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センターの活動

全米アフリカ学会で報告

2018年11月29日(木)~2018年12月1日(土)

 昨年に続いて武内センター長が全米アフリカ学会に参加し、パネルで報告しました。今年の全米アフリカ学会は第61回で、2018年11月29日~12月1日の3日間にわたってアトランタのマリオット・マーキスホテルで開催されました。武内センター長が参加したパネルは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのブーン(Catherine Boone)教授が組織した「アフリカ諸国における土地登記とタイトリングの新しい政治(The New Politics of Land Registration and Titling in African Countries)」というもので、近年アフリカ諸国で進められている土地登記政策の影響を分析した4つの報告から構成されました。

 武内センター長は、"Land registration in Rwanda: The motivations and consequences(ルワンダにおける土地登記―動機と結果)"と題する報告を行ないました。ルワンダでは、2009年頃から土地登記が全土で進められ、各世帯が土地権利証書を持つようになりました。しかし、結果として、個々人の土地に対する権利が強化されたというよりも、国家の土地に対するコントロールが強化されています。報告では、土地登記政策の動機を分析し、なぜこうした結果になったのかを説明するとともに、土地登記事業が持続可能な形で進められていない実態を明らかにしました。

ASA2018_01.jpgパネルの様子。左からC. Boone (LSE), H. Stein (Univ. of Michigan), K. Askew (Univ. of Michigan), 網中研究員(アジア経済研究所)

 そのほかの3つの報告は次の通りです。

- Howard Stein (University of Michigan) and Faustin Maganga (University of Dar es Salaam) "Formalization of Land Rights and the Dynamics of Class Differentiation in Rural Tanzania"

- 網中昭世(アジア経済研究所)"Implementation of a Land Law and Political Dynamics in Mozambique"

- Miriam Badoux (University of Basel) "What's in a Title: The Paradox of Issuing and Revoking Title Deeds in Kenya"

近年、アフリカの多くの国で、積極的に土地登記政策が進められています。これは様々な影響を社会に及ぼしつつあり、このパネルではルワンダ、タンザニア、モザンビーク、ケニアを対象とした分析が報告されました。土地登記政策はドナーが熱心に支援しているもので、その背景には土地登記が経済発展につながるという想定があります。しかし、現実を見ると、政治紛争を激化させたり、農村内格差を顕著に増大させたりと、様々な負の側面が顕在化しています。まずは現実を踏まえ、政策をどのように進めるか、立ち止まって考えるべき時だとの思いを強くしました。