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Humans of TUFS「社会的に立場が「弱い」とされる人々の声を大切にする」国際社会学部・石田凌太さん

外大生インタビュー

7月に都内で開催された「となりの宋さん」写真展をご存知でしょうか。日本軍「慰安婦」被害を訴えた在日朝鮮人の宋神道(ソン・シンド)さんと、彼女を支え続けた「在日の慰安婦裁判を支える会」の人々の写真が展示されました。また映画上映やトークショーも開催されました。その写真展を開催したメンバーの中には東京外大生もいました。今回はそのうちの一人である国際社会学部3年の石田凌太さんにお話を伺いました。

——石田さんはどうして外大に入学し、今はどんなことを学んでいますか。

そもそも東京外大に入った理由は、英語が好きで言語を学びたいと思ったから、そしてなんだかカッコいい響きの国際関係論も勉強してみたかったからです。でもそれ以上に自分にとって面白いと思えることにここで出会いました。ジェンダー論です。一年生の秋学期の「ジェンダー論入門」という授業がきっかけで、もっと勉強したいと思いました。今は金富子先生のジェンダー論ゼミで勉強していますが、そこでまたしても予想もしていなかった出会いがありました。

——どのような「予想外の出会い」があったのですか。

日本軍「慰安婦」問題について学んだことです。それは所属しているゼミの金富子先生の紹介で「キボタネ若者ツアー」という韓国に行って「慰安婦」問題について学ぶプログラムに参加したことがきっかけでした。参加費が三万円のプログラム(現在は変わっているかもしれません)だったのですが、日本軍「慰安婦」問題のことは詳しく知らないけど三万円で、韓国で勉強できるなら、という軽い気持ちで当時は参加を決めました。他の参加者の方々は並ならぬ思い入れを持って参加されていました。軽い気持ちで参加したプログラムでしたが、人生で一番の衝撃を受けました。今まで自分がメディアで見聞きしてきたことと全く違うことがそこにはありました。日本軍による加害の実態、戦後処理の不始末など今まで自分が知ることのなかったことを周りの人に伝えるために、何かしないと、という思いを持って帰国しました。

——強い思いを胸に帰国されたのですね。

私はずっと、『社会的に立場が「弱い」とされる人々の声を大切にしたい』と考えていました。当然ですが、社会には「強い」立場の人「弱い」立場の人がいます。両者の関係性の中にこそ、そうした構造を打破するヒントが隠れていると私は思います。この関係性を考えるとき、やはり無視されることの多い「弱い」側の声に私は耳を傾けたいのです。「慰安婦」問題に触れて、さらにこの気持ちが強くなりました。そして運営スタッフの一員として「となりの宋さん」写真展を開催することになりました。

——写真展の準備はどうでしたか。

以前も葛飾区で同様の写真展があったそうで、その写真展を開催された方々に主導していただきながら準備しました。今回はクラウドファンディングで写真展開催に必要な経費を募ったのですが、私はその担当者でした。予想以上に大変でしたが、最終的には目標金額を達成することができました。私たちの活動に賛同してくださる方がそれだけ多くいらっしゃるのだと実感し、非常に嬉しかったです。

——写真展で伝えたかったことは。

日本軍「慰安婦」問題を知ってもらう、という目的もあったのですが、一番の目的は日本軍「慰安婦」被害を訴えた在日朝鮮人の宋神道(ソン・シンド)さんの人生を知ってもらうことでした。いつも「慰安婦」という括りで見られてしまうけれど、そうではなくて宋神道さんという一人の女性が居て、その人だけの人生があったということを知って欲しかったのです。政治的なフィルターだけで見てほしくはないと思います。

取材・執筆:Humans of TUFS

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