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2018年12月14日

ヨーロッパ政治の教科書

学習相談デスクの池田です。

前回に引き続き、今回はエリアという視点から、私の専門のヨーロッパ政治の教科書を紹介します。

ヨーロッパ政治に関心がある方はもちろんのこと、いきなり政治学に入りづらい、という方は地域の政治を知ることで政治学の世界により入りやすくなると思いますので、ぜひご参照ください!

馬場康雄・平島健司編(2010)『ヨーロッパ政治ハンドブック 第2版』東京大学出版会

ヨーロッパ各国の20世紀の歴史と現勢をコンパクトにまとめた1冊。主要国に留まらず、南欧、スカンディナヴィア諸国、中東欧諸国など中小国の政治も解説しています。本書で扱われている国については、東京大学出版会HPへ。

津田由美子・吉武信彦編著(2011)『世界政治叢書3 北欧・南欧・ベネルクス』ミネルヴァ書房

中小国にフォーカスした教科書。北欧(スカンディナヴィア諸国)、中欧(ベネルクス+オーストリア、スイス)、南欧各国の政治の解説を読めば、ヨーロッパ政治を勉強する上で、中小国の政治への理解が不可欠であることがわかるはず。本書で扱われている国については、ミネルヴァ書房HPへ。

羽場久美子・溝端佐登史編著(2011)『世界政治叢書4 ロシア・拡大EU』ミネルヴァ書房

ロシアがヨーロッパ政治の範囲に含まれるかは微妙なところでもありますが、EUへの加盟が進む中東欧諸国やバルカン諸国の政治の知識は、現在のヨーロッパ政治を掴む上では不可欠です。本書では、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ラトヴィア、クロアチア、セルビアの政治の知識を得られます。

押村高・小久保康之編著(2012)『世界政治叢書2 EU・西欧』ミネルヴァ書房

網谷龍介・伊藤武・成廣孝編(2014)『ヨーロッパのデモクラシー 改訂第2版』ナカニシヤ出版

ヨーロッパ政治の教科書の決定版。ヨーロッパ政治を勉強する際に、まず読んでほしい1冊。各章末には各国政治に関する問題集を、巻末にはヨーロッパ政治基本用語集を収録し、テスト勉強や院試対策にも有用です。本書で扱われている国については、ナカニシヤ出版HPへ。

池谷知明・河崎健・加藤秀治郎編著(2015)『新西欧比較政治』一藝社

『西欧比較政治』(2002年)に最新の情報を盛り込んで再構成したヨーロッパ政治のテキスト。第1部は、ヨーロッパ各国政治の解説を、第2部は、「西欧政治の基礎知識」と題し、ヨーロッパ政治を理解する上で不可欠な概念について解説しています。網谷ほか(2014)と併用すれば、もれなくヨーロッパ政治をカバーできます。

政治学にも関心がある方は、「政治学の教科書」もこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。

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政治学の教科書

学習相談デスクの池田です。

今回は私の専門の政治学の教科書をご紹介します。

政治学に関心がある方、政治学に関連のある授業を履修していて自主的に勉強してみたい方、参考にしてみてください!

政治学に初めて触れる方向け

北山俊哉・久米郁男・真渕勝(2009)『はじめて出会う政治学:構造改革の向こうに 第3版』有斐閣

刈部直・宇野重規・中本義彦(2011)『政治学をつかむ』有斐閣

砂原庸介・稗田健志・多湖淳(2015)『政治学の第一歩』有斐閣

若手の政治学者による入門書。最新の研究動向も盛り込まれており、初学者はもちろんのこと、政治学の既習者も読むべき1冊です。「書斎の窓」で、著者による座談会も公開されています。「書斎の窓 政治学をどう教えるか(上)」「書斎の窓 政治学をどう教えるか(下)

より詳しく、体系的に政治学を学びたい方向け

伊藤光利・田中愛治・真渕勝(2000)『政治過程論』有斐閣

加茂利男・大西仁・石田徹・伊藤恭彦(2012)『現代政治学 第4版』有斐閣

政治学への入り口として読んでも良いし、政治学を体系的に勉強するために読んでも良い1冊。「政治学とは何か」というテーマから始まり、国際政治や近年の政治学の研究動向・テーマもカバーしています。

比較政治学を学びたい方向け(地域に軸足を置く外大生にオススメ!

岩崎美紀子(2005)『比較政治学』岩波書店

建林正彦・曽我謙悟・待鳥聡史(2008)『比較政治制度論』有斐閣

政治学の中でも「政治制度」にフォーカスし、制度の違いと政治的な帰結の関係を網羅的に捉えた教科書。比較政治の教科書のパイオニア的な1冊です。

粕谷祐子(2014)『比較政治学』ミネルヴァ書房

比較政治学の主要テーマを扱った教科書。比較政治学の概念を基礎から解説している点では初学者向きでもある一方で、テーマごとの研究の動向や今後の展望についても書かれているため、比較政治学の研究者が読んでも参考になる1冊です。

岩崎正洋(2015)『比較政治学入門』勁草書房

久保慶一・末近浩太・高橋百合子(2016)『比較政治学の考え方』有斐閣

比較政治学の中でも、新興国の政治現象を理解するうえで重要なテーマをとりあげた教科書。

政治学・社会科学の方法を学びたい方向け

ギャリー・キング/ロバート・O・コヘイン/シドニー・ヴァーバ[真渕勝監訳](2004)『社会科学のリサーチ・デザイン:定性的研究における科学的推論』勁草書房

著者の頭文字からKKVの名で知られ、全米で広く用いられている社会科学の研究入門。久米(2013)や加藤ほか(2014)と合わせて読むと理解しやすいです。

久米郁男(2013)『原因を推論する:政治分析方法のすゝめ』有斐閣

因果関係を実証的に証明する際の作法について書かれた1冊。平易な書き方で初学者が読んでも理解できます。政治学だけでなく、実証的な学問を勉強している方にもオススメ。

アレクサンダー・ジョージ/アンドリュー・ベネット[泉川泰博訳](2013)『社会科学のケース・スタディ:理論形成のための定性的手法』勁草書房

全米の大学で採用されている方法論の手引書。

加藤淳子・境屋史郎・山本健太郎(2014)『政治学の方法』有斐閣

政治学で用いられる方法の特徴や相互の関係を明らかにし、政治学の方法の俯瞰図を示した1冊。質的研究で用いられる事例研究から、統計を用いる計量分析、さらには近年の実験政治学までフォロー。

ヘンリー・ブレイディ/デヴィッド・コリアー[泉川泰博・宮川明聡訳](2014)『社会科学の方法論争:多様な分析道具と共通の基準 原著第2版』勁草書房

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2018年6月21日

コンシェルジュおすすめの本<個室閲覧室前のオアシス~愛と生き様編~>

学問疲れのリフレッシュ読書シリーズ第2段。

関東地方も梅雨入りし、本を読むにはうってつけの季節。名作から人生のヒントを得ましょう!ということで今回は愛と生き様編です。

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<おすすめ本その1>

風と共に去りぬ
マーガレット・ミッチェル著; 荒このみ訳
東京, 岩波書店, 2015

請求記号:文庫/13/342-1,2,3,4,5,6 図書ID:0000363987 他

「明日は明日の風が吹く」というラストのセリフと、ビビアン・リー主演の映画が有名なこの本。
奴隷制の下で農園経営が盛んだった米国1860年代。
アイルランド系移民の農園主オハラ氏の長女としてタラに生まれたスカーレット・オハラは、平穏で何不自由ない暮らしを送っていた。
しかし、南北戦争の影がタラにも忍び寄ってくる。近隣の青年達は出征していき、不穏なムードが漂い始める。
といった感じで始まりますが、南北戦争直後の部分が一番面白いかなあと個人的には思います。
人種差別・奴隷制・南北戦争といった観点から読むことも、登場人物其々の生き方に焦点を当てて読むことも、幾通りもの楽しみ方のできる小説です。
スカーレット・オハラの生き方は賛否両論分かれるところですが、非常に強烈で魅力的なキャラクターだというのは間違いありません。
全6巻と少々長めではありますが、面白くてあっという間に読めてしまいます(というか、途中で止めることが難しい)。
ちなみに「明日は明日の風が吹く」と訳されている箇所は、原文では "Tomorrow is another day" です。
原著と訳書と比べつつ読んでみるのも楽しいかもしれません。

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<おすすめ本その2>

大地
パール・バック著; 小野寺健訳
東京, 光文社, 1997.10

請求記号:文庫/13/320-1,2,3,4 図書ID:0000345353 他

初版は1931年。日本では『大地』として1冊の本として出版されることが常ですが、もともとは『大地』"The Good earth"、『息子たち』"Sons"、『分裂せる家』"A house divided"、からなる三部作です。
この作品のテーマはこれだ、と言うことのできない、様々な要素の織り込まれた壮大な作品。繰り返し読むことで一層面白さが増します。
「人として正しい」ことをこれ見よがしに述べる教訓譚ではなく、「そうせざるを得ないこと」「すべきと思うができないこと」「人の手の及ばない運命」といった等身大の人間の人生が克明に描かれています。
前掲の本と比べ、読む時間は長くかかるような気がします。(ところどころ、考えこんでしまい、小休止を入れないと頭が追いつかない)
しかし、読後はそれまでの自分の悩みがひどく小さな、可愛いものに思えてくること請け合いです。

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この2冊を同じ記事で紹介したのは、「土地」の描き方に共通性を感じたことと、対象的な女性の生き様が描かれているところで、併せて読んでほしいな、と思ったためです。女性の生き方を描いた作品というと、『人形の家』や『アンナ・カレーニナ』など、名作がたくさんありますが、『大地』もまた阿蘭の人生に着目すれば、女性の生き方を描いたものと見ることもできるように思います。

(『風と共に去りぬ』のスカーレット、『大地』の阿蘭、『アンナ・カレーニナ』のアンナを同列に並べるのは間違っているかもしれませんが、私はついこの3人を一挙に思い浮かべてしまいます。)

SF小説編、愛と生き様編とお送りしましたが、是非とも読んでほしい本は他にも盛りだくさん。
随時オススメ本ブログを更新していく予定ですので、気が向いたらチェックしていただけると嬉しいです。
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2018年6月 7日

コンシェルジュおすすめの本<個室閲覧室前のオアシス~SF小説編~>

学術的な本を読み続けて、頭が疲れた...!専攻語の単語を覚えすぎて日本語を忘れそうだ...。

頭の箸休めとしての小説のススメ。
膨大な数の研究書がある外大図書館。しかし実はそれだけではなく小説も多数所蔵されています!
個人的におすすめなのが3F個室閲覧室前の文庫コーナー。通学時に持ち運んでも重くない!文庫化された国内外の名作が並んでいます。

その中から、独断と偏見に基づくおすすめ本を紹介させていただきます。
今回はSF小説編。現実から離れて、しばしサイエンスフィクションの世界に逃避しましょう!

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<おすすめ本その1>

ジーキル博士とハイド氏
スティーブンスン著
東京, 光文社, 2006.12

請求記号:文庫/23-1/ス2-3 図書ID:0000348748

「わたしをこんなわたしにしたのは、なにかの欠陥の肥大よりは、妥協を許さぬ向上心であり、それがわたしのなかに、人間の二面性をかたちづくるあの善と悪の領域を、大多数の人におけるよりも深いみぞをもって二分したのだ」(本文p104)

子ども時代、『宝島』をワクワクしながら読みふけった人も少なくないかと思います。
もはや定番とも言える「海賊といえばオウム」のイメージも『宝島』から来ているのではないでしょうか。
その『宝島』の作者ステイーブンスンの代表的著作のもう一つがこちら、『ジーキル博士とハイド氏』。
人間の心の闇と葛藤を描いた古典ですが、ドキドキハラハラ感は現代の推理小説以上の一冊。
行き過ぎた克己心や、人に見せたい自分、というものについて考えさせられます...。

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<おすすめ本その2>

フランケンシュタイン
シェリー著; 小林章夫訳
東京, 光文社, 2010.10

請求記号:文庫/23-1/シ5-1 図書ID:0000349711

「何の絆も愛情も得られないというなら、憎しみと悪徳を手にするより仕方ない」(本文p261)

皆さまご存知フランケンシュタイン。しかし、フランケンシュタインとは人造人間のことではなく、彼を造った科学者の名なのです。
人造人間には名前がありません。しかし、彼は決して野蛮な化物などではなく、人間同様に情緒と知性を持っています。
ありふれた平和と愛を求める心、謂れなき憎悪を受ける中で募る復讐心、そしてラストシーン(ネタバレになるので詳細は省きます)。
この作品の人造人間の葛藤と苦悩の描写は、ミュージカル版のオペラ座の怪人のストーリー展開に影響を与えたのかな?と思っています。

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<おすすめ本その3>

地底旅行
ヴェルヌ著 ; 高野優訳
東京 : 光文社, 2013.9

請求記号:文庫/23-1/ウ2-3 図書ID:0000362474

ディズニーランドでおなじみ、センター・オブ・ジ・アースの元ネタはこちら。
何度か映画化もされている『地底旅行』(※『地底探検』の邦題で出版されているものも有)ですが、地下世界への入り口とされる場所が作品ごとに異なっています。
原作ではアイスランドが地下世界への入り口ですが、映画によってはニュージーランド版などがあります。留学や旅行の際、ロケ地が見れたらスゴイ。

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外大図書館で浸れるSFの世界はいかがでしたか。3冊ともタイトルは多くの人が聞いたことがあると思います。改めて読んでみると実に面白いです。
大学での学ぶ中で身につけた視点で読むと、「え、これって◯◯的では?」「◯◯という問題がある」など色々考えさせられるかと思います。
執筆された時代の常識、社会通念などもふまえつつ読むと新たな発見があるかもしれません。
もちろん、単に勉強の合間の息抜きとしてかるーく読むにも楽しい本ばかりです!
近々「恋愛小説編」「愛と生き様編」もアップロードいたします。
乞うご期待...!

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2018年4月23日

コンシェルジュおすすめの本『明るい部屋 写真についての覚書』

明るい部屋 写真についての覚書

ロラン・バルト著、花輪光訳

東京、みすず書房、1985年

                               明るい部屋 : 写真についての覚書 Barthes, Roland(著) - みすず書房

3F閲覧室

請求記号:A/740/23 図書ID:0000024722

『明るい部屋』(『LA CHAMBRE CLAIRE』)は、一般的な写真論を超え、写真の存在論が問われている。バルトは、写真の規則として自ら発見した「ストゥディウム」(studium)と「プンクトゥム」(punctum)という、二つの要素を言及している。

前者は、「」の問題であって「一般的な関心」である。後者は、このラテン語意の「刺し傷、小さな穴、小さな斑点、小さな裂け目」という意味のように、「ストゥディウムの場をかき乱しにやってくる」ものである。バルトが5歳の母の姿を映した「温室の写真」に読み取ったのがそれに当たる。

 バルトによると、「冒険」のように「不意にやってくる」写真は、それを見る人との間に「活気付け」と呼ばれる相互作用が行われる。バルトは、人の心を引き付ける写真の意味作用を、母の死がもたらした〈喪〉の体験の中で遭遇した写真の本質・ノエマ(《それはかつてあった》)をつうじ、明らかにしている。母の死後、〈本当の喪〉に直面したバルトは、「温室の写真」を通じ、自分の不在を埋めている幼い母の姿から自分の認識の範囲に生きていた母の姿との連続性を〈発見〉する。

 誰でも写真が撮れる今日、本書は個人的な体験としての写真の意味を、〈歴史〉に入る行為にまで拡大した試みとして読まれる。読者の方に、写真というものが、最低限「それはかつてあった」という誰にも拒否できない真実として蘇ってくるだろう。

book

2018年4月11日

コンシェルジュおすすめの本『フィールドワーク 書を持って街へ出よう』

フィールドワーク 書を持って街へ出よう

佐藤 郁哉著

東京, 新曜社, 2006.12

3F閲覧室

請求記号:A/361/623390 図書ID:0000623390

「この本では、文字通りの『入門書』として、これから現場調査をおこなおうという人びとに対して、フィールドワークという方法への『入り口』を示し、またこの調査法の全体が見渡せるような大まかな見取り図を提供することに重点をおいているのである」(本文p6)

フィールドワークって一体なんだろう...?社会調査とはなんぞや...?

「調査」に興味を持った人にオススメの一冊。

一般の人や初学者も読者として想定されているため、人類学や社会学を専門としない人にはもちろん、1年生にも読み進めやすく書かれています。

自分がフィールドワークをする時にはもちろん、論文を読むに当たっても役立つこと請け合いです。

book

2017年12月12日

コンシェルジュおすすめの本『難解な本を読む技術』

難解な本を読む技術

高田明典著

東京 : 光文社, 2009.5

3F閲覧室

請求記号:A/019/696603 図書ID:0000696603

4F@ラボ(ラーニングコモンズ)

禁帯出 請求記号:A/019/696615 図書ID:0000696615

「実体験に比べれば読書は圧倒的に安価ですが、読書というのは決して「情報を受け取る」という受動的な営みではなく、そこに表現されている知識や思想を、自分の内部に取り込むという能動的な営みです。-(中略)-この能動的な営みには、技術が存在しています。つまり、「読書は技術である」というのが、この本の基本的考え方です。」(本文p.4)

レポートや論文を書く時にはいろんな本を参照することになりますが、中には何度読み返しても内容が把握できないような難しい本もあると思います。

特に学術書になると難解な思想や概念を主題にしたものが多く、十分な基礎知識を持っていてもすぐに理解することはできません。

今回のおすすめ本は、そうした難しい本をより効果的に読み解くための技術を丁寧に教えてくれます。

様々な読み方と、そこから得られた知識と思想をどう生かすのかを説明した後には、ドゥルーズやアダン、ソシュールやフーゴーなどの著名な作家・研究者の書籍を例にしながら実践的な分析もされているのがポイントです。

book

コンシェルジュのおすすめ本『大学生と大学院生のためのレポート・論文の書き方. 第2版』

大学生と大学院生のためのレポート・論文の書き方. 第2版

吉田健正著

ナカニシヤ出版, 2004.4

3F閲覧室

請求記号:A/a6/602011 図書ID:0000602011

4F@ラボ(ラーニングコモンズ)

禁帯出 請求記号:A/a6/696611 図書ID:0000696611

「客観的というのは、単に叙述に筆者の主観や判断を入れないという意味ではありません。できるだけ客観的方法によって情報を得、できるだけその情報(データ)に即して解釈あるいは分析する、ということでもあります。自分の好みに合う情報だけを選び、自分の好みに応じて解釈しては、客観的なレポートとは言えません」(本文pp13-14)

以前取り上げた『留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック』が基礎編と言うのならこれは応用編に入るでしょう。

ここではレポート・論文とは何かをふまえてどのように調査して書き出すのか、そのプロセスについてより専門的な方法を述べています。

そのため、書き方についてはある程度理解していて、文章としての完成度を引き上げることを目標としている方にとって一読の価値がある本です。

特に気を抜きやすい引用・注釈の書き方や著作権に対する姿勢などにも言及しており、文の構成や形式にもしっかりと説明がされているのでおすすめです。

book

2017年11月20日

おすすめ本の紹介・その1 20171120更新

『留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック』

二通信子 [ほか]

東京 : 東京大学出版会, 2009.12

3F閲覧室

請求記号:A/a6/657282 図書ID:0000657282

4F@ラボ(ラーニングコモンズ)

禁帯出 請求記号:A/a6/696092 図書ID:0000696092

「この本は、レポート・論文などの作成に取り組む留学生、日本人学生をサポートするために作成しました。」(本文p.ⅰ)

「This book is designed to assist in academic writing in Japanese:term papers,graduation theses,research proposals,and journal articles.」(本文p.ⅲ)

タイトルでは「留学生」と「日本人学生」向けとされていますが、留学生に対する配慮はふりがなが付いていることや例文などに英文の訳を付けている程度で、内容自体は完全に一般学習者向けのレベルになっています。普段はあまり使うことのない論文ならではの接続表現や引用と注釈の付け方など基本的な部分から、どのように論点を見つけ整理するかという方法論としての内容も含まれています。特に注目したい部分は豊富な文型と解説で、本書に載っているウェブサイトを利用することでさらに多くの実例を活用することもできるため、まだレポート・論文作成に慣れていない方には是非一読して頂きたい参考書です。

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2017年11月17日

コンシェルジュおすすめの本 『考える練習をしよう』

『考える練習をしよう』

マリリン・バーンズ著 ; マーサ・ウェストン絵 ; 左京久代訳

東京 : 晶文社, 1985.3

3F閲覧室

請求記号:A/141/699842 図書ID:0000699842

4F@ラボ(ラーニングコモンズ)

禁帯出 請求記号:A/141/699854 図書ID:0000699854

「この本でやることは、ほんの練習にすぎない。この本に書かれた問題は、きみの問題じゃない。きみが現実の問題にとりかかる手助けになればとねがっている。家のなかで、学校で、外で、きみがぶつかる問題」(本文p.126)

考えること、考察、推論、どれもが堅苦しく感じられる方におすすめの本です。気持ちを和ませるイラストと共に、いかにして考えることへの抵抗を消すか、どのように整理へ進むべきなのかを優しく述べています。

本作が海外で発刊されたのは1976年、日本で紹介されたのは1985年と随分昔の書籍ではありますが、不思議なことに今読んでも全く違和感がないのは、人間の思考はいくら時間が経っても出発点そのものは変わらないということなのだと思います。

また、タイトルでは「子どものため」と書かれていますが内容自体は子どもには少し難しいようなそうでもないような、絶妙なバランスを保っておりイラストに負けず劣らず面白い文章で綴られています。思考力を鍛えたい方や思考の柔軟性を必要のする方は是非とも読んでみましょう。

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2017年11月14日

コンシェルジュおすすめの本 『留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック』

『留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック』

二通信子 [ほか]

東京 : 東京大学出版会, 2009.12

3F閲覧室

請求記号:A/a6/657282 図書ID:0000657282

4F@ラボ(ラーニングコモンズ)

禁帯出 請求記号:A/a6/696092 図書ID:0000696092

「この本は、レポート・論文などの作成に取り組む留学生、日本人学生をサポートするために作成しました。」(本文p.ⅰ)

「This book is designed to assist in academic writing in Japanese:term papers,graduation theses,research proposals,and journal articles.」(本文p.ⅲ)

タイトルでは「留学生」と「日本人学生」向けとされていますが、留学生に対する配慮はふりがなが付いていることや例文などに英文の訳を付けている程度で、内容自体は完全に一般学習者向けのレベルになっています。

普段はあまり使うことのない論文ならではの接続表現や引用と注釈の付け方など基本的な部分から、どのように論点を見つけ整理するかという方法論としての内容も含まれています。

特に注目したい部分は豊富な文型と解説で、本書に載っているウェブサイトを利用することでさらに多くの実例を活用することもできるため、まだレポート・論文作成に慣れていない方には是非一読して頂きたい参考書です。

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2017年2月17日

レポート・論文、プレゼンにおすすめの本リスト

レポート・論文、プレゼンテーションのゼロから発表・提出まで、多言語コンシェルジュがおすすめする、役に立つ本をリストアップしました。ほとんど、学習相談デスクのある@ラボの本棚に置いてあります。

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