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外語祭125周年:受け継ぐ想い、広がる未来 〜外語祭実行委員会三役局長・春名学長対談〜

外大生インタビュー

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2025年11月20日(木)〜11月24日(月・祝日)にかけて、第103回外語祭が開催されます。

外語祭の起源は、125年前の1900年に遡ります。「講演会」(1900年〜1908年)から始まり、「語学大会」(1919年〜1928年)、「語劇大会」(1930年〜1936年)、「語劇祭」(1947年〜1954年)、「外語祭」(1955年〜)と形や名称を変え、今日まで続いてきました。(※戦争や学園紛争などによる中断あり)

第103回を迎える今年の外語祭のキャッチコピーは、「世界がもっと、近くなる日」。今回のTUFS Todayでは、外語祭の運営を担う外語祭実行委員会の三役局長陣と春名学長の対談の様子をお届けします(対談は10月上旬に実施)。準備の様子や今年の見どころ、外語祭にかける想いについて、お話を伺いました。

対談者

  • 春名 展生 東京外国語大学長(以下、「春名学長」)
  • 委員長:奈良 静磨(なら・しずま)さん(国際社会学部・ビルマ語3年)
  • 副委員長:杉山 芽衣(すぎやま・めい)さん(国際社会学部・ロシア語3年)
  • 会計:五十嵐 健太(いがらし・けんた)さん(言語文化学部・英語3年)
  • 会計:濱田 彩花(はまだ・あやか)さん(国際社会学部・ヒンディー語3年)
  • 屋内-装飾局長:竹下 宗助(たけした・そうすけ)さん(国際社会学部・フランス語3年)
  • 企画局長:松井 麗奈(まつい・れな)さん(言語文化学部・英語3年)
  • 広報局長:山下 翔平(やました・しょうへい)さん(言語文化学部・インドネシア語3年)
  • 語劇局長:高橋 充聖(たかはし・みさと)さん(国際社会学部・ドイツ語3年)
  • 事務局長:中嶋 蒼太(なかじま・そうた)さん(国際社会学部・英語3年)
  • 渉外局長:稲田 和奏(いなだ・わかな)さん(国際社会学部・ドイツ語3年)
  • 野外ステージ局長:荒木 七海(あらき・ななみ)さん(国際社会学部・アラビア語3年)

取材担当

  • 大学院総合国際学研究科博士前期課程2年 星野 花奈(広報マネジメント・オフィス 学生広報スタッフ・学生ライター)

外語祭の歴史と運営の舞台裏

春名学長 もうすぐ外語祭ですが、率直な今の心境はいかがですか?

奈良委員長 「時間が一瞬で過ぎ去ったな」というのが正直な感想です。昨年のフィナーレを見てから委員長になることを決意したのですが、それから一週間くらいしか経ってないんじゃないかと思うほどです。昨年の外語祭を越えようという思いで、我々はずっと頑張ってきたので、ワクワクしている部分もあります。少し不安はあるんですけれど、ここにいる三役局長が自分よりずっと頼れる人たちなので、そこまで不安になる必要もないのかなと思っています。

杉山副委員長 「ついにこの時期になってしまったな」というのが率直な思いです。自分にとって3年間の集大成という思いが強く、1・2年生の時に変えたいと思ったことを、どうやって今年の外語祭に活かしていくかということを考えてきました。そういった点で、自分にとって今年の外語祭は大きな存在だと考えています。やっぱり今は忙しくて、多くの委員と関わる機会がありますが、改めて三役という立場になって、本当に一人一人の仕事で外語祭ができているのだなと毎日実感しています。このまま最後までみんなで駆け抜けていけたらなと思っています。

春名学長 お二人とも前からの引き継ぎということに触れていますが、私からすると、ひょっとしたら前よりも外語際実行委員会の3年生の方々は大変になっているのではないかと思います。というのも、就職活動がどんどん前倒しになっていますよね。おそらく同期の方々は就職活動に注力している中で、外語祭にかけていることに対して頭が下がる思いもあります。外語祭にかけた分だけ、なにか成果が出ると良いなと強く願っています。

学長室にて対談

春名学長 準備を進める中で、印象に残っている出来事や、良かったこと、悪かったことなどはありますか?

松井さん(企画局長) 企画局は、本部企画を毎年16個運営しています。主に2年生が担当しているので、3年生はサポート的な立場に回ることが多いです。一番大変なのは、「新しい本部企画を採用するかどうか」の判断をすることです。下級生がたくさん提案してくれるので、本当は全部採用したいのですが、やはり予算等の兼ね合いもあって、どの新企画を採用するか選ぶ必要があり、それが大変だったなという印象です。準備としては、企画によって進捗具合が違うので、全体を見た上で、それぞれにアドバイスをすることが難しいところです。

松井さん(左)

荒木さん(野外ステージ局長) 野外ステージ局の一番大きい仕事は、出演希望団体から動画を送ってもらい、それを見てオーディションをすることです。これまでは個別に見てきたこともあり、採点基準もバラバラでした。発表できる枠は限られているので、「基準をしっかり決めて、みんなでオーディションをする必要がある」と考えてきました。実際に局長になった今年から、動画をスクリーンに映しながら、丸一日かけて全員でオーディションを行うことができたので、今回はうまくいったと思っています。また、野外ステージの後ろに飾っているバック幕というものがあるのですが、昨年までは外部の方に依頼して作っていました。今年はデザインをしたいと名乗り出てくれた局員がいたので、その学生が中心となって、みんなで一から作れたことも良かったなと思っています。

荒木さん

中嶋さん(事務局長) 事務局は、主に1年生の料理店と、サークルや有志団体の模擬店のサポートをしています。そして、今年からグラウンド側の模擬店を増やすことになっています。コロナ前の第97回外語祭まではグラウンド側にも模擬店があったのですが、コロナを経て、グラウンド側に模擬店がない状態が続いてきました。グラウンド側には円形回廊やプロムナードと違って屋根がないので、テントを建てる必要があります。そのテントを建てるにあたって、「いつ建てるのか」「何張り必要なのか」「電力はいつ引くのか」など、ノウハウが蓄積されていない中で、委員会に残されている過去の資料を遡って確認していくのがとても大変でした。

中嶋さん

五十嵐さん(会計) 私はいま保険業務を行なっています。企画参加者、委員会メンバー、来場者の方々に関わる保険を契約するという業務です。苦労しているところとしては、ずっとプレッシャーがあるということです。万が一の事態では命にかかわる可能性もありますし、保険の契約で失敗が起きてしまうと、その後の処理ができなくなってしまいます。このプレッシャーはきっと外語祭が終わるまで拭えないものだと思います。一方で、保険業務を通じて各局と関わりながら仕事ができていることに対しては、やりがいを感じています。

五十嵐さん

濱田さん(会計) 私自身が苦労していることとしては、やはり会計業務は責任が大きいという点です。大きな金額が動くこともあるので、判断を下す時には丁寧に何度も確認して、ミスがないように心がけています。一方で印象に残っていることとしては、昨年までは会計が1人だったのですが、今年からは2人体制となり、一人増えるだけでできる範囲が全然違うということを感じています。昨年までは見きれなかったことを、委員長、副委員長、そして会計2人の、三役4人だからこそカバーできています。また、4人とも個性が異なり、委員長や五十嵐さんは推進力を持って動いてくれて、副委員長はめちゃくちゃ外語祭が好きということで、みんなが気づかないことまで気づいてくれます。本当にこの4人で三役ができて良かったなと感じています。

濱田さん

杉山副委員長 副委員長の仕事として一番大きいのは、シフトの作成です。本部員250人が外語祭期間中にどういう動きをするのかというシフトを組む仕事です。必要な仕事にただ人を割り振っていくだけなら機械的に終わるかもしれないのですが、実際には全体のバランスや労働時間を考える必要があります。このシフト作成は7月から始めたのですが、シフトに触らない日はないくらいやってきました。現在は各局から情報が集まり、最終調整の段階に入っているのですが、本部員にとっても、外語祭の運営にとっても、良い形のシフトができるようにと、強い責任感とやりがいを感じています。先ほど濱田さんが言ってくれたように、自分は外語祭が本当に大好きなので、この仕事は天職だと思っています。最後まで自分の強みを活かして頑張りたいと強く思っています。

杉山さん

奈良委員長 委員長はもちろんリーダーなので、人前に立って話すことが多いのですが、そこに苦労を感じることもあります。春名学長は慣れていらっしゃると思うのですが、僕は苦手ではないけれど緊張しがちなので……。全体委員会といって局員全員が集まる場があるのですが、その時にも250人を前にして話すので、大きな組織の上に立っているということを毎回思い知らされます。もちろんそれは重責ではあるのですが、やりがいでもあります。

奈良さん

高橋さん(語劇局長) 語劇局もほかの局と同じく、例年を踏襲しつつ、新しいことをやらなければいけないという部分はあります。ただ、語劇は伝統も長いので、これまで通り語劇を無事に開催できるような土台と環境を作ることを意識しています。1年半しか学習していない専攻語を、演劇という慣れない形で披露しなければならないですし、それは全員が全員得意としていることではないかもしれません。それでも、最後にはやりがいを持って終えられるように団体の方々をサポートすることが、私たちの主な仕事です。コロナ禍の制限が緩和されてから、世の中にさまざまなエンタメが増えて、各団体がやりたいことをイメージして提案してくださるので、語劇局としてもプロメテウスホールの機材について学ぶなど、さまざまなノウハウを蓄えて、団体の皆さんに届けられるように準備しています。本番を無事に終えられるように、機材の管理や観客の案内という基本的な仕事も疎かにしないように努めていきたいと思います。

高橋さん

稲田さん(渉外局長) 渉外局は、外語祭を盛り上げていくために資金を集めるのが仕事です。資金集め方法の一つには、協賛金として地域のお店や企業の方々にご協力いただくというのがあります。企業とのやりとりでは、1年生からビジネスメールを書かないといけないので、そういったものを教えていくのが最初の課題でした。それでも、やる気のある1年生が多いので、だんだん企業の方とも上手にやりとりできているのを見て、安心しているところです。それと外語祭期間中にグッズを販売するのですが、今年は渉外局と広報局で一緒にデザインをしたので、よりレベルアップしたものになっていると思います。やりがいとしては、個人協賛として卒業生の方から寄付をいただくことが多いのですが、その際に毎年温かいお言葉をかけていただくことが多くて、それが渉外局一同のやりがいになっています。

稲田さん

春名学長 大変な仕事ですね。話を伺っていると、本当に一つの企業のように感じます。渉外局の存在は初めて知ったのですが、考えてみれば必要不可欠な役割ですし、企業で言えば営業部門にあたるでしょうか。どういった企業から協賛金をいただいているんですか?

稲田さん(渉外局長) 東京外大生が多く通っている自動車学校や、大学の敷地内にあるPAL国際保育園など、日頃から本学の学生を応援してくださっている企業や個人の方々から協賛していただいています。

竹下さん(屋内-装飾局) 屋内-装飾局は一番新しい局で、もともとは事務局から派生してできた局です。屋内担当の仕事は屋内企画の管理・運営で、今年度は50を超えるサークルや団体の企画を担当します。もう一つの装飾担当では、屋内外の装飾を手掛けています。このように担当が2つあることが面白いところであり、難しいところでもあります。やはり局内でも「どちらの仕事により興味があるか」が分かれていたりするので、その中でどうやって2つの担当を両立していくかということを、局長として常に考えています。

竹下さん

山下さん(広報局長) 広報局の業務は、編集と宣伝という二本柱に分かれています。編集担当は、外語祭期間中にインフォメンションセンターという場所ができるのですが、そこで配布するガイドブックやキャンパスマップの作成を担当しています。宣伝担当は、地域の飲食店とのコラボメニューを立案したり、一橋大学やICUとのコラボ企画を考えたり、インスタグラムやWEBで外語祭の情報を発信しています。課題としては、私自身は局長に就任するまで宣伝を担当していたので、編集の仕事やノウハウがあまりわかっていなかったところです。外語祭が近くなるにつれて各局からの問い合わせも増えるので、編集担当との連携を意識しながら仕事をしています。さらに今年は大学の広報・社会連携課の方々に多大なるご協力をいただきまして、11月中旬に京王線新宿駅で外語祭の広告を流します*。春名学長もぜひお時間があれば、新宿駅にお越しいただければと思います。

*京王線新宿駅での外語祭広告:大学公式X大学公式Facebook

山下さん

春名学長 そうなんですね、楽しみにしています。外語祭には万単位で人が訪れるので、この大学にとって最大の広報の場となっています。プレッシャーをかけるつもりは全くないのですが、今まで通り自由に楽しくやっていると、それが高校生や地域の人々への良いアピールになるのではないかと思います。

春名学長

進化する外語祭と新たな取り組み

春名学長 今年の見どころや、ぜひ注目してほしい企画はありますか?

奈良委員長 今年はコロナ禍以降の基準となるような外語祭を目指しています。時代が移り行く中でも、ずっと愛され続けるような外語祭になるためには、進化し続ける必要があると考えています。昨年とは異なる点がいくつもあると思うので、それを感じていただきたいと思っています。

春名学長 今年は大阪・関西万博があったじゃないですか。万博には仕事で行く機会があったのですが、万博会場の大屋根リングを見て、「うちにミニチュア版があるのでは」と思いました。円形回廊には各地域の料理店が並びますし、外語祭期間中は万博のミニチュア版のような空間が広がるのだなと感じました。

中嶋さん(事務局長) グラウンド側の模擬店が復活するということで、僕としては人の動線に注目していただきたいです。円形回廊からプロムナードに抜けて、グラウンド側を通り、そして講義棟横の道を通ると、綺麗な三角形を描くような導線になっています。綺麗に元の場所に戻れるので、そこからまたプロムナードに抜けたり、講義棟の方に向かうことができます。昨年からこの動線に注目していたので、今年はどうしてもグラウンド側の模擬店を成功させたいと考えてきました。

奈良委員長 人の流れという点では、東京外大のキャンパスは比較的コンパクトですよね。それでもほかの大学と変わらない数の来場者が訪れるので、混雑が激しくなることがありました。昨年だと、円形広場に座り込まれる方がいたりなど、危ない場面もありました。そこで今年は快適さを向上したいと思い、飲食スペースを増やしたり、料理店の列整理のシフトを作成したりしました。より快適に外語祭を楽しんでもらえるような工夫もしているので、そういった意味でも人の流れには注視しています。

春名学長 おっしゃる通りですよね。実は今のキャンパスは、前の西ヶ原キャンパスと比べて約4倍の面積になっているのですが、緑が多い分、人が自由に動ける部分が限られていますよね。大学としても、そうした点に注目していきたいです。

キャンパスを見渡す

竹下さん(屋内-装飾局) 「どうすれば進化し続けられるか」を局内で話し合った結果、来場者の方々と一体化できるような装飾ができたらいいね、という話になりました。そこで、世界地図を飾って、行ったことがある国や出身地域にシールを貼ってもらうという体験型の装飾アイディアが挙がりました。また、これは企画局も関係しているのですが、今年の屋内企画では、屋内企画と外語祭の企画が連動するようなイベントを取り入れることになりました。

松井さん(企画局長) 毎年、「外語祭トラベラー」というスタンプラリーをやっているのですが、今年からは本部企画だけではなく、屋内企画もスタンプラリーの項目に含めています。来場者の方々がより多くの企画を回るきっかけになればいいなと思っています。外語祭をもっと盛り上げるために作った企画なので、新たな挑戦だと思いますね。

春名学長 委員長が言う通り、進化し続けていますね。安全性も考えつつ、参加型で楽しめるようにしているということで、本当によく考えているなと思います。いろんな人がいる中で、全体を見ながら、自分に何ができるかを考えるという経験は、今後どういった仕事に携わろうとも、絶対に活きてくるものだと思います。

広報局長のジャケットには昨年度の委員長からのメッセージが。「いつもお疲れ!インスタ担当 忙しいのにいっぱい依頼してごめんね!ありがとう! by委員長」

語劇がつなぐ世代、そして未来へ

春名学長 今年で外語祭はちょうど125周年となりました。長い歴史の中での開催となりますが、なにか思うことはありますか?

杉山副委員長 多くの方々の支えがあったからこそ、ここまで開催し続けてこられたということを毎日実感しています。私たちがいま外語祭を運営できているのも、今までの先輩方が必死に築き上げてきたものがあるからです。コロナ前の資料を探して新たなインスピレーションを受けることもあるのですが、毎年全力で外語祭に向き合ってくださった東京外大生の方々がいるからこそ、外語祭が100年以上続く伝統あるものになっていると思います。だからこそ、私たちも「昨年よりどう良くするか」「来年以降どう続けていくか」ということを常に考えながら活動してきました。

高橋さん(語劇局長) 125年というのは語劇が始まってからの歴史でもあります。毎年多くの卒業生の方々からお問合せをいただきますし、それだけ楽しみにしている方も多いです。語劇は、今の学生と卒業生の方が共通して話せる話題でもあると思います。大学の外から見ても、各専攻語による演劇というのはなかなか見られるものではないという点で、外語祭のアイデンティティの一つになっていると思います。語劇の場合は、新しく何かを進めていくというよりは、各団体の上演がレベルアップすることで、全体としてより良いものになり、それが外語祭の進化につながっていくと思っています。伝統を守りながら、新しいことを取り入れて、外語祭を進化させていけたらいいなと思っています。

春名学長 さまざまな形に変化していく中で、語劇は外語祭の核の一つとして受け継がれていますよね。それが世代を超えて語り続けられる部分でもあると思います。進化とともに伝統をどう維持していくのかということは、次の世代へのメッセージにもなりますね。今年の外語祭も楽しみにしています。本日はありがとうございました。

記念写真

第103回 外語祭

2025年11月20日(木)〜11月24日(月・祝)

外語祭公式HPはこちらから確認いただけます。

https://gaigosai.com/

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