1月23日山口智之さん講義終了

講義のながれ - レジュメ補充 (鈴木美弥子)

はじめに - APFS(ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY)の紹介
http://www.jca.apc.org/apfs/index.html

・ 1987年12月設立
    地元(板橋区)でバブル景気で出稼ぎ労働に来ていたバングラディシュ人と知り合い、これらの人が直面する労働、医療問題等の相談を開始(その後、個人としての相談の受付けから団体へ、相談者もアジア人一般へと拡大し、現在に至る)
一方的な支援ではなく、相互扶助(日本と外国人相互、外国人相互)を目的とする
・ 活動
相談活動 - 労働相談 ほか
地域から発する多文化共生  - アジアン・フェア(民族の祭り)
入管局への人道的配慮を求める申入れ活動(配布の新聞記事のアミネさん一家等)
常勤2名、あとはボランティア 運営委員(16名)は、日本人と外国人半々

1 日本で暮らす外国人住民
1980年代に急増、当時はバブル景気、3K仕事に就く
現在、非正規滞在者22万人のうち、在留資格が切れた後オーバーステイで19万人
不法入国者(コンテナ船などで密入国)は3万人といわれている

労働相談 - 賃金不払い、不当解雇、労災など
外国人に対しても、労働法は適用されるが、実際は、雇用主はこれを無視した扱いをするケースが多い。
・ 会社倒産による未払いは、その80%は労働福祉事業団が事業主に代わって立替払いしてくれるので(賃確法-賃金の支払の確保等に関する法律-第7条)、問題は少ない。
・ 8時間以上の労働の場合、25%、休日出勤35%、深夜労働25%(左記二つの条件が重なる場合は、その分のパーセンテージが追加)の割増し賃金が支払われることになっているが、外国人の場合支払われないのが実態。
・ 36(さぶろく)協定(労基法36条の残業、休日出勤の協定。36協定をしないで残業、休日出勤をさせると、6ヶ月以下の懲役か30万円の罰金)の無視
・ 未払い賃金、残業代が在るとしても、タイムカード、給料明細もないことが多く、確定することが困難。
・ 整理解雇の場合は、やむをえない場合のみだが、外国人の場合、そのような場合でなくとも解雇される。解雇されても、不法滞在かつ言葉の問題から、労働基準監督署、NPOにも相談にいけない。30日の猶予があるはずだが、即日解雇が多く、失業保険に入っていないので、即日生活に困る
・ 労災で仕事ができないときは、賃金の80パーセント給付され、障害認定の給付金も受けられる。しかし、これらは、労災の申請を条件とし、これには事業者の証明が必要である。会社が労災隠しをすると非常に困る。
・ 非正規滞在者は社会保険に入らず、雇っている側も不法就労助長罪となるため雇用の事実を隠す。- 労災以外、病院に事実上行けない。

2 在留特別許可
非正規滞在者(不法滞在者)の滞在の合法化 - 在留特別許可
従来、日本人と結婚した者が取得したケースが多かった。
1999年に、17家族64名が、APFSの支援のもと、日本に強固な生活基盤を持ち、故国に帰っても生活基盤ないような者に在留特別許可を与えるよう入管局に出頭し求めた。その結果、日本に両親が10年以上継続的に居住かつ、子供が、小さいうちに日本に来たか、日本で生まれ、中学生以上になっている10家族42名に許可が出た。

配布の新聞記事のアミネさん一家のケース(詳しくは、APFSのHP) - 当時、娘のマリアムさんが11歳だったため許可が出なかった。このため、訴訟提起し、一審では勝訴したものの、二審、最高裁と敗訴し、イランに帰国せざるえない状況にある。現在、退去命令は出ているが、仮放免ということで自宅にいる。18歳のマリアムさんは大学に合格しているので、大学に入学すれば、上陸特別許可が出るということだが…

非正規滞在者 - 出稼ぎ労働者 - 家族・親類に送金 - 日本に長期的にいたいので、危険な犯罪には近づかない

3 入国管理行政のあるべき姿とは
長期的展望なき入管政策
・ 留学生10万人計画 - 当初は、日本で生計がたたない人も留学生として受け入れ
・ 研修生、技能実習生の名目での受入れ - 実際は、非常に安い、最低賃金にも満たない額で働かされている。
・ 日系人の受入れ - 治安の問題から厳格化へ方向転換
・ 安易な受入れから始め、問題が出てくると、厳しくするというパターン

4 ディスカッション
 テーマ: 非正規滞在者の受入れを含め、日本における多文化共生は可能か
参考: 山口先生と高橋先生のやりとりから
   在留特別許可が認められる要件を満たす(ような状況にある)不正規滞在者は、在留特別許可により在留の合法化を認めるべきではないか(やむをえない)。しかし、それ以外の不正規滞在者については、日本の外国人受入れ政策の問題である(帰国もやむなし)。

5 講義の本題とは別に - 外国人の賃貸借の問題
APFSが過去に受けた不動産業者からの相談 
- 一人に狭い部屋を貸したら多人数で住む、ごみの分別をしない、カレーの香り
外国人への身元保証人の紹介の組織もある