研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか of EUおよび日本の高等教育における外国語教育政策と言語能力評価システムの総合的研究


2. 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか

 本研究は3年間の研究期間の内、第1に、ボローニャ・プロセスにより高等教育の大変革が進行しつつあるEU諸国、およびその影響の深いカナダ他の多言語社会の高等教育機関に研究分担者を派遣し、言語能力評価基準の実効性と透明性を検証する。特に、CEFRと他の言語テストシステムとの比較対照作業により、高等養育機関でのエラスムス計画、エラスムス・ムンドゥス計画による留学生の派遣と受け入れに必要とされる言語能力評価基準の活用の問題点を洗い直す。これにより、日本の中等・高等教育にとって、より適切な通言語的能力評価システムの再検討への方策を拓くものである。

 本研究は第2の研究課題として、いわゆる英検・仏検・独検など日本の各種外国語能力検定試験の各級別到達度評価基準の問題点を調査する。我が国において学生・社会人対象に法人等により主要な外国語能力検定試験が実施されているが、現状では社会的責任をともなう通言語間の共通性と透明性の観点から中等・高等教育での単位認定や入試判定・授業への直接的活用には問題なしとはいえない。中等・高等教育の連携の観点も導入する。

 計画第1年目からの重点項目として、EUの高等教育機関における外国語教育施策の最新動向を調査し、具体的な改善の取り組み事例を検証する。本研究の分担者には、到達度評価法の専門である英語学・英語教育学研究者を含め、各言語教育の専門家が協同することにより、高等教育機関におけるCEFR基準の受容調査とともに、他の言語テスト・言語能力測定システムの比較対照的検証を行う。

「3. 本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義」へ


「1. 研究の学術的背景」へ