28が12月12日に閉幕した。化石燃料からの脱却が合意されたものの、具体的な成果は乏しいという認識が広がっている。9月に気候変動サミット、11月にはプラスチックごみ国際会議をホストしたケニアを筆頭に、アフリカ諸国はこの会議に強い意気込みで臨んだが、総じて成果は乏しかったようだ。
 13日付ルモンドによれば、アフリカ諸国の重点課題は、気候変動の適応策に向けた資金の獲得であった。適応対策の重要性は合意文書に盛り込まれたものの、グローバルな目標達成を可能にする資金提供の具体策はなかった。リスクやインパクトの評価、極端な気候の予測システム導入、2030年までの国家適応計画策定などは、いずれも資金的裏付けを欠く内容のないものとなった。
 2022年、アフリカは適応策の実施に必要な額の15~30%しか資金を調達できなかった。その一方で債務支払いが増加し、歳入を大きく上回るペースで債務が拡大している。
 こうした状況の中で、化石燃料産出国からは、そこからの「脱却」を迫られることへの拒否感が示された。コンゴ共和国の環境大臣は、「代替的資金提供のないまま、石油からの脱却を要請されている」と不満を示したし、セネガルの代表は同国で新たに発見されたガス田利用の重要性に言及した。多くの国が「公正な移行」を強調し、脱化石燃料の動きを牽制した。
 気候変動の適応策とは、そのネガティブな影響を最小限に留めるための対策を講じることである。アフリカでは近年、旱魃や洪水などの自然災害が頻発しており、東アフリカではまさに今、広大な地域が洪水の被害を受けている。今後アフリカ開発を考える際には、個々の案件を気候変動の適応策、緩和策と紐付けることが求められるであろう。
(武内進一)