2022年11月27日

とても楽しかったお仕事ひとつ

昨日26日(土)はT光学園というところに呼んでいただいて、中高生(中学1年生から高校3年生)を相手に講義をさせていただいてきた。テーマはずっと以前(9~10ヵ月前ぐらい)に「お金が消える?貨幣の成り立ちと最近の事情」と決めて、そのままとさせていただいた。日頃、今どきの中高生と会うことはほとんどなく、どんなかなあと考えつつ準備をして臨んだが、なんとびっくりするほどたくさんの生徒さんが参加してくれて、内容への食いつきもバッチリで、たいへん楽しく終えることができた。みなさん、ありがとう!!先生方は事前から当日、事後までとても丁寧にフォローして下さり、ひたすら恐縮するばかりであった。ありがとうございました!!
それにしてもどうしてそんなにたくさんの生徒さんが来たのだろう?と思い、コメントシートに書いてもらって読んでみたら、これがまた楽しい。「お金が消えちゃうとコワいと思って、参加しました」、「お金が大好きだから」「自分は最近、お金の使い方がダメなので」(あははは)、「お金が消えるのは、使ってしまうという意味なのか、お金自体がなくなるという意味なのか、それとももっと別の意味なのか、知りたくて参加しました」、うーん、すごい、いろんな生徒さんがポイントをすでにしっかりつかんでいる!それと、「いくらお金を持っていますか」の質問には、0円(あるいは「0円になる予定」)からウン十万円までのバラエティがあって、これもビックリ。講義の後の質問もたくさんもらえて、どれもポイントを突いた質問だったので、大いに内容を補足することができた(クナップの宣伝までしてしまった。てへ)。大学の授業とはまた違って、「学校」の雰囲気もなんだか懐かしく、大いに刺激と元気をいただきました!
この講義はいろいろな大学教員による連続講義の一つで、一年分の記録をまとめて毎年本にしているという。御依頼をいただいた校長先生のアイディアでもう数十年も続けているとのことだが、まことに見事な企画である。他の先生方がどんなお話しをしているのかも、とても気になる(笑)。

2022年11月15日

しょええ、もとい書影...

またまたクナップの訳本の話で恐縮であるが、すでに見本ができ、今週土曜日19日には店頭に並ぶとのこと。うおお!編集Hさんから書影もいただいた。これです!Knapp1905JapCover1.jpg

というわけでとても綺麗な(というか派手な)表紙です!(帯のコピーも派手だし...。編集Hさんに多謝)書店にてぜひお手に取ってみてくださいませ~。

2022年11月 9日

皆既月食の晩に

11月も一週間を過ぎ、3年ゼミ生はゼミ論、4年ゼミ生は卒論の準備にピリピリした空気が流れる季節に入った。昨日そんなゼミの後、ゼミ生たちがサプライズで拙誕生日を祝ってくれた。じーん。ありがとうございますー。
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ケーキとお茶が一段落したところで、ちょうど皆既月食が始まるぐらいの時間になり、みんなで5階の某所に出て、月が欠けていくところを見ることができました。かなり寒かったけれど綺麗でしたね!!みなさん、どうもありがとうございますー。

2022年10月30日

いよいよ!(今度こそほんとに)

たしかこの前(一ヵ月以上前?)拙ブログを書いたときには、しかかり中の翻訳プロジェクトが「いよいよ終盤」みたいな気持ちで索引作業をしていることを書いたのだが、その後も意外と細かい作業や表紙(これはむしろ楽しいものであったが)など仕事が続いて手間取り、終わりが見えない状態でいた。そんな折に友人S氏から「こんなん出てるよ」と連絡をもらった。
https://www.amazon.co.jp/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E7%90%86%E8%AB%96-%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%97/dp/4296115421

うおおおあああ!たかが広告、されど広告、リアリティ増すこと限りなし!で、さっそく第一訳者のK先生にも連絡し、残り作業のテンションの針が一挙に振れた。びよーーーーん。それで、ほんとにいよいよ出ます。お読みいただいて損はおかけしません。大おススメです。拙ブログを読んでくださるみなさまにも、どうか店頭にてお手に取ってご覧いただきたく、よろしくお願いいたしますー。
てか、今あらためて見てびっくりするのだが、まだ発売前なのにいきなりもう本の売れ筋ランキングがついている。どゆこと?まあ、前宣伝が上々ということか。昔、歌番組の「ベストテン」が好きだった者としては、こういうのは心が湧きたつが、上がるものはいつか下がるので、なんだかコワい。まあ地味な本なので、じわーっと長く読まれれば十分なのだが。

2022年9月19日

夏の終わりに

目下、巨大な台風が襲来しつつあるときに「夏の終わり」というのもナンだが、さすがに残暑もそろそろ終わるだろう。拙ブログを読んでくださっているみなさまには、どんな夏だっただろうか。
当方にはここ数年来しかかっていた古典(G.F.クナップの貨幣論)の翻訳がようやく終盤に差し掛かり、その関連で名古屋や岡山に出張した。名古屋は貨幣ミュージアムで古い外貨の資料調査をさせてもらい、その後2019年以来3年ぶりに飛騨高山を研究仲間らと訪れて、三年前に知った地域通貨のさるぼぼやエネポのことをより深く知った。岡山は岡山商科大学の図書館にこもり、短いながらも久しぶりのアーカイヴワークに勤しんだ。クナップの翻訳は立教大名誉教授のK先生を第一訳者にお願いし、2018年9月以来、4年というか足かけ5年というか、細く長く取り組んだ。途中からコロナ禍で、まあいろいろあったが、何とか年内刊行を目指して、あと一息!この連休は索引作業をやっている(これが意外と時間がかかる)。

この夏はもう一つ、能登の七尾に住む友人を訪ねつつ、友人数名で金沢~七尾へと旅行に行ってきた。純粋に「休暇」でこういう旅行をするのはいつ以来だろう?(何なら院生時代以来かも?)ひとつの目当ては無名塾の公演「いのちぼうにふろう物語」であった。ちょっと変なタイトルだが、山本周五郎の作品を原作にした時代劇とのことで、お上は金と陰謀にまみれて存続し、地べたに生きる者たちがトカゲのしっぽを切られるように「いのちをぼうにふる」構造が、現代をも突く。89歳の仲代達矢さんは衰えを感じさせない素晴らしい演技で魅了し、現地の地形を活かして後ろへ開かれる構造の演劇堂は雄大で素晴らしかった。それに友人たちとたくさんしゃべって飲んで食べて寝て、ああ、身体がほぐれたー。能登は魚が美味しいのはもちろんだが、稲作もずいぶん盛んでコメがとても美味しい!という発見もあり、至福の夏休みであった。

2022年8月30日

バルファキス繋がり(たまたま)

ただいま絶賛発売中の『週刊東洋経済』(2022年9月3日号)に、書評を載せていただいている。対象書籍はロバート・スキデルスキー『経済学のどこが問題なのか』である。スキデルスキーといえばケインズ研究の大御所で、ケインズ経済学にそれほど詳しくない当方が書評をするのもどーなんだろうと心配になったが、せっかくお声掛けいただいたので、恐縮しつつもやらせていただくことにしたのだった。

さて、同書を読み準備を進めていた時に、結構重要な部分でヤニス・バルファキスへの言及のあることがわかった。いうまでもなく例の25分de名著のテキスト『父が娘に...』の著者である。スキデルスキーを含めイギリスやヨーロッパの経済学者にとって、2008年の金融危機と連動したギリシャ危機がどれだけ重要な意味を持っていたのか、あらためて実感する。そんなわけで、拙書評にもその論点を盛り込んでみたところ、ご担当T様がこれをくんでくださり、相談と改稿が進む中でその部分をさらに大きくフォーカスしていただいた。ポイントは、バルファキスが財務大臣時代の経験を書いた著書『黒い匣』に明らかである。この本、現実のことながら小説のように(?)めっぽう面白い。2019年に映画化もされたのだが、日本で公開されることはないのかどうか...。観たいなあ...。実名ががんがん出るからヤバすぎるのか?(いや書籍にだって出ているのだから)

校了までのやりとりで、ご担当のTさんはこの仕事を最後にご定年とのことがわかった。最後の仕事に、当方なんぞを選んでくださり、ありがとうございます。じーん この御恩はいつかきっと...(いや、返すのは容易ではない)。

2022年8月17日

番組終わる

たまたま「お盆」の時期に、例の25分de名著の番組放映があった。編集後の仕上がりは初めてみるので、何とも居心地悪く実家で観たが、その後や翌日には友人や知り合いの方々から「観たよ!」のご連絡をいただき、旧交を温めたりして嬉しかった。総じて「短かった」、「もう少しゆっくり聞きたかった」とのご意見が多く、たしかに論点のてんこ盛りで、一度さっと観ただけではつかみにくかったかもしれない。すみません。しかしティーンズの望結ちゃんや司会の加藤くん(もちろん安部アナも)、朗読のみなさんはさすがのプロの仕事で、なんというか手慣れていた。当方も「落ち着いていた」とのコメントをいただいたが、自分で観てみると、緊張のあまりキューピー人形の眉毛(?)のような表情になっていて、二度は見たくないシロモノであった。しかしまあ、やれやれ、とにかく無事に終わった。めでたしめでたし(なんのこっちゃ)。

2022年7月25日

25分 de 名著?

暑中お見舞い申し上げますー。本日は一つ珍しいお知らせをさせていただきますー。いや表題はもちろん100分de 名著のパクリ、というかそのシリーズなのだが、8月は夏休みということで中高生の(中高年ではない:あたりまえ?!)ティーンズ向けのシリーズとなる。つまり25分 de名著×4回である。その一回分に登場することとなったのだ。どひゃーん
第3回(8月15日放送予定)のY.バルファキス著『父が娘に語る経済の話。』である。そろそろテキストも絶賛発売中のはずだが、いや、こうしてお知らせするだけで緊張に手に汗を握ってしまうが、もしお時間あったらご覧くださいませませー。(とか言いながら、ああ、もう忘れてしまいたい。やだやだ、むりむり、テレビなんて)

2022年7月 6日

戦争を記録した二つのことがら

今から数年前、2019年9月にゼミ有志で沖縄合宿を行った。前半で石垣島を訪問し、潮平正道さんから「戦争マラリア」に関するお話しをうかがった。ちょうどその少し前、ゼミ生が新聞やテレビの報道で潮平さんとその活動のことを知り、ぜひともお目にかかりたいとしてアポイントメントをとったのだった。現地で潮平さんは資料館の展示を説明してくださり、またご自身が描かれた絵をいくつもお持ちになって、ていねいな説明をしてくださった。もうすぐ東京でも展覧会をするかもしれないというお話しもうかがって、詳しく決まったらぜひお知らせくださいと話したのだった。
その後、当時合宿に行ったメンバーは卒業したり就職したりし、翌年2020年からのコロナ禍で都道府県をまたぐ移動が制限されて再訪も果たせず、三年弱が過ぎた。それで先日、T新聞の報道で「故」潮平さんの「遺作展」が開催されていることをようやく知ったのであった。潮平さんは2021年4月に亡くなられたとのこと。何も知らず、何もできなかった無力感に苛まれる。展覧会は赤羽の青猫書房で18日までとのこと、せめて見に行きたいと思う。
https://aoneko-shobou.jp/

もう一つは、拙ブログでも何度か書かせていただいた辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)からの遺書』のことだ。これまたコロナ禍で中断してしまった企画だが、ちょうど2020年のはじめ頃だったか、外語会の数名の方から、外大出身者たちの戦争について考えるものをやりたいので協力してほしいと、お話しをいただいたのがあった。そのプランの中で、上記の一書は主人公が外大出身者という話しをうかがった。しかし同書は、外大との関わりがあってもなくても胸を打つ作品で、ゼミ生や周囲の人々などに勧めたものだ。うかつな当方はそんなこともまた忘れてしまっていたが、先日本屋に行ったら、なぜかこの本がとても目立つところに置いてある。何事かと思ったら、今実写で映画化が進んでいるとのことである!こうした良書がふたたび注目されるのは、とても嬉しいことだ。

コロナの感染は、まだ収束したとはいえないが、わたしたちは少しづつ、止まっていた時間を取り戻しつつある。取り戻すこと、変わること、変えるべきこと。うやむやにせず確認しながら、歩みを進めていきたい。


2022年5月18日

微量問題 ー微量・複合・長期ー ふたたび

拙ブログで2016年4月に、「微量問題」すなわち「微量・複合・長期」で「ただちに健康に影響はない」といわれる問題について取り上げた。その時のテーマは水俣であり、視野に入れていたのは放射能であった。現代ではもう一つ、PFOA、PFOSの問題がある。これについては、すでに今年のはじめ頃、諸永裕司さんの『消された水汚染:永遠の科学物質』が評判となり、当方もおくればせに東京、とりわけ多摩地方の水汚染の実態におののかざるを得なかったのだが、それよりもっとずっと早くにアメリカでこの汚染の問題に取り組んだ弁護士ロブ・ビロットがおり、かれを主人公とした映画『ダーク・ウォーターズ:巨大企業が恐れた男』(トッド・ヘインズ監督、2019)があった。この映画を先日、ようやく下高井戸シネマで観ることができた。
副題にもあるとおり、この物質を微量かつ長期にわたって垂れ流してきたのは、巨大企業デュポンである。そこに巨額の富や権力者、有力者、幾多の雇用、それにぶら下がる数々の人々や利益があった。こうした巨大な構造に立ち向かうとき、人はどこまでも失い続ける。観ていて辛くなるような話だが、映画の訴えかけは真摯に伝わってくる。いまなおテフロンやフッ素加工物が普通に使われているのは何とも居心地が悪く不気味だが、ことほどさように、微量問題は、現代世界の問題の核心である。

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