2002年度 大阪市立大学文学部 集中講義 (8月5日-8日)


U 「メディア論」をめぐる言説の枠組み

メディアの展開とそれに伴う人間の知覚・認識・思考のあり方の変化(パラダイム転換)、それぞれのメディア段階・文化段階の特質

(1) マクルーハン、オングの基本的テーゼ

資料:マクルーハンのテーゼ概観

参考:「インターネット講義」第2回、第3回

いくつかの主要なテーゼ:

(a) The medium is the message. メディア・認識・文化・社会の相互関係
資料:メディア・文化・認識の形態と社会のあらゆる側面との相関関係

(b) メディアの発展段階−文化の発展段階: oral culture - literary culture - electric culture.

文化段階 前文字文化 文字文化 電子メディア文化
メディア 音声言語 筆記 印刷 電子メディア
時間・空間
(現前性)
いま・ここ
(現前的)
時間的空間的距離0
過去・遠隔
(非現前的)
時間的空間的距離の拡大
(擬似的)「いま・ここ」 +過去・遠隔
(疑似現前的)
時間的空間的距離0+拡大
身体性
感覚性
直接性
身体的
感覚的
直接的
非身体的
知的・論理的
間接的(記号を介して)
(疑似)身体的
(疑似)感覚的
(疑似)直接的
複製可能性 不可能 不可能 可能
反復・画一
可能

(c) メディアによる感覚変容
資料:感覚の変容

(d) 文字メディアのもつ線状的特質、活版印刷による文字文化の誕生、文字文化批判
資料:「文字文化」による感覚・認識の分断化――「視覚的」文化の認識様式
資料:文字文化の新たな段階としての「印刷術」
資料:新しい環境における旧来のシステムに対する批判

(e) 電子文化における「感覚性の回帰」、新しいテクノロジー・コミュニケーションの環境
資料:電子メディア文化における感性・認識の新たな段階
資料:電気時代における感覚の逆転
資料:新しいテクノロジー・コミュニケーションの環境


(2) ヴァリエーション

参考:「インターネット講義」第4回第5回


Cf: InterCommunication No. 38 pp. 060-061 「マクルーハンの幽霊」(InterCommunication No.38 特集記事の企画で北田暁大氏が選出したウェブサイトのリンク集)
とくにその中で:
Understanding McLuhan
http://www.voyagerco.com/catalog/mcluhan/indepth/index.html

The McLuhan Program in Culture and Technology
http://www.mcluhan.toronto.edu/


(3) 「メディア論」における基本的テーゼ(まとめ)

*では、文字メディアとは異なるパラダイムのうちにある電気/電子メディア(技術メディア)はどのような特質をもつものと位置づけられるか−−