東京外国語大学 総合文化研究所

所員 出版紹介1997

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黒人のアメリカ:誕生の物語

荒このみ著、筑摩書房、1997年12月18日

書評:西永良成(『総合文化研究』第1号)

「アメリカの黒人」はどのようにして誕生したのか?奴隷解放ののち、苦難の道を経て、彼らはアメリカに留まりアメリカ社会の一員たることを選択する。著者はその誕生の時の立ちもどり、黒人たちのさまざまな「物語」のなかに彼らの「共生」の夢を探っていく。しかし真の共生はいまだに実現していない。黒人文化などさまざまな異文化が対等につくりだす「多文化」のアメリカは可能なのだろうか?著者は歴史の声に耳を傾けながら、そう問いかける。

筑摩書房 ウェブサイトより

 

 

ポルトガルの友へ:モラエスの手紙

ヴェンセスラウ・デ・モラエス著、岡村多希子訳、彩流社、1997年92月

31年間日本に住み、徳島の地に果てたポルトガルの文豪が三人の友人(ロドリゲス、アルブケルケ、カンポス)と交わした私信の本邦初訳。モラエスが神戸領事に就任した経緯、マカオに残した妻子のこと、徳島隠棲の理由など赤裸々に綴る。

彩流社 ウェブサイトより

 

 

 

 

スターリンという神話

ユーリイ・ボーレフ著、亀山郁夫訳、岩波書店、1997年2月13日

スターリンとは何者だったのか.同時代の知識人,政治家,民衆は彼をどう見ていたのか。本書は記憶と伝承によって語り継がれてきた寓話、伝説、アネクドートを収録。それらが描き出す人間像は、単なる独裁者ではなく、はるかに複雑な相貌を覗かせる。50年をかけて収集したスターリン・フォークロア。史実を凌駕する面白さ。

岩波書店 ウェブサイトより

 

 

 

 

驚くべきショスタコーヴィチ

ソフィヤ・ヘーントワ著、亀山郁夫訳、筑摩書房、1997年3月19日

書評:平野篤司(『総合文化研究』第1号)

悲惨と栄光のめまぐるしい変転に翻弄されたショスタコーヴィチ。芸術家の内面や私生活は決して聖域化されてはならないとの信念で、第一次資料を駆使し、天才のさまざまに屈折し分裂した内面を描ききった力作評伝。

筑摩書房 ウェブサイトより

 

 

 

土台穴

アンドレイ・プラトーノフ著、亀山郁夫訳、国書刊行会、1997年11月25日

1920年代の旧ソ連を舞台に、社会主義国家の建設をグロテスクに諷刺した中篇。理想の住宅を実現するために、土台となる穴を掘り続ける労働者、技師そして一人の孤児の少女。20世紀ロシア最大の作家の代表作。

国書刊行会 ウェブサイトより

 

 

 

 

24時間使えるベトナム語

川口健一著、自由現代社、1997年10月

ベトナムの日常生活の会話を朝起きてから夜寝るまで、一日の生活の流れに沿いながら、生きた現代ベトナム語の表現を教える。

 

 

 

 

 

地中海:ある海の詩的考察

プレドラグ・マトヴェイェーヴィチ著、沓掛良彦・土屋良二訳、平凡社、1997年1月

ヨーロッパの身体そのものであるかのような海――地中海を知と官能と批評精神をもって跋渉する稀有な詩的エッセイ。本邦初紹介。

平凡社 ウェブサイトより

 

 

 

 

最新日韓事典(日本版)

三枝壽勝監修、大同文化社・紀伊國屋書店、1997年6月

収録語数は10万語以上。現在日本で日常使用されている新しい単語を最大限収録し漢字も現在使用されている略字で編集。排列は、見出し語の五十音順。

 

 

 

 

表象のアイルランド

テリー・イーグルトン著、鈴木聡訳、平凡社、1997年1月

書評:杉浦勉(『総合文化研究』第1号)

ジョイス,ワイルド,バーナード・ショー――ヨーロッパの辺境、アイルランドから、なぜかくも偉大な文学者たちが輩出したのか? 文学作品を大胆に読み解きながら、アイルランドの文化的・歴史的風土の根底に刻みこまれたイギリスによる苛酷な植民地支配の記憶に迫る。文化研究、ポストコロニアル批評にすぐれた示唆を与える力作。

紀伊國屋書店 ウェブサイトより

 

 

 

ほんとうの私

ミラン・クンデラ著、西永良成訳、新曜社、1997年10月

書評:荒このみ(『総合文化研究』第1号)

ある山のホテルで知り合った中年男女。その直後女は離婚を決意し、その男と暮らすようになる。平穏な同棲生活を送っていたが、ある日女のもとに一通の匿名の手紙が届いた。「私はスパイのようにあなたの後をつけています、あなたは美しい、とっても美しい」とだけあった。最初は不愉快さをつのらせていたが、女の心は好奇心に変わり微妙に揺れ動いていく…。男と女の愛のかたちを描き、生の可能性を追いもとめるクンデラの最新作。

 

 

 

モデルニテ、3×3

小林康夫・松浦寿夫・松浦寿輝著、思潮社、1997年12月19日

文学、美術、映画、建築、パフォーマンス…近代芸術のあらゆるフェイズを照らし出し、いまもっともアクチュアルな言葉で思考を織り上げた、『近代』の諸相を横断する7つのダイアローグ。

 

 

 

 

バルカン・ブルース

ドゥブラヴカ・ウグレシィチ著、岩崎稔訳、未来社、1997年9月1日

書評:亀山郁夫(『総合文化研究』第1号)

ヨーロッパの火薬庫、バルカン半島の旧ユーゴスラヴィアにおける民族紛争のさなかに、クロアチア出身の女性作家が綴ったエッセイ集。民族主義を煽動するメディアのキャンペーン、国民的アイデンティティを再生する「忘却と想起のテロル」、指導者や知識人のプロパガンダを徹底して暴く、痛切な警鐘の書。

 

 

 

ティブル

イブラヒーム・アル・クーニー著、奴田原睦明訳、国際言語文化振興財団、1997年4月

書評:八木久美子(『総合文化研究』第1号)

物質文明とは隔絶された生活を送る遊牧民の男ウーハイド。あるとき、彼は美しい駱駝を手に入れるが、このときから彼の人生は大きく変わり始める。そして彼はティブル(砂金)目当ての人々に追われる身となっていく。

 

 

 

 

ミャンマー:慈しみの文化と伝統

奥平龍二監修、フジタ・ヴァンテ編集、東京美術、1997年1月

書評:石井和子(『総合文化研究』第1号)

「カタログ」フジタヴァンテミュージアム企画展。写真・映像・造形で触れる懐かしい未知の国・ミャンマー展。ミャンマーの素手の暮らしや、祈りの世界を写真、映像、造形を通して紹介。

 

 

 

 

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