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今日のアフリカ

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ナイジェリアで学校の襲撃と生徒の誘拐が広がる

2021/02/27/Sat

 ナイジェリアで、寄宿舎学校が襲撃され、多くの生徒が誘拐される事件が相次いでいる。26日付ファイナンシャルタイムズによれば、2月26日深夜、北部ザムファラ州の農村部にある寄宿舎女子中等学校(Government Girls Science Secondary School)から317名の女子生徒が誘拐された。17日にも、西部ナイジャー州で数十人の生徒が誘拐されたばかりである(17日付ルモンド)。この国で学校の襲撃と言えば、2014年に北東部のボルノ州チボックで、ボコハラムによって300人近い女子生徒が誘拐された事件が思い浮かぶ。しかし、今月に入って起こっている事件は、ボコハラムの活動領域を大きく超えた地域で発生している。
 学校襲撃は、バイクに乗り、銃や機関銃、時にはロケット砲(RPG)で武装した犯罪集団が、身代金目当てで引き起こしている。BBC Africa Today Podcastは、学校襲撃事件の頻発について、身代金獲得のために、寄宿舎学校を狙うことが最も効率がいいと犯罪者が考えるようになったためだと解説している(26日付)。学校を襲撃し、生徒を人質にとれば、メディアで大きく報じられ、政府や家族を相手に有利に交渉を進められる、というわけだ。
 ブハリ大統領の下、ナイジェリア政府は治安強化策を打ち出しているが、ボコハラムはもとより、治安状況の改善は進んでいない。寄宿舎学校への襲撃は、カメルーンやケニアでも起こっており、アフリカ各地で懸念すべき事態となっている。農村部の治安状況が悪化したときに、学校は手っ取り早いソフトターゲットとして認識されるのであろう。マリなどサヘル地域や中央アフリカで紛争を継続させている武装勢力も、実態としてはこうした犯罪集団と近い性格を持っていると考えられる。背景としては、サヘル地域に小型武器が流入し続けていることが指摘できる。