2025年3月25日

桜開く前に旅立ちの

東京で桜の開花宣言がなされ、わずかにほころんだ桜の花びらがテレビ画面に映し出されていたのが24日のことである。それに先立つ21日、卒業式、修了式が無事に行われた。寒い日であったが、晴れ着姿のゼミ生たちがまぶしい。昨年度の卒業生が一人、現役(今年度の院ゼミを一緒にやっていた)D生が一人、お祝いに来てくれた。ありがとう!
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研究室では長年の懸案だった本棚の整理と蔵書のデータ打ち込みを、ゼミ生有志の力を借りて3月上旬に行い、およそ8割がたくらいは片付いたかと思われる。これまでは何の本があるのか当方しかわからないという状態だったのが、だいぶ見晴らしもよくなり、データとしても(まだ未整理ながらちゃんと整理し終われば)活用しやすくなるはずだ。本の持ち主としては読んできた本が総体としてあらわになって、頭の中身が露呈しているような変な感じだが...。まーそれはともかく、本を大切に扱いたい気持ちがようやく満たされて、シンプルに嬉しい。ゼミ生有志も、面白そうな本がいろいろあるのが解って楽しかったと言ってくれた。一人では到底、手を付けられなかった作業である。多謝!

2025年2月12日

学年末っ!!

そうこうするうちに立春を過ぎ、なぜか一層寒い日々が続く中、今年度のゼミの卒業式である「卒論等発表会」を一昨日、昨日と行うことができた。「等」は通常、3年ゼミ生の書くゼミ論、修士院生の書く修論を含むが、今年度は来年度の前倒しで2年生が共通論考を書き始めており、その第一稿の検討会も加わった。2年ゼミ生の多くが参加したので、総勢30名を超えるクラスサイズであった。
卒論生はそれぞれ晴れやかに卒論と大学生活を振り返り、修論生は堂々たるアカデミックプレゼンテーションを行った。3年ゼミ生はゼミ論セッションの他、コメンテーターやタイムキーピング、片付けや追いコンの仕切りなど、大活躍で助けてくれた。2年生もひとたび発言し始めればしっかりしたもので、頼もしい限りである。たくさん写真を載せたいところだが、最近は個人情報とかがアレなので、集合写真だけにしやうとおもふ。20250211a.jpg20250211b.jpg

吉祥寺へと流れた追いコンは賑やかに、しかしそこここにはじっくりと話し合う姿も見られて、ともあれあっという間の2時間であった。それにしてもみんな、いい笑顔である。ほんとうにお疲れさまでした!
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2025年1月 4日

今年もよろしくお願いいたしますー

2025年明けました!拙ブログを読んでくださるみなさまに、よいことがたくさんありますようにお祈りしております。

当方2024年最後の一カ月は、いつものゼミ生諸氏の論文準備追い込みもさることながら、12月21日に明治大学での国際シンポジウム報告、23日から29日までのセネガル出張の準備で、というかそれまでに年の瀬の仕事を終わらせなければならないこともあって、時間の余裕が全然ないままに過ぎていった。なんとかそれらをこなして、ようやくほっとした新年である。松がとれる頃には寒の入り、寒い日々が続くだろうが日差しは明るく暖かい。春の訪れを待ちながら丁寧に仕事をし、大切に暮らしていきたい。今年もどうぞよろしくお願いいたしますー。

2024年11月20日

あやかり同窓会(?)

 昨晩は下北沢で、拙ブログでも告知させていただいたNくんのB&Bのイベントが行われた。日が暮れて気温の下がったシモキタ西口からほとほとと歩いていくと、5分ほどで会場に着いた。ジェントリフィケーション(富裕化)という言葉が頭をよぎる。かつて小汚かったシモキタでよく遊んだ者としては、なんだか違和感がある。Nくんの本は、戦前から戦後にかけての広島の町を素材に、原爆の落ちた町のジェントリフィケーションやスラムの問題を問う意欲作なのだ。まあ、とにかく寒いから中へ入ろう!
 適当に狭くも広くもない会場は明るく暖かかった。Nくんがいた頃のゼミの卒業生が何人も到着し、なんとも懐かしい。それは、かれら・彼女らの卒業後も連絡を絶やさなかったNくんの功績なのだが、あやかりプチ同窓会状態である。他にもNくんの研究仲間たち、出版社のMさんなど、これまた懐かしい顔ぶれがー。一方で、Nくんが先生として指導してきた学生さんたちが(遠方からも!)参加していた。時間は確実に流れているわけである。
 イベントそのものは、登壇者のアーティストのお二人がとても生真面目にNくんの本を読んでコメントをしてくださり、巷の学者たちの(いや、もちろん例外もあるものの)書評会などよりもずっと良心的であった。Nくんは主役のはずだが、二人の登壇者の聞き手のように一生懸命、司会や段取り、タイム・キーピングをがんばっていた。まあ、ほかに司会はいなかったわけだが。それでも、Nくんがかつて研究テーマを定め、やがてこの本に至る研究を進めてきた大きなきっかけとなったアートの作り手と自著について話すことができたのは、やはり幸福な時間であっただろう。おめでとう、Nくん!よかったね!そしてまた、この息苦しい世界で身体を張ってがんばっているお二人のアーティストたちの、キレッキレの頭脳に触れたことにも、たいへんに勇気づけられた。

イベントが終わっての懇親会にも多くの人が残り、Nくんはなおも気丈に気配りを続けていたが、あっという間に夜更けとなった。電車のこともあるのでなかばで失礼したが、ゆたかな体験であった。ゼミ卒業生たちは、みんな立派になって輝いていた。ふー。すごいなー。

2024年11月14日

IT批評おそるべし?!

連投すみません。ときどき着実に更新すればよいのだが、なかなかその時間がとれずー。そんな折、9月にインタヴューしていただいたIT批評さんのウェブ記事が公開となった。
「東京外国語大学大学院教授・中山智香子氏に聞く」(『IT批評』2024.11.5~11.9)

『IT批評』はその名のとおり、現代のIT関連技術と社会の関わりを考えるウェブ雑誌で、かつての連載インタヴューが『生成AI時代の教養:技術と未来への21の問い』(IT批評編集部編、桐原永叔著、 風濤社、2024年)としてまとめられている。技術的で難しいかと思いきや、インタヴュー形式なので意外と読みやすい。というか、話しの入り口はインタヴューされる人の個人史みたいなあたりから入るというスタイルなので、その工夫のおかげもあるかもしれない。
当方のインタヴューもそこからで、というかその部分が肥大したような内容となった(笑)。たまたま当方、今年カンレキを迎えたところなのだが、なんだか人生を振り返るみたいなタイミングである(?)。
 まーそれはともかく、インタヴューを終えて校正やら何やらこの間にあり、ようやく編集さんから「ウェブ掲載が始まりました」とのご連絡をいただいた先週、その翌日か何かに、職場のエレベーターで乗り合わせた職員の某氏から「先生、文転の記事読みましたよ(フフフ)」と言われ、えっっ?早すぎんか?!と仰天した。いや、依頼が職場の広報係を通してきたものだったから、たまたま知ってたのかなーなどと思ってやり過ごしていたら、先ほどの授業では授業後にある受講生から「先生の恩師の方って札幌南校で教えていらしたんですね」とのコメントが!どえっっ 確かにあのインタヴューにはそんな話も出てくるんだが、しかしなんで若い人も読んでるんだ?!!IT日批評、おそるべし!なのか?!というか、何か当方がわからないところで世界はものすごいスピードで情報を拡散しているのか?!

と、驚きも新たに、慌てて拙ブログを更新している次第であった。
そういえば、もともと依頼をいただいた時のテーマは「アントロポスは変革の夢を見るのか」みたいなもので、おお、鋭いと引き受けたのだが、結果的には「東京外国語大学大学院教授・中山智香子氏に聞く」になっていた。ちーん、あまりにそのまんまではないか...。多少は捻ろうよ...。

仙台行ってきました!

先週末、つまり11月9-10日の土日は東北大学@仙台で社会思想史学会の大会があり、これに参加しつつ二日目の朝にセッションを行ってきた。この時期の東北なので寒いだろうと警戒して行ったが、当日はさわやかな秋晴れ。たしかに朝晩は冷え込んだが、天気予報によれば日中は同日の東京より暖かくなるとのことであった。IMG_2205.jpg たしかに日中はコートもいらないようなポカポカ陽気、そういえば紅葉の季節だった!(写真は川内キャンパスの入口。地下鉄駅から0分)

 セッションの演目はHistory of thoughts and citizen archives: Sustaining the quality of our social life(思想史と市民アーカイヴ: 社会的生の質を保つために)」で、PARCのデジタル・アーカイヴ(拙ブログでもお知らせさせていただきました)が公開されたことのお披露目と、その意味の検討みたいな内容である。当方が世話人をつとめ、報告はPARCの事務局長のゲルさんこと田中滋さんと外大同僚の友常勉さんにお願いし、コメンテーターはPARC創設者の武藤一羊さん、武藤さんの長年の盟友のLau Kin Chiさん、そして友常さんが紹介してくださった Michael Hardtさん(ええ、ネグリ&ハート『帝国』の)の三人にお願いした。けっこう豪華な登壇者ではないでしょうか!
 というわけで英語で、アメリカとの時差のために午前中のハイブリッド開催となった。オンラインはともかく、広い会場に朝から来てくださったのは数名、並行セッションが他に3つあった(当方も行きたかったような面白そうなヤツ)こともあって、まあそんなものかなとは思ったが、拙ゼミ関係者が何人も来てくれたのはとてもありがたかった(くーっ、義理堅い!)。
 内容的には1969年に創刊したPARCの英文雑誌AMPOをめぐり、特にハートさんの近著が1970年代の市民運動論であることもあって、1970年代から1980年代終わりごろまでにかけての、PARCという市民運動の在り方や目線の変化がおもな論点となり、なかなか面白かった。今後何らかの形で記録を形にする予定なので、少しお待ちくださいませー。

2024年10月17日

広島論考のイベント(追加情報)他、近況など

やれやれ、東京もようやくキンモクセイが香る秋らしい気候になった。10月もなかばをすぎ、大学の秋学期も無事に進みつつある。
さて、そんな折、9月初めにこちらでも小さな企画を行ったNくんの書籍の、さらなる関連イベントが東京(下北沢のB&B)で行われるとの連絡をもらった
いわゆるBook & Beer というちょっと洒落た会場で、当方が本を出してもおよそ呼ばれない場所である(笑)。オンラインと対面参加の両方あるとのことだが、ご都合つけばドリンク付き対面参加でぜひー。

当方の近況報告をいくつかー
1)拙ブログの前回に書いたオーストラリア資料調査に関する論考、例によって貨幣関連であるが、なんとか原稿提出(ほっ)。論考集が刊行される段取りがわかったらまたお知らせしますー(いつ?!)
2)長いこと願い、また実現の仕方を模索していたセネガル関連の共同研究が、科研の「国際共同研究加速基金(海外連携研究)」、つまり先方に出向いて行う共同研究の枠で採択された。この10月から3年半、限られた予算でできることは有限だが、なんとかいい感じに進めていきたい。
3)先週金曜(11日)は久しぶりに市民講座で、ひばりが丘公民館にうかがって話しをさせてもらった。講座の時間、お子さんを預かるという制度を入れて女性限定とのことで、春学期に「概論」で話したテーマ(K.マルサル『アダムスミスの夕食を作ったのは誰か?』に関連する経済思想史と女性の位置)を持って行ったのだが、話しはとてもよく伝わった。つまりは、若いお母さんたち中心の受講者のみなさんが置かれている立場が、著者マルサルの指摘した問題にジャスト・ミートということであって、喜ばしい事態ではない。とはいえ、まずは問題を知ることが第一歩だ。講座の企画者のSさんが勧めてくれたチョン・アウン『主婦である私がマルクスの『資本論』を読んだら』も、たいへんよい本である。(タイトルが、かつて爆売れした『もしドラ』にひっかけすぎだろう!というツッコミは、とりあえずやめておこう)。


2024年9月27日

夏の終わり

いよいよ9月も終盤に近付き、外大の長い「夏学期」(≒夏休み)も終わりを迎える。そろそろゼミ生諸氏も大学に戻り始めた。それに先立つ20日には、汗ばむほどの好天気の下、9月卒業生、修了生の卒業式、修了式が行われた。

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おめでとうございます!これからも幸多き日々が数々ありますよう、祈念しております。

ナカヤマは9月6-15日にかけて、オーストラリア(オーストリアではない)に海外出張に行ってきた。昨年は共同研究の出張などで誰かと共に海外へ出かける機会が数回あったが、今回は一人出張でメインは資料(史料)調査、久しぶりである。びっしり計画してガツガツと取ってきた資料の収穫はけっこう大きく、ホクホクしていた。しかしその話しをさっそく21日(土)のとある研究会報告で行ったところ、「そういう細かい話もありますね」的な反応であった。ちーん
まーお聞きいただいたみなさんの関心とのずれということもあるし、いずれにせよ、しっかり論考に落とし込むしかない。だが新学期は目前である。ああ、夏よ、行かないで、去らないでええ(虚しい叫び)。

2024年8月28日

遅めのお知らせ(ゼミ出身者の単著刊行)

残暑お見舞い申し上げます
みなさま、よい夏休みを過ごされましたでしょうか。こちら、お盆の頃に友人たちと、そのひとりの実家の南房総を訪れ、この夏最後の一頭として捕獲されたクジラの解体を見たりして短い夏を過ごした。20240808a.JPEG

以前にこうした解体を見たのは、10年以上前にゼミ生の一人が捕鯨をテーマに卒論を書いており、共に現地に入って見せてもらった時以来のことだ。そもそも狙って訪ねていっても、前の日にクジラがとれなければ早朝の解体はない。一日しかなかった和田浦滞在で、見ることができたわたしたちはラッキーであった。
縮尺がおかしいのか?というほど大きなクジラと、動物愛護云々の理屈を蹴散らすような地道で効率的な手早い作業を目の当たりにしながら、そこに培われた人々の暮らし、これををわけて食べるたくさんの人びとを思い、今回もまた言葉を失う。貴重な体験であった。

その捕鯨卒論のゼミ生と同期のNくんは、ひとたび就職したものの卒論のテーマへの思いを断ちがたく、アカデミズムに戻ってきて研究者になり、このたびそのテーマで単著を刊行した。
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めでたい。一見美しいブルーの表紙だが、チンポムのエリィがニヤッと笑っている口元に気づくと、美しさの幻影が吹き飛ぶ。Nくんの思い入れを満載した野心作である。9月2日(月)午後には本郷サテライトで小さな読書会を開き、刊行を寿ぐ予定。いつものとおりショートノーティスにて恐縮ながら、もし参加ご希望ある場合には、中山までおしらせくださいませー。


2024年7月29日

夏学期(というか夏休み)スタート!

そんなわけで拙ゼミは恒例の「卒論、ゼミ共通論考の中間報告会」そして今回は先に無事(?)卒論を提出した9月卒業の2人の「卒論発表会」も含めた2日間の終日集中ゼミを25、26日に無事開催したところである。入ゼミが決まったばかりの2年生も(数名)参加して、大変な暑さの中、たいへんな活気で行われた。たくさんのコメントやアドヴァイスを受けて、今後の研究の展開に活かすよう願うばかりである。終了直後の一枚をこちらに!
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