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今日のアフリカ

今日のアフリカ

主要先進国がエチオピア北部の情勢に懸念を表明

2021/04/04/Sun

4月2日付のBBC Newsによれば、主要先進7か国(G7)がエチオピア北部、ティグライ地域における人権侵害に関する最近の報告に関連し、強い懸念を表明した。

2020年11月29日の「今日のアフリカ」で述べたように、ティグライ紛争は、昨年11月末にエチオピア政府軍が州都メケレを制圧した際に、アビィ首相が軍事作戦の終了を宣言した。しかし、ティグレ人民解放戦線(TPLF)の指導者たちは依然として捕まっておらず、紛争が完全に終結しているかどうかは不透明である。

2021年3月5日に発表されたヒューマン・ライツ・ウォッチの報告は、ティグライでは、昨年11月のエチオピア軍による軍事作戦の際、エリトリア軍が国境を越えて北から同地域に侵入し、北部の町アクスム(Axum)で市民を無差別に虐殺したと伝えている。また、2021年3月には、エチオピア軍がティグライ市民を虐殺したとみられる映像がソーシャルメディア上に流れた。そのため、ティグライにおいて、エリトリア軍とエチオピア軍双方が、市民に対する深刻な人権侵害を犯している疑いが強まった。また、国連の援助活動家が、エリトリア難民を受け入れのためティグライに設立されていた2つの難民キャンプを訪れたところ、どちらも完全に破壊され、すべての支援物資が掠奪されていた、と報告されている。

こうした報告を受けて、G7は、「我々は、文民の殺害、性的及びジェンダーに基づく暴力、無差別の砲撃並びにティグライの住民及びエリトリア難民の強制的な移動を非難する。全ての当事者は、最大限自制し、文民が保護されることを確保し、人権及び国際法を尊重しなければならない。」という文書を発出した。一方、エチオピアのアビィ首相による「エリトリアがティグライからの軍の撤退に同意した」という発表を歓迎し、撤退のプロセスは、迅速、無条件かつ検証可能でなければならない、としている。

ティグライ地域では、エチオピア政府による内戦終結宣言の後も混乱が続いており、とくに、同地域にエリトリア軍が駐留していることが物議をかもしている。ティグライからのエリトリア軍の撤退が長引けば、エチオピアに対する先進国の対応も厳しくなることが予想される。