東京外国語大学では、アフリカ諸国から学部レベルの交換留学生を年間5名程度受け入れています。この記事では、日本の海外留学生の受入状況およびアフリカからの受入状況についてご説明します。
1)日本に来る海外からの留学生数
日本政府は2008年に、2020年までに留学生数を30万人に増やす「留学生30万人計画」を打ち出しました。この20年あまりの間に、留学生の数は大きく増えています。日本の大学など高等教育機関に在籍している留学生は、下の図が示すように2023年は約19万人いることがわかります。その他に、約9万人が日本語教育機関に在籍しています。一般には、両者をあわせて、日本にいる留学生と見なすことが多く、政府が目標に掲げた30万人に近い28万人になっています。
ただし、グラフからわかるように、アフリカからの留学生はそのうちのわずかに過ぎません。高等教育機関に在籍する留学生のほとんどがアジア諸国の出身者で、その比率は2023年で90%に達します。また、留学生のほとんどが私費留学で来ています。統計によれば、2023年の私費留学生は約27万人で、留学生全体の96%に達します。来日する留学生の数は増えたものの、そのほとんどはアジアからの私費留学生で、アフリカからの留学生はまだまだ少ないのです。
出所:(独)日本学生支援機構(JASSO)『外国人留学生在籍状況調査』1999~2023年度
2)日本に来るアフリカからの留学生数
絶対数では増えているものの、アフリカからの留学生数は近年でも2000~2500人程度です。アフリカからやって来る留学生のほとんどが、何らかの支援を受けています。アフリカは地理的に遠く、来日のための航空運賃が高い上に、総じて経済状況が厳しく、私費留学は難しいからです。その中で最も重要なのは、文部科学省の国費留学生です。
出所:(独)日本学生支援機構(JASSO)『外国人留学生在籍状況調査』1999~2023年度
まとめ
日本政府が掲げた目標「留学生30万人計画」に対し、2023年は約28万人の留学生を受け入れました。その9割はアジア諸国の私費留学生です。アフリカからの留学生は約2500人で、全体の1%ほどの数です。JICAなどの支援は増えているものの、経済的理由のため私費留学は難しく、国費留学もほぼ横ばいで推移しています。地域の重要性にもかかわらず、アフリカからの留学の道は依然として限定されているのです。
詳細記事
Ⅰ. アフリカの重要性
1)なぜアフリカから留学生を招く必要があるのか
2)なぜアフリカは日本にとって重要なのか
Ⅱ. 日本の留学生の受入状況
1)海外留学生数
2)国費留学生数(学部生)
3)国費留学生数(大学院生)
Ⅲ. 学部の留学生を呼ぶ意義
1)なぜ学部の交換留学生を呼ぶのか
2)なぜ東京外国語大学に呼ぶのか
3)日本社会に与える影響
概要. アフリカ人交換留学生を招く意義