東京外国語大学 総合文化研究所

所員 出版紹介2005

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『悪霊』神になりたかった男

亀山郁夫著、みすず書房、2005年6月9日

ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。作家の全人格が凝集されているこのテクストには、人間の〈堕落〉をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいています。文学のリアリティとは、人間の可能性とは? 一人の男がさまよいこんだ精神の闇をともに探究してみましょう。

 

みすず書房 ウェブサイトより

 

 

ドイツ現代演劇の構図

谷川道子著、論創社、2005年11月

書評:柳原孝敦(『総合文化研究』第9号)

アクチュアリティと批判精神に富み、つねに私たちを刺激しつづけるドイツ演劇。その豊かで深い森に遊ぶための恰好の道案内の書。

 

 

 

 

カーテン:7部構成の小説論

ミラン・クンデラ著、西永良成訳、集英社、2005年10月

書評:谷川道子(『総合文化研究』第9号)

世界文学の最高峰クンデラの評論集。
2005年に刊行400年を迎える『ドン・キホーテ』を中心に小説の擁護を展開する評論集。カフカ、フロベール、トルストイ、大江健三郎らを論じながら、小説の面白さを探る。

 

 

 

 

『カンディード』〈戦争〉を前にした青年

水林章著、みすず書房、2005年7月9日

書評:柴田勝二(『総合文化研究』第9号)

「すべては最善の状態にある」と説く師の教えを無邪気に信じる青年カンディードには、“戦争”の現場さえも調和した光景に見えています。18世紀の作家ヴォルテールが描く“戦争”に直面した若者の場面を取り上げ、テクスト分析の手法で読み解いてゆくこの授業で、「読む」スリルと「共振」のダイナミズムを体感してください。

 

 

 

 

絵画の準備を!

松浦寿夫・岡崎乾二郎著、朝日出版社、2005年12月15日

セザンヌの描く人物の不思議さが、こんなにも生き生きと語られたことがあっただろうか? 画家にとって上手い/下手とは? モダニズムがなぜ今要請されるのか? カントの命題を映画『マン・オン・ザ・ムーン』に重ね合わせ、ベンヤミンの思想を召喚して日本国憲法を論じる。マティス、デュシャン、ポロック、美術と世界、法と暴力……、稀有にして奔放、不羈にしてスリリングな対話は、浅田彰氏をして「この本を読まずしていま作品を制作し鑑賞することができると思う者は、よほどの天才でなければサルである」と言わしめた。

2002年セゾンアートプログラムから刊行され、大きな話題となった旧版はすでに絶版。今回、新規の対談五万字を第九章として増補した。新たに加えられた脚注は五百を数え、掲載図版は三百点に上る。全面的に著者の校閲を経た決定版。岡崎乾二郎装幀。

 

朝日出版社 ウェブサイトより

 

 

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