東京外国語大学 総合文化研究所

所員 出版紹介2001

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東南アジア文学への招待

宇戸清治・川口健一編著、段々社、2001年11月

書評:三枝壽勝・厳基珠(『総合文化研究』第5号)

本文は、東南アジアの6カ国を国別に分け、それぞれ3つの項目で構成。   ――各国の文学事情を社会や文化、歴史、言語の問題とともにとらえた【解説】、代表的な作家の詩や短編を紹介する【作品】、近現代文学史の【年表】。作品は全体で、短編10編、詩17編を収録。

本書をとおして、政治や経済の指標ではとらえきれない興味深い東南アジア文学の世界が味わえよう。

段々社 ウェブサイトより

 

 

現代カンボジア短編集

岡田知子編訳、大同生命国際文化基金、2001年1月12日

書評:小林二男(『総合文化研究』第5号)

5人の作家の13編の作品からなる短編集です。カンボジアは今日に至るまで、その政治体制が度々変わり、国民は茨の歴史を歩んできました。1953年にフランスから独立したのちも、ポル・ポト政権下では多くの文学者が犠牲になり、文学界は甚大な被害を蒙りましたが、それらの苦難を乗り越えて遺された珠玉の作品群です。

公益財団法人 大同生命国際文化基金 ウェブサイトより

 

 


和歌文学大系12 新続古今和歌集

 村尾誠一著、久保田淳監修、明治書院、2001年1月1日

書評:沓掛良彦(『総合文化研究』第5号)

将軍足利義教の執奏。後花園天皇の勅命により飛鳥井雅世が撰集した第21番目の勅撰集。以後も勅撰集の計画はあったが実現せず、二十一代集の掉尾となった。

 

明治書院 ウェブサイトより

 

 


 

三島由紀夫―魅せられる精神

 柴田勝二著、おうふう、2001年11月

書評:蕭幸君(『総合文化研究』第7号)

『鏡子の家』の父親はなぜ家から追いやられているのか?『春の雪』の冒頭はなぜ日露戦争の写真の話で始まっているのか?―など、これまで見過ごされてきた地点から作品世界を捉え、“魅せられる精神”の運動体として三島文学の全容を浮び上がらせる。“批評”と“研究”を融合させた本格的三島論。

 

 


 

ウルフ・ソレント Ⅰ・Ⅱ

 ジョン・クーパー・ポウイス著、鈴木聡訳、国書刊行会、2001年9月・10月

書評:加藤雄二(『総合文化研究』第5号)

ドストエフスキーやトルストイをも凌ぐ圧倒的な文学世界を構築したポウイスが、凶々しいまでに繁茂するドーセットの自然を背景に、人々が織りなす魂と実存のドラマを描いた、20世紀最高の文学作品。

 

国書刊行会 ウェブサイトより


 

無知

 ミラン・クンデラ著、西永良成訳、集英社、2001年3月

知らなかった。祖国を永久に喪失しようとは…「わたしたち、プラハで知り合いになったのでしたね?まだ、わたしのことを憶えていらっしゃる?―もちろん」亡命していた男と女はパリの空港で再会した。まだ若く魅力的な女イレナはパリから、かつてのプレイボーイでもはや初老の獣医ヨゼフはデンマークから、20年ぶりの故郷へ「帰還」する旅だった。そしてそれぞれの故郷に帰っていくふたりを待ち受けていた残酷で哀切極まりない運命とは…。

 

 


生は彼方に

 ミラン・クンデラ著、西永良成訳、早川書房、2001年7月

第二次大戦後、チェコスロヴァキアは混乱期にあった。母親に溺愛されて育ったヤロミールは、自分の言葉が持つ影響力に気づき、幼い頃から詩を書き始める。やがて彼は、政治的な思想を持つ画家や幼なじみから強い影響を受け、芸術と革命活動に身を挺する…絶対的な愛を渇望する少年詩人の熾烈な生と死を鋭い感性で描く。祖国に対する失望と希望の間で揺れる想いを投影した、クンデラの自伝的小説。仏メディシス賞受賞作。

 

 


芸術の名において:デュシャン以後のカント/デュシャンによるカント

 ティエリー ド・デューヴ著、松浦寿夫・松岡新一郎訳、青土社、2001年12月

書評:鈴木聡(『総合文化研究』第7号)

近代芸術の論理そのものを作品の主題へと転換したデュシャンの「レディメイド」。カント、フーコーの思想を鍵に、そのラジカルな芸術的実践の偉業を鮮やかに読み解き「近代」の意味を根底から問い返す。

 

 


 

出版紹介(年度別)