外国人に関わる法律問題(3)

レジュメの補充 2007年1月30日  担当: 鈴木美弥子

Ⅰ 判決のポイント (詳細は配布資料参照のこと)
(2)について
(1) で、契約はいまだ成立していなかったとされたため、契約「準備」段階の信義則上の
義務(契約締結の準備が進展し、契約成立が確実なものと期待するに至った場合、相手方の右期待を侵害しないように誠実に契約の成立に努めるべき信義則上の義務)の違反が問題にされた。

Xと直接交渉したY1(キンキホーム・不動産仲介業者) - Y2の履行補助者
→ 法的には、Y1の義務違反は、Y2の義務違反となる(Y1自体は独立して責任を負わない)

Ⅱ 本判決に関係する法的論点
(1) 契約自由の原則
本ケースでは、(a)締結の自由、(b)相手方選択の自由、が問題となる。

契約の自由にも修正あり
(a)(b) 承諾の強制 - 医療、 電気・ガスの供給(法律で規定)
(c) 給付の目的物の品質について行政法的規制 - ガス 、 食品

特に、以下、Ⅲ類似事件の判決、で大きく取り上げられているように、契約締結、相手方選択の自由は、この種の事件において出発点とせざるえないものである(本判決でも、同様に重要である)。

(2) 憲法の人権規定の私人間効力
 (本ケースでは)外国人にも、日本国民を対象としていると解される人権は除き人権が保障されるということを前提にして、私人間で人権侵害が行われた場合に、憲法を適用して、当該人権を救済していくべきかが問題となる (本判決-p.126 原告の主張も参照のこと)。

憲法の人権規定-国家(強大なもの)が私人(国家からすれば弱者)の権利・自由を保障する、侵害してはならない、という規定
私人間-対等な関係にあるはず、それゆえ当事者に任せる→私的自治の原則→契約自由の原則

私人間に憲法の人権規定が直接に適用すると、国家権力が憲法価値を押し付けることになり、私人間の行為が大幅に憲法により規制をうけることになる。

以上の諸点を考慮 - 間接適用説

Ⅲ 類似事件の判例

レポート・プレゼンの課題を考える際に、参考にすること。