朝鮮人シベリア抑留 私は日本軍・人民軍・国軍だった
- 刊行
- 著者等
- 金孝淳著、渡辺直紀訳
- 出版社
- 東京外国語大学出版会
内容の紹介
1945年、シベリア。「日本軍」として捕らえられ、抑留された朝鮮人青年たちは―― 日帝時代に徴兵され満洲に送られた朝鮮人青年たちは、解放と同時にソ連軍の捕虜となり、シベリアに抑留され、その間に故国は分断された。命からがら38度線を越えて南の故郷に帰った者たちに待ち受けていたのは、生涯に及ぶ過酷で非道な日々だった。 反骨のジャーナリストが、東アジアの現代史の空白に迫る渾身のルポルタージュ。
訳者のコメント
渡辺 直紀(本学非常勤講師)
抑留したソ連軍でも、彼ら朝鮮人兵士を最初は日本人だと思ってい ました。彼らの大半が日本名を名乗っていたからです。ようやく朝 鮮人であることが証明され、日本人兵士と分けられて「帰国」 の準備がされたものの、今度は彼らを受け入れる「国」がないとい います。第二次大戦後、朝鮮半島にここでいう「国」ができたのは 1948年のことです。8月に大韓民国が、9月に朝鮮民主主義人 民共和国が政府樹立を宣言したところ、ソ連軍は「 君たちを受け入れる国ができた」ということで、彼ら朝鮮人抑留者 のほとんどを、その年の12月に北朝鮮の興南に一括送還しました 。朝鮮労働党は彼らの「前歴」(旧・日本兵(含・関東軍))を問 わず、「社会主義祖国からようこそお戻りになられました」と受け 入れたといいます。ですが、当然のことながら、それからも彼らの 苦難は各様に続きました。――みなさんの「世界史」や「日本史」 の知識も十分に試される内容ですが、文体も平易なので読みやすい と思います。ぜひ手に取ってどのページからでも読み進めてみて下 さい。