16日朝、ウガンダの首都カンパラで2度の自爆テロがあり、犯人を含む少なくとも3人が死亡し、30人以上が負傷した。ウガンダ警察のスポークスマンは、犯行はイスラム国(IS)と繋がりがある反政府武装勢力ADF(Allied Democratic Forces)によるものだと記者会見で述べた。ISはこの件で犯行声明を出した(16日付ルモンド)。カンパラでは、先月にも2回のテロ攻撃があった。10月23日にカンパラ郊外のレストランで爆発があり、その2日後にバスで自爆テロがあった。これも、ISが犯行声明を出している。
ADFは1980年代にウガンダで結成された反政府武装勢力である。ムスリムが結成した集団で、ウガンダ国内で反政府活動を行っていたが、90年代に国内の拠点が制圧され、隣国のコンゴ民主共和国に逃亡した。2001年12月に米国の「テロリスト排除リスト」(Terrorist Exclusion List)に追加されている。ただし、ADFについては謎が多く、活動の実態は解明されていない。2010年代以降、コンゴ東部北キヴ州のベニ周辺地域では、住民がナタなどで惨殺される事件が相次ぎ、ADFの仕業だと言われているものの、この組織についてはほとんどわかっていない。
2019年、ISはADFを「イスラム国中央アフリカ州」として正式に位置づけた。ADFはISの支部という格好になったのだが、両者の関係についても解明されていない。ウガンダの一連の爆破事件についても、ISからの犯行声明はあるものの、ADFからの直接の情報はほとんどない。
はっきりしているのは、ADFが主たる活動拠点としてきた北キヴ州の治安が改善しないことである。カンパラ爆破事件の直前、11月12日夜にも、ベニ近郊の村で病院が襲撃され、38人が犠牲になった(16日付ルモンド)。北キヴ州では5月以来治安回復を目指して戒厳令が発出されているが、市民の犠牲は後を絶たない。ADFが活動を強化し、コンゴ東部からカンパラに進出した可能性はもちろんあるが、北キヴ州の活動とカンパラの活動がどの程度関連しているのかについては、情報がない。
地域アナリストは、ADFの活動とモザンビーク北部北部の活動を結び付け、ISの影響力が東南部アフリカでも強まったと述べている(17日付ファイナンシャルタイムズ)。警戒を要することは疑いないが、我々が不確かな情報しか持っていないことも自覚しておくべきだろう。