法・政策論に関連するお知らせ

外国人に関わる法律問題(3)

レジュメの補充 2007年1月30日  担当: 鈴木美弥子

Ⅰ 判決のポイント (詳細は配布資料参照のこと)
(2)について
(1) で、契約はいまだ成立していなかったとされたため、契約「準備」段階の信義則上の
義務(契約締結の準備が進展し、契約成立が確実なものと期待するに至った場合、相手方の右期待を侵害しないように誠実に契約の成立に努めるべき信義則上の義務)の違反が問題にされた。

Xと直接交渉したY1(キンキホーム・不動産仲介業者) - Y2の履行補助者
→ 法的には、Y1の義務違反は、Y2の義務違反となる(Y1自体は独立して責任を負わない)

Ⅱ 本判決に関係する法的論点
(1) 契約自由の原則
本ケースでは、(a)締結の自由、(b)相手方選択の自由、が問題となる。

契約の自由にも修正あり
(a)(b) 承諾の強制 - 医療、 電気・ガスの供給(法律で規定)
(c) 給付の目的物の品質について行政法的規制 - ガス 、 食品

特に、以下、Ⅲ類似事件の判決、で大きく取り上げられているように、契約締結、相手方選択の自由は、この種の事件において出発点とせざるえないものである(本判決でも、同様に重要である)。

(2) 憲法の人権規定の私人間効力
 (本ケースでは)外国人にも、日本国民を対象としていると解される人権は除き人権が保障されるということを前提にして、私人間で人権侵害が行われた場合に、憲法を適用して、当該人権を救済していくべきかが問題となる (本判決-p.126 原告の主張も参照のこと)。

憲法の人権規定-国家(強大なもの)が私人(国家からすれば弱者)の権利・自由を保障する、侵害してはならない、という規定
私人間-対等な関係にあるはず、それゆえ当事者に任せる→私的自治の原則→契約自由の原則

私人間に憲法の人権規定が直接に適用すると、国家権力が憲法価値を押し付けることになり、私人間の行為が大幅に憲法により規制をうけることになる。

以上の諸点を考慮 - 間接適用説

Ⅲ 類似事件の判例

レポート・プレゼンの課題を考える際に、参考にすること。

1月30日に使用する資料について

12月12日に配布した、在日外国人の賃貸借に関する判決資料については、1月30日
の講義で扱うので事前に読んでおいてください。資料は319(多言語・多文化教育研究
センター)の入口すぐのところに置いておきます。
プレゼンテーション、レポートの題材として、この判決を使用する予定です。


法政策1月30日レジュメ等とレポート課題

法政策論の1月30日分レジュメ、配布済みの1月30日の準備分レジュメ、レポート等課題のお知らせです。

成績評価のほうは、出席・コメントシート60%、プレゼンテーション20%、提出レポート20%となります。

1月30日レジュメ

1月30日準備

レポート等課題

1月23日山口智之さん講義終了

講義のながれ - レジュメ補充 (鈴木美弥子)

はじめに - APFS(ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY)の紹介
http://www.jca.apc.org/apfs/index.html

・ 1987年12月設立
    地元(板橋区)でバブル景気で出稼ぎ労働に来ていたバングラディシュ人と知り合い、これらの人が直面する労働、医療問題等の相談を開始(その後、個人としての相談の受付けから団体へ、相談者もアジア人一般へと拡大し、現在に至る)
一方的な支援ではなく、相互扶助(日本と外国人相互、外国人相互)を目的とする
・ 活動
相談活動 - 労働相談 ほか
地域から発する多文化共生  - アジアン・フェア(民族の祭り)
入管局への人道的配慮を求める申入れ活動(配布の新聞記事のアミネさん一家等)
常勤2名、あとはボランティア 運営委員(16名)は、日本人と外国人半々

1 日本で暮らす外国人住民
1980年代に急増、当時はバブル景気、3K仕事に就く
現在、非正規滞在者22万人のうち、在留資格が切れた後オーバーステイで19万人
不法入国者(コンテナ船などで密入国)は3万人といわれている

労働相談 - 賃金不払い、不当解雇、労災など
外国人に対しても、労働法は適用されるが、実際は、雇用主はこれを無視した扱いをするケースが多い。
・ 会社倒産による未払いは、その80%は労働福祉事業団が事業主に代わって立替払いしてくれるので(賃確法-賃金の支払の確保等に関する法律-第7条)、問題は少ない。
・ 8時間以上の労働の場合、25%、休日出勤35%、深夜労働25%(左記二つの条件が重なる場合は、その分のパーセンテージが追加)の割増し賃金が支払われることになっているが、外国人の場合支払われないのが実態。
・ 36(さぶろく)協定(労基法36条の残業、休日出勤の協定。36協定をしないで残業、休日出勤をさせると、6ヶ月以下の懲役か30万円の罰金)の無視
・ 未払い賃金、残業代が在るとしても、タイムカード、給料明細もないことが多く、確定することが困難。
・ 整理解雇の場合は、やむをえない場合のみだが、外国人の場合、そのような場合でなくとも解雇される。解雇されても、不法滞在かつ言葉の問題から、労働基準監督署、NPOにも相談にいけない。30日の猶予があるはずだが、即日解雇が多く、失業保険に入っていないので、即日生活に困る
・ 労災で仕事ができないときは、賃金の80パーセント給付され、障害認定の給付金も受けられる。しかし、これらは、労災の申請を条件とし、これには事業者の証明が必要である。会社が労災隠しをすると非常に困る。
・ 非正規滞在者は社会保険に入らず、雇っている側も不法就労助長罪となるため雇用の事実を隠す。- 労災以外、病院に事実上行けない。

2 在留特別許可
非正規滞在者(不法滞在者)の滞在の合法化 - 在留特別許可
従来、日本人と結婚した者が取得したケースが多かった。
1999年に、17家族64名が、APFSの支援のもと、日本に強固な生活基盤を持ち、故国に帰っても生活基盤ないような者に在留特別許可を与えるよう入管局に出頭し求めた。その結果、日本に両親が10年以上継続的に居住かつ、子供が、小さいうちに日本に来たか、日本で生まれ、中学生以上になっている10家族42名に許可が出た。

配布の新聞記事のアミネさん一家のケース(詳しくは、APFSのHP) - 当時、娘のマリアムさんが11歳だったため許可が出なかった。このため、訴訟提起し、一審では勝訴したものの、二審、最高裁と敗訴し、イランに帰国せざるえない状況にある。現在、退去命令は出ているが、仮放免ということで自宅にいる。18歳のマリアムさんは大学に合格しているので、大学に入学すれば、上陸特別許可が出るということだが…

非正規滞在者 - 出稼ぎ労働者 - 家族・親類に送金 - 日本に長期的にいたいので、危険な犯罪には近づかない

3 入国管理行政のあるべき姿とは
長期的展望なき入管政策
・ 留学生10万人計画 - 当初は、日本で生計がたたない人も留学生として受け入れ
・ 研修生、技能実習生の名目での受入れ - 実際は、非常に安い、最低賃金にも満たない額で働かされている。
・ 日系人の受入れ - 治安の問題から厳格化へ方向転換
・ 安易な受入れから始め、問題が出てくると、厳しくするというパターン

4 ディスカッション
 テーマ: 非正規滞在者の受入れを含め、日本における多文化共生は可能か
参考: 山口先生と高橋先生のやりとりから
   在留特別許可が認められる要件を満たす(ような状況にある)不正規滞在者は、在留特別許可により在留の合法化を認めるべきではないか(やむをえない)。しかし、それ以外の不正規滞在者については、日本の外国人受入れ政策の問題である(帰国もやむなし)。

5 講義の本題とは別に - 外国人の賃貸借の問題
APFSが過去に受けた不動産業者からの相談 
- 一人に狭い部屋を貸したら多人数で住む、ごみの分別をしない、カレーの香り
外国人への身元保証人の紹介の組織もある

1月16日大木先生講義終了

外国人に関わる法律問題(1) ( 2007年1月16日 大木和弘先生)

講義のまとめ - レジュメの補充 ( 鈴木美弥子 )

1 法律的意味での外国人
憲法10条、国籍法 - 日本国民-日本国籍を有する者
          → 日本国籍を有さない者(外国人)は
            他国籍を有する者と無国籍の者に分かれる
外国人登録法の対象者 - 日本に90日を超えて滞在する外国人

出生による国籍の取得
血統主義 - 父又は母が自国民であれば子に国籍を与える
フランス・ドイツ・イタリア・中国・韓国など
生地主義 - 自国の領土内で生まれた子に国籍を与える
アメリカ・カナダ・ブラジル・オーストラリアなど
日本は血統主義をとる。近年までは、日本人父親の子供にしか国籍が与えられない父系血統主義をとっていたが、1985年に国籍法が改定され、日本人母親の子供にも日本国籍が与えられる父母両系血統主義が採用された。生まれつきの重国籍者は22歳に達するまでに、国籍を選択しなければならない。

2 憲法上の人権享有主体性
・マクリーン事件とは、1969年にロナルド・アラン・マクリーンが日本入国し(在留期間1年の上陸許可)、入国後、ベトナム反戦政治活動を行った。1970年に在留の継続を申請したが、不許可となったためその処分取消しを求めて出訴した事件。
不許可処分の取消を主張するにあたり、表現の自由(政治活動の自由)の侵害が主張された。
・(外務公務員を除き)公務員について、法律上は日本国籍を就任要件として規定しているわけではないが、かつては、「当然の法理」として、公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍が必要とされてきた。しかし、80年代に入り、教員採用又は現業職での国籍条項の撤廃がすすみはじめた。そして、1996年の「公権力に携わる具体的なポストや人事方針を定めれば、一般職でも外国人の採用は可能」との白川自治大臣談話を契機に、地方自治体において、公権力の行使又は公の意思の形成に参画する職につくことはできないという制約のもと、一般職について外国人に門戸が開かれた。
採用のつぎに問題になってくるのが、昇進の問題である
 → 東京都に保健婦として採用されていた在日韓国人2世が、管理職への昇任試験を受験しようとしたところ、受験資格の国籍条項を理由に都が受験を拒否したのは不当だとして提訴 - 最判平17.1.26
・社会保障については、1982年に難民条約を批准し、国民年金法や児童扶養手当法などの国籍条項が撤廃され、1986年には、国民健康保険についても国籍条項が完全に撤廃された。ただし、これらを受けるには、外国人登録など様々な条件が必要とされる。

3 公権力の関係と私人間での法律関係
1月30日の回でも説明します。ここの説明は、5ディスカッションのテーマにおいても、30日の回で扱う問題においても重要な視点となります。

4 法律関係の渉外性
訴訟提起、執行の困難 - 青森県住宅供給公社の巨額横領事件、日本の領事館のない国にいる原告に対する訴状送付など

5 ディスカッション - 視点
・日本国籍でないことから発生しうるリスク - 帰国等
・日本国籍を持つものが融資を受ける条件とこのケースにおける条件との比較
・日本国籍を持つ者と、このケースの具体的状況の相違(程度)
・新しい融資事業の可能性

12月12日四方先生講義終了

以下は、塩原による講義のまとめです。
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来日外国人の受入れと犯罪問題
-留学生及び外国人少年を中心に
警察大学校 警察政策研究センター
四方 光 氏

パワーポイントファイル


○来日外国人犯罪の現状
日本における犯罪の認知件数は平成8年ころから急増していき、検挙率が低下した。その後最初は軽微な犯罪の増加が見られ、犯罪の凶悪化の傾向が起こった。平成16年以降は落ち着きを見せている。
来日外国人犯罪については、すべての犯罪における割合としてはたいしたことはなく、日本の治安を急激に悪化させているわけではないことは明らかである。ただし、壁を突き破って盗みに入ったり、手口に特徴がある。そのようなかたちで日本社会の不安感を高めたのは確かである。また捜査面においては、日本人の犯罪者よりも労力がかかる。語学面での問題や、文化の違いで供述を得るための説得のノウハウが通じない。海外に逃亡すると捕まえにくい。ICPOは国境をこえて捜査できる捜査権をもった警察官をもたない。
国・地域別の来日外国人検挙人員では、中国が44%を占めている。これは来日している中国人の数が多いことに由来している。
不法残留者はここ数年減少し、平成18年には20万を割り込んでいる。

○中国人留学生が犯罪グループのメンバーとなってしまう背景(張荊『来日外国人犯罪‐文化衝突から見た来日外国人犯罪』明石書店より)
・ゴト師となった元中国人留学生の例
 中国国内での犯歴はなく、当初はまじめな語学学生だったが、パチンコにのめり込んで留学資金を使い果たす。ゴト師の友人がいたので、その仲間になる。中国では賭博とみなされるパチンコ店からお金を搾取することには、良心の呵責はなかった。またゴト師の友人は、中国を侵略した日本において犯罪を行うことに良心の呵責を感じなかったとのことである。
・中国人犯罪学者の分析によれば、もともとまじめな青年であった者が、来日してから犯罪者になってしまったことを問題視する。また日本の犯罪抑止システムと中国のとは連動せず、日本で犯罪を犯しても、中国では知られない。したがって、中国国内で機能していた家族や故郷とのつながりという犯罪抑止システムは日本では機能しにくい。また日本では、もともと外国人は希望が持てないので、日本社会からの非難は犯罪抑止効果がない。また日本入国時に多額の借金を背負って、それがプレッシャーになっていることも少なくない。

○中国残留孤児の子弟が暴走族メンバーになってしまう背景
・暴走族「怒羅権」:都内における最強最悪の暴走族。昭和63年に中国残留孤児の子弟数十名が結成。現在では地元の日本人の若者も多数加入。仲間が逮捕されると、警察署、交番、パトカー等を襲撃したりする。監禁障害事件なども起こした。「怒羅権」メンバーとなった中国帰国者2世・3世は、日本語ができないので授業についていけず、いじめや差別を受け、自分たちが日本人なのか中国人なのかわからなくなってしまった。同じ境遇にあった他の2世・3世と知り合い、日本人に復讐しようと結成。

○日系ブラジル人少年が非行集団メンバーとなってしまう背景
事例:日系ブラジル人グループによる連続強盗事件:コンビニの駐車場やディスコで知り合った10人前後のグループ(犯行は、そのうち2-3人で行う)。薬物購入や遊ぶ金がなくなると、気軽に強盗を繰り返す。ナイフ・バット・催涙スプレーなどを使用し、深夜営業の弁当店などを襲撃
・日本語ができないので授業についていけない。いじめや差別を受ける。いっぽう、日本語が上手になると今度はポルトガル語が下手になり、両親とのコミュニケーションが希薄になってしまう。日本で生活しつづけたいが、就職先はない。日本社会から受け入れてもらえず、アイデンティティの揺らぎが発生し、同じ境遇の人々が集まって自然と非行集団をつくるようになる。

○警察における取り組み
・地域社会や学校などと連携した取り組み。少年サポートチームの結成。コミュニティ・ガバナンス、マルチ・エージェンシー・アプローチ

○2世・3世の犯罪化のパターン
親は希望して日本に来日した。子どもは当初は日本語ができず、いじめにもあう。しかし親よりは順応性が高いので、日本の生活に早くなれる。その結果、日本になじめない親との関係が悪化する場合も。しかし、日本社会に順応していても本当には受け入れてもらえず、学校からの脱落、就職難などにより「居場所」がなくなり、非行集団に入る者が生じる

○来日外国人受入政策における含意
・来日外国人を雇用している企業にとっては安価な労働力だが、彼らも生身の人間であり、支援する自治体には相応の負担がかかる(企業から一般市民への費用転嫁)
・就労する親たちは希望して来日するが、出稼ぎのつもりでも結局定住化することが多い。親は母国の状況を知っているので日本のほうがいいと思うが、日本で育った少年たちは劣悪な教育環境や労働条件を差別と感じる可能性が高い。被差別感が非行集団を生み、外国人少年たちの一層の不幸とさらなる社会的費用を生じさせる
・費用・便益を考慮すると、受入拡大のメリットはどうなるのか。日本人・日本社会の受入体制に応じた受入をすべきなのではないか。

○ヨーロッパにおける外国人少年問題
・イギリスの地下鉄同時多発テロの実行犯は、イギリス生まれ・育ちのムスリム移民の若者であった。フランスの北アフリカ系青年による暴動、ドイツの旧ソ連在住ドイツ人子弟の非行、ニューヨークの少年非行など、社会になじめなかった青少年たちが、被差別感、孤立感を深めて非行、犯罪、テロの行動に出るという共通の構図がみられる。安価な労働力としての外国人ではなく、日本人と対等の条件で受け入れる覚悟があるのかが問われている。

12月5日池田氏講義終了

12月5日の文部科学省の池田室長の講義の概要を塩原がまとめたものです。

当日のパワーポイントは以下からダウンロードできます。

12月5日池田氏パワポ


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我が国の留学生政策

2006年12月5日 法・政策論
文部科学省学生支援課 留学生交流室長
池田輝司 氏
(記録:塩原良和)

・留学生交流の意義には、以下のようなものがある。
 1.諸外国との相互理解の増進と人的ネットワークの形成:ある国会議員は、「留学生は未来からの大使である」と述べた。留学生交流は安定した国際関係づくりの基礎である。
 2.途上国等の人材育成・知的国際貢献:日本にくる留学生は、アジア諸国からが圧倒的に多い
 3.(日本自身あるいは日本の大学等の)国際化や国際競争力の強化:現在では、これに力点が置かれている。

・「留学生受入れ10万人計画」は、当時の中曽根政権時代に提出されたふたつの提言をもとに昭和58年に策定された。21世紀初頭に10万人の留学生受入れを目指すという数値目標が設定された。この「10万人」という数字には明確な根拠はなく、当時のフランスの留学生受入れ数がその程度であったことから「他の先進国並み」の受入数を目指すという趣旨であった。それゆえ、数値目標だけが一人歩きをして、留学生受入れ体制の整備が不十分なのではないかという批判もあった。その後、平成15年には留学生数は約11万人となり、予想外のスピードで計画は達成された。とりわけ平成12年から17年にかけて留学生数は倍増し、「留学生バブル」などと呼ばれることもあった。その結果、留学生宿舎の不足など受け入れ体制の不備が問題視されることがあった。

・平成17年には留学生数は12万人を超えたが、平成18年には8年ぶりに減少に転ずる見込みである。これには中国からの留学生数の減少が影響している。留学生総数のうち、国費留学生はわずか1万人であり、日本に来る留学生の大半は私費留学生である(ただし、私費といっても政府関連機関や文科省の短期留学制度による留学生も含まれている)。私費留学生が多いということに関して、経営に困った私立大学が留学生を無計画に受け入れているといった見方もある。確かに、酒田短大のように戦略的に留学生を受け入れずに破綻を招いたケースもあった。「留学生」は、以前は比較的管理しやすい存在であったが、最近では留学生が非正規滞在・就労や犯罪に加担するといったケースも増えており、受け入れについては功罪両面を考えなければならない。

・日本への留学生の93.3%はアジア地域からやってくる。なかでも、中国、韓国、台湾からの留学生が全体の8割以上を占める。平成12-17年頃の留学生の急増は、中国からの留学生が増大したことが大きかった。

・在学段階別に見ると、大学学部に在籍している留学生が半数を占め、専修学校と合わせると4分の3にもなる。いっぽう、国費留学生では大学院に在籍している者が圧倒的に多い。また専攻別では、人文社会系の分野で学ぶ留学生が半数以上を占めている。平成16年度に卒業(修了)した外国人留学生は約3万人であるが、そのうち日本国内で就職したことが確認されたのは約6000人であった。

・留学生10万人計画達成以後の留学生政策については、今のところ明確な数値目標は掲げられていない。日本は主要先進国に比べ、高等教育機関在学者数に占める留学生の割合はまだ低く、今後は外国人留学受入れをいっそう推進するとともに、留学生受入れの質的充実を図る必要がある。英国やオーストラリアのように、留学生政策を市場原理によってとらえ、経済政策のなかに位置づけている国もある。留学生は金になり、学校経営に資するという考え方である。世界的に見れば、優秀な留学生の獲得競争が起きており、そういう留学生を日本にいかにひきつけるかが考慮されなければならない。

・いっぽう、留学生の質的充実ということには、非正規滞在・就労の防止といった側面も含まれる。出入国管理が厳格化すれば、おのずと留学生も減少する。留学生の経済能力を証明する手続きが厳格なことが中国側には不評なこともある。いわゆる「留学バブル」の、入管は留学生に若干寛容であったように思えるが、現在では中国からの留学生数は明らかに減少している。

・日本に来ている留学生は「労働者の卵」なのか。経済産業省や厚生労働省では、留学を終えた者を日本国内の労働力として有効に活用していこうという考えがある。文科省はあくまでも本人の自由意志を尊重する立場だが、アジアからの留学生が多い日本では、日本国内で留学生を就職させることが途上国からの人材流出につながるという懸念もある。

・日本にいる留学生の8割がアルバイトを経験している。「留学」という在留資格では特別な許可がないとアルバイトはできず、しかも就労は制限されている。留学生が日本に来て困ることは、第一に物価高、第二に日本語だという。

・留学生を受け入れるということは、労働者として受け入れることでもあり、地域住民として受け入れることでもあり、学友として受け入れることでもある。留学生たちのキャリア意識の強さに学ぶことが日本人学生にとって重要である。

11月28日長谷川町長講義終了

東京外国語大学 多言語・多文化社会 法・政策論
大泉町長 長谷川洋氏 講演(2006年11月28日)概要

大泉町は群馬県内でもっとも小さい町で、町の南側は利根川をはさみ埼玉県と隣接している。町内には三洋電機などの大きな企業や数多くの工場がある。狭い面積の本町には、約6800人もの外国人住民が住んでいる。大泉町は工業の町であり、群馬県で年間製造品出荷額3位である。
平成2年の入管法改正当時、中小企業を中心として慢性的な労働者不足が問題となっていた。いわゆる3K職種においては非正規就労の外国人労働者を雇用していたが、入管法の改正が契機となり、合法的に雇用できる日系人住民が急増した。
大泉町は、日系人の集住する町として全国で最も高い外国人住民比率を有するようになった。外国人登録者のうち、南米系が9割を占めている。
大泉町は、正規の手続きをして転入してきた外国人住民を人道的に迎え入れることを原則として、さまざまな取り組みを行ってきた。全国に先駆けて公立小中学校に日本語学級を設置したほか、通訳の設置、「暮らしの便利帳」、ポルトガル語版広報紙「GARAPA」などを発行している。生活習慣の違いから、日系人住民が夜に騒ぐなどの苦情は今でも日常的に寄せられている。町としては、外国人住民への生活のための正しい情報を提供し、ルールを守って頂くようPRなどを行っている。
また、外国人住民に地域社会でのルールを遵守してもらい、地域との関わりを持ってもらおうという目的で、各地域に住む外国人を対象に「地区別多文化共生懇談会」を開催している。懇談会には、地区の区長(自治会長)や環境衛生委員等も出席し、ごみの捨て方や分別などのシステム等も説明し、外国人住民からの意見や質問も伺っている。さらに、最近では一つの試みとして、外国人児童を預かる託児所の職員などを対象にした懇談会も開催し、保護者にもPRしてもらおうと働き掛けている。
外国人住民でもきちんと説明すれば、わかってもらえるが、そのような場に出てきてくれない外国人住民が圧倒的に多いので、どのようにアプローチしていくか、手を尽くしているところである。最近は在日ブラジル総領事とも連携し、領事館からも在日ブラジル人に必要な情報を流してもらうような仕組みを考えてもらうとともに、互いに協力することで多面的に情報提供をする施策の実施を試みている。
外国人住民との共生を阻む壁を一番象徴的にあらわしているのは、現状に合わない法律や制度である。たとえば、外国人住民は転出届を出す義務が無い。届出の住所と実際の住所が違ったり、住所地に当人が住んでいないというケースも出てくる。町で課税しても、当然、徴収できないことになる。そのこともあり、大泉町における外国人住民の納税状況は悪く、累積は数億円という未納がある。
日系人といっても、最近来ている人は日本語はほとんど話せない。日系人コミュニティの人口が増え、日本語を話せなくても暮らしていけるという現実がある。職種を選ばなければ仕事も確実にあるので、ブラジルよりもよい暮らしができると言われている。
また教育の問題も重要である。大泉町では小・中学校あわせて312人の外国人児童・生徒が通学している。過去の調査によれば、全体の半分が公立学校に通い、4分の1がブラジル人学校に通い、残りが不就学か行方不明であった。それぞれの児童・生徒に課題がある。公立学校に通う児童生徒の中にも、日本語の習得がなかなかうまくいかないといった課題もある。そこには、親の気持ちや意識の問題もある。「いつかはブラジルに帰る」という思いが先行するので、子どもに「日本語をしっかり覚えろ」と指導できず、子どもたちも日本語を覚えようという意識にならない。
現場の教師も悩むわけだが、日本語を覚えてもらわないと授業は進まないし、進路の上でも問題がでてくる。そのまま5-10年たつと、勉強への意欲を失ってしまい、進学や就職に支障をきたすという悪循環が生じている。地域にとっても大きな課題であるし、日系ブラジル人児童にとっても不幸である。文部科学省は通達を出したり、予算措置をとっているというが、不十分である。

<中略>

さまざまな外国人問題を抱える都市が集まり、外国人集住都市会議が結成された(現在18都市)。今年の会議では、子どもの教育問題に焦点を当てて提言を行った。義務教育前の支援をはじめ、外国人政策全般の改革などについて提言として提出した。また大泉町では、町独自の働きかけをしていくことも重要だと考えている。大泉町には多くの学生やマスコミ、議員や行政職員も視察にきているが、なかなか大泉の声を反映させた施策につながっていない。今後は更に、衆参両院の議員に働きかけをしていく考えである。
外国人住民は、今後なし崩し的に増大していくであろう。まもなく日本中に外国人が定住していくことになる。しかし、日本の外国人政策が現状のままであれば、国としては無策のままである。しかしそれではいけない。受け入れるなら受け入れる、受け入れないなら受け入れないという、明確な国としての方針を出すべきときにきている。しかし、すでにこれだけの外国人住民が住んでいるなかで「受け入れない」という方針を出すことはきわめて困難であると思う。であれば、受け入れる方向性での行政システムの再構築を目指すべきなのではないか。

11月14日井上洋さん講義終了

11月14日の法政策論、日本経団連の井上さんの講義が行われました。
以下は塩原による講義の概要です。
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11月14日 法政策論
受け入れ政策:実務の立場から 
井上洋(日本経団連)

※資料:日本経団連の提言(ウェブサイト)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2004/029/index.html

・日本経団連:4年前に日経連と合併。政府や政党に政策提言をしている。外国人問題については4年前くらいから検討を始めた。
外国人が多数就労している実態を踏まえて検討。
戦前の旧植民地出身者→特別永住者として戦後も居住。国籍・文化を保持。
われわれが考えているのはその後に来た人々。たとえば90年の入管法改正後に来た日系人など

・経済とは、人を豊かにするためのシステムである。
一国の経済成長は、労働・資本・技術で成り立つ。

労働力を日本人だけでまなかってきた時代が長く続いた。団塊の世代(S50-60年代):人が余り、リストラという言葉も生まれた。しかし、その団塊の世代が労働市場から退出、人口は減少(すでに生産年齢人口は95年から、総人口は05年から減少)。
2025年が高齢化のピーク。

企業:資本を調達して、設備投資をする
日本企業はグローバルに展開していて、グローバル市場でモノを売るための資本調達・設備投資はできている。

技術:昔の日本企業は海外から技術を買っていた。自主技術ではなかった。
今の企業はほとんど自主開発し、自分たちの製品に生かす。技術開発を社内でおこなう。

→労働力が減少したときに、資本と技術でまかなうことができるのかという点が今後の大きなテーマ

・経団連:外国人受け入れ問題に関する提言

「外国人」という異質な文化的背景をもつ人々に日本社会に刺激を与えてもらって、新しい日本社会の規範をつくってもらいたい。それが多様性のダイナミズムの意味するところ。
戦後の高度成長は一定のレベルにある多くの人たちが経済活動を支えていた。
これからは多様な個性の人々が異なった取り組みをすることが求められる。そのプレーヤーとして外国人はうってつけなのではないかというのが経団連の考え方。
たんなる労働力の穴埋めではないということ:日本人とは違った発想でものを考えてもらい、日本人を刺激して力を引き出してもらう。もちろん外国人たちにも相応のメリットがある。両者の協働

・現在の外国人受け入れ施策
総合的に外国人政策を担当する部署がない。いろんな役所が部分部分の政策を所管していて、総合的な体制がとれていない。今いる外国人の人たちをしっかり受け入れるためにやるべきことがあると考え、提案した。
<外国人受け入れの三原則>の提言
1.質と量の両面で十分にコントロールされた秩序ある受け入れ→これまでの政策では不足していた。例:入管体制における裁量行政→一定の基準が欠けていることが問題
2.外国人の人権と尊厳が擁護された受け入れ→日本人のアジア「蔑視」(軽視)の傾向:明治以来の「脱亜入欧」を引きずっている。それは世界の現実とは合致しない。日本は必ずしもアジアのトップではない。制度の改革は遅れているが、官僚はそれに気づいていない。外国人差別にもそれが反映されているのではないか?それをまずなくしていかないと日本は尊敬されない
3.受け入れ側、送り出し側双方にとってメリットある受け入れ:外国人労働は日本人労働者がやろうとしない分野に進出している 例:深夜の弁当工場などで働く日系人。キツイ労働。このような分野で労働力を得ることができるのは日本側のメリット。
  ただし、外国人労働者の母国にとってもメリットがあるのかどうかは考えなければいけないポイントである 例:海外からの送金に依存するフィリピン経済(GNPの4分の1)→国内で働ける場がないことが大きい。送り出したフィリピンにとってもメリット:日比の経済協定においてフィリピンからの看護士・介護士の受けいれが決まっている。

・企業の問題
→文化・習慣の違い、語学・意思疎通、意識の違いが大きい
いまだに外国人を使いきれていない日本企業が多い。内なる国際化が立ち遅れている。

受け入れにあたる課題
→日本企業側の意識改革:少数の外国人従業員のために大多数の日本人従業員が意識を変えることは実際としては難しい。
→入社後の教育訓練:語学、社会風習、法律も含めた研修をしっかりやる;非常に少ない外国人従業員のために社内で行うことは難しい。外部委託の要望は大きい。非企業セクターが企業に協力する必要もでてくる。
→生活サポート
→能力評価基準の明確化:キャリアプランをはっきりさせるための能力評価は日本企業がもっとも苦手な部分。

・地域の問題
→社会保障制度の改善充実:年金・医療保険の強制・同時加入が原則。外国人労働者の場合、年金受給権を得るための25年の期間は長すぎる。脱退一時金はあるが少額で掛け捨てに近い。外国人のなかには年金・医療保険に加入しない人も多い。中小企業のなかには法律違反にもかかわらずそれを黙認するところも多い。→無保険者の増加→自治体が医療費を肩代わりする制度がある。
同時加入が外国人にとっては適切なのかということも検討課題、自治体が医療費を肩代わりする制度の予算は税金に依存、つまり一般市民が負担している。それゆえ、医療保険に加入させていない企業に負担させるべきという考え方もある。

・外国人に労働させる際に生じる社会的コストを誰が負担するのか?
方法1.外国人を雇った企業から税を徴収?「人頭税」しかし日本の税は自己申告が基本なので、脱税が起こる可能性高い。
方法2.地域で基金をつくる

<グループ討論>
下記のファイルを参照
11月14日グループ討論の内容

警察政策フォーラム「警察における国際協力の推進」

12月12日の法政策論でお話いただく、警察政策研究センター主任教授の四方光先生の講義に関係したイベントです。11月17日参加申し込み締め切りということです。詳細はPDFファイルをご覧ください。

フォーラム「警察における国際協力の推進」

いちょう団地多文化共生交流会

11月7日の山脇先生の講義で紹介されたいちょう団地の多文化共生交流会の情報です。

日時:11月19日(日)午前12時半~午後4時
場所:横浜市立いちょう小学校体育館
内容:多文化共生をめざした住民交流会
   多文化ステージや言語別の討論会
   自治会、地域ボランティア、学校が連携して企画

外国人集住都市会議2006

11月7日の山脇先生の講義で紹介されていた外国人集住都市会議2006の情報・参加申し込みは、以下のウェブサイトからできます。

外国人集住都市会議2006

こちらのウェブサイトもご覧ください(これまでの会議の資料が載っています)

外国人集住都市会議

11月7日山脇先生講義終了

11月7日の法政策論では、「多文化共生政策の現状と課題」というテーマで山脇啓造先生(明治大学)に講義をしていただきました。以下、塩原による講義のまとめです。

(詳細は配布レジュメ参照:ここからダウンロード)

1.グローバリゼーションと少子高齢化
先進国に限ると、10人にひとりは移民の時代である。少子高齢化も進行している。日本の高齢化率はすでに20%を超えており、将来も急速に進行していくことが予想されている(生産年齢人口の減少、人口動態の激変)。

2.多文化共生社会とは
こうしたなかで、外国人労働者受け入れが議論されるようになってきた。日本社会に住む外国人数の増大とその定住化が進行している。その背景には、国際結婚が急増しているということもある(東京で10組に1組)。
そして「多文化共生」が重要な課題として注目されている。この言葉自体は新しいもので、ここ10年くらいの歴史しかない。90年代半ばの「多文化共生センター」の立ち上げ以降、草の根の動きのなかでキャッチフレーズとして広まっていった。その後、行政のキーワードとしても使用されるようになった。昨年、総務省が初の多文化共生研究会を立ち上げた。
 80年代、自治体レベルの国際交流が具体的施策として出現(国際交流協会・国際課など)。それは基本的には外国との交流、外国から来た人との交流を意味していた。したがって、外国人はあくまでゲストという考え方が主流だった。それに対して多文化共生という考え方は、地域住民として、対等なパートナーとして認めあうものである。
 また、外国人支援という概念と多文化共生の概念も区別したい。後者は、前者よりも大きな概念としてとらえたい。
 多文化共生とは、複数の文化が並存しているのではなく、それらが交じり合って、ダイナミックに変化していくものと考えたい。そういう意味で、それは「多文化の共生」ではなく、共生するのはあくまでも人と人である。

3.国の外国人政策
日本には出入国政策はあっても、社会統合政策はなかった。むしろ外国人の定着を防ぐ政策をとってきたと考えてよいと思う。あったのは、いかに外国人を「管理」するかという政策だった(レジュメ年表参照)。
1988年には、政府は「単純労働者」の受け入れには慎重な姿勢を示したが、90年代には日系人、研修生、技能実習生といったかたちで実質的な「単純労働者」の受け入れが始まった。
現状では、日本政府内に外国人政策に責任を負う部署がない、一種の無責任体制だが、ここ数年、自治体(集住都市会議)や財界からの提言、あるいは政府の研究会・審議会の提言・答申が、積極的な外国人政策を進めるように進言してきた。
など)。今年の3月に、総務省「多文化共生の推進に関する研究会」報告書が出され、それをもとに総務省は「地域に多文化共生推進プラン」を出した。これが、自治体国際化についての政府が提示した3つ目の柱(国際協力、国際交流、多文化共生)となった。
今年4月7日の経済財政諮問会議で、重要な議論がなされた。そこで当時の竹中総務大臣が総務省報告書を紹介した。外国人労働者・犯罪者問題についての検討はこれまで政府で行ってきたが、生活者としての外国人については政府の検討の場がない。それに対して小泉首相は、合法的に外国人に入国を認めた以上、その生活環境を保障するのは国の責任であると発言。日本首相がこのような言及をしたのは初めてのことであった。そして、当時の安倍官房長官が省庁横断的に取り組んでいくことを指示した。それ以降、省庁がめまぐるしく動きだした。6月に省庁横断的な検討の場として、「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」がはじめて「生活者としての外国人」への対応について中間まとめを発表した。今年の骨太の方針にも、はじめて「多文化共生社会の構築」という文言が入った。こうして住民としての外国人への取り組みがようやく国レベルで始まっている。

4.自治体の外国人施策
こうした国の取り組みの開始の背後には、それ以前の長期にわたる自治体の取り組みがあった。1970年代の在日コリアンの運動から、80年代の「地域の国際化」とニューカマー外国人住民の増大を受けて、自治体の施策が「人権型」「国際型」から「統合型」にシフトしていった。また外国人施策に関するビジョンづくりも進んだ。集住都市会議「浜松宣言」2001年を皮切りにいくつかの宣言がなされた。
2005年を、「多文化共生元年」と呼んでもよいだろう。同年3月には、川崎市の多文化共生社会推進指針が出された。これは多文化共生をうたった全国初のプランであり、そのほか、立川市、群馬県、長野県、磐田市、新宿区などでさまざまな施策がなされた。自治体は政府に先んじて、多文化共生に取り組むための部署を次々に設置しはじめている。

5.多文化共生のまちづくり
コミュニケーション支援、生活支援、多文化共生の地域づくりなどが行われており、そのための担当部署の設置、庁内連携、市民と行政の協働(NPO・市民セクター、企業など)の仕組みづくり。たとえば学校と地域の連携など(例:いちょう団地 多文化共生交流会やPTAを中心とした獅子舞サークル、磐田市の設立した多文化交流センター、兵庫県子ども多文化共生センター)など

6.グループ討論
グループ討論は10分間、各自がポストイットに自分の意見を記入し、その後グループのまとめ役がA3の紙に各メンバーの意見を貼り付けて集約し、グループごとに意見をまとめて報告係の人が発表しました。その後、授業の残り15分ほどで、山脇先生が議論をまとめられました。
グループ討論の内容については、こちらのファイルを参照してください。

グループ討論で出た意見・質問(ダウンロード)

グループ討論についての山脇先生のコメントとしては、以下のような点が強調されました。
・多文化共生社会の形成のために大学生ができることは何か、考えてほしい
・多文化共生の取り組みにおける外国人市民自身の参加の重要性
・多文化共生は「結果」ではなく「プロセス」である
・メディアについては、既存のメディアの役割は重大であるが、オルタナティブな媒体を使用した市民メディアに可能性があるのではないか
・自治体、NPO、学校、国、企業、メディアなど、さまざまな主体が多文化共生に取り組むと同時に連携していくことが重要だが、連携の仕組みづくりは国が責任をもって行うべきであり、そのためには多文化共生社会基本法の制定が必要である。

10月31日児玉先生パワポ

10月31日の児玉先生の講義で使用したパワーポイントのファイルをアップしました。

児玉先生講義パワポ

【法政策】新聞記事:難民認定訴訟:反政府活動イラン人の請求認める

10月31日の法政策論の授業で講師をしていただいた児玉先生の関わっている訴訟の判決がでました。
講義でお話いただいた「難民性の認定は、迫害の危険が10%でもあれば認められるべき」という原則が認められた貴重な判例になるかもしれません。

毎日新聞記事本文へ

<上の記事からの転載>
 来日後にイラン政府打倒を掲げる政党に入党したイラン人男性(38)が難民認定を求めた訴訟で、東京地裁は31日、原告勝訴の判決を言い渡した。鶴岡稔彦裁判長は「イラン政府に活動を知られると迫害の対象になる可能性は十分にあり得る」と指摘した。男性側によると、来日後の反政府活動だけを理由に難民と認めた判決は初めて。

 ▽法務省入国管理局の話 主張が認められず遺憾。控訴するか否かは、判決内容を十分検討して判断したい。

【法政策】10月31日児玉先生関連シンポジウム

10月31日の法政策論でお話いただいた弁護士の児玉先生に関連するシンポジウムのお知らせです。

日弁連シンポジウム

10月31日講義関連情報

10月31日に講義していただく弁護士の児玉晃一先生の参加するシンポジウムのお知らせです。31日は、このシンポの内容についても質問してみるといいかもしれません。

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緊急シンポジウム
最高裁決定を検証する
アミネさん家族は、本当に帰らなければいけないの?

 去る10月10日、最高裁判所は日本での在留を求めるアミネさん家族の上告を棄
却するとの決定をしました。裁判官のうち一人は裁決書が作成されていないことにふ
れ、「裁決の取消し事由にあたる」と意見を述べています。しかし司法の最終判断が
出たことにより、法的にアミネさん家族を救済する道は閉ざされました。アミネさん
家族は1999年12月、いわゆる在留特別許可取得一斉行動の第二陣として他の4
家族と共に出頭し、翌年6月に在留特別許可を認めないとの裁決が出されていまし
た。
東京地裁はアミネさんらの訴えを認めましたが、高裁では逆転敗訴となり上告してい
ました。出頭時、アミネさんの長女は、小学校5年生でしたが、今では高校3年生に

学をしています。長女はイランの言葉も分かりません。文化も習慣も異なる国に送還
されれば想像を絶する過酷な生活が待っていることは明らかです。残された道は再審
情願しかありません。いま最高裁判決を検証し、アミネさん家族が日本に在留できる
道を探りたいと思います。皆さんも是非一緒に考えて下さい。

日  時 2006年11月4日(土) 午後2時30分~4時30分まで
場  所 板橋区立グリーンホール 701(Tel:03-3579-2221)
       (東武東上線大山駅下車徒歩5分、都営三田線板橋区役所前駅下車徒

7分)
参加費     1000円(資料代を含む)
○プログラム○
基調講演 児玉晃一さん(弁護士)
 テーマ 「最高裁裁判決を検証する」
パネルディスカッション
 パネリスト 村田 敏さん(弁護士)  山田 泉さん(法政大学)
       鈴木江理子さん(一橋大学)
 コーディネーター 渡戸一郎さん(明星大学)
 特別報告 山田正記さん(弁護士)

      主 催 ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY(A.P.F.S.)
          在留特別許可を求める非正規滞在家族連絡会(家族会)

      連 絡 東京都板橋区大山東町26-9 伊澤ビル1F
           TEL03-3964-8739 E-mail : GZL07472@nifty.com

e-Learningとブログの関係について

法・政策論の講義では現在、e-Learningを使用していますが、ブログの立ち上げにともない、今後はブログを中心に運営していきます。現在e-Learning上にあるファイルなどは順次ブログに移し変え、最終的にはブログだけに一本化する予定です。

講義の進め方

法・政策論では、学生の主体的な参加を図るため、講義時間の90分を以下のような進行で行います。
50分―講師による当該テーマの講義
15分―学生によるグループディスカッション
25分―以上に基づく、質疑応答、講師を含めた全体討論