はじめにーこの記事についてー
この連載のきっかけについては第1回(こちらから)をお読みいただければと思います...
※本記事内の写真は全て大西達貴によるものです。無断使用はご遠慮ください。
たびのないよう

前回(第2回)からだいぶ開きましたが、今年度(2026年度)もハワイスタディーツアーあります。今年度は東京外国語大学のメンバーで実施され、食と文化の伝統や保存、現在の在り方などに焦点を当てるものとなります。
※すでに募集は終了していますが、今年度のスタディーツアーについてはこちらから...
(https://www.tufs.ac.jp/trend/news/item-056287.html)
前回
- 入国審査の際に日本語で話しかけられる
- ランチ代の高さに驚く
- 午後のアラモアナビーチを地元の人々に混ざって散歩
3日目
時差ぼけをしないタイプなので、朝5時くらいに目を覚まして昨日買ったパン※をかじり、水筒にお水を入れてビーチまでお散歩へ。
※ハワイのパン、KING'S HAWAIIANのスウィート・ロール、日本でも買えるようになりました。
早朝のワイキキ。さすがに交通量も少ない。
ビーチも空いていて、歩くと砂が冷たい。
晩夏のハワイといえど日が完全に昇る前は空気もビーチもヒンヤリとしていて、静かな時間が流れていました。これを気に入った私は帰国まで毎日早朝の散歩をすることとなりました。

カヌーの舳先にハワイでおなじみのハンドサイン
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サーフボードがずらっと並んでいる小道があった
↑のカヌーの舳先にもある、ハワイではおなじみのハンドサイン(「シャカ(shaka)」サイン)ですが、表と裏で意味が異なっており、まず↑のイラストの様に相手に手のひら側が向いているのはひろく「アロハ(Aloha)」、すなわち挨拶から感謝までを幅広く表します。滞在中は見れませんでしたが、オアフ島の公共バス、「The Bus」が車線変更の際に進路を譲ると、後ろの電光掲示板に「Mahalo(ありがとう)」の言葉と合わせてこのハンドサインが表示されるようです。そして手の甲を相手に向ける場合は「Hang Loose(≒Take It Easy)」、「気楽にやろう」といったよりカジュアルな意味合いとなります。ただ、「アロハ(Aloha)」との使い分けはそこまで厳密ではなさそうです。(個人的には相手に手のひらを向けるパターンは手首が攣りそうになります。練習あるのみ。)
さて、ホテルに戻って荷物を積めると集合時間となったので農工大・外大の皆さんとホテルのロビーで集合し、手配したバスに乗ります。(かなりデラックスなバスが来ました。)
詳細は後述しますが、鉄道が開通したとはいえハワイは車社会で、幹線道路やフリーウェイ(高速道路)は渋滞していました。我々は中心部を抜けてパールハーバー北部の「パール・シティ」に向かっていましたが、反対車線(上り)は中央自動車道の高井戸インター付近くらい混んでいましたね。
バスに揺られること30分弱、一つ目の目的地ハワイ大学マノア校CTAHR (Collage of Tropical Agriculture and Human Resilience, 熱帯農業・人的資源学部)のUGC(Urban Garden Center)に到着しました。
ここでタロイモの収穫を体験するのですが、畑に入る前に土地への祈りとして謡「CTAHR OLI」※を捧げました。
※「CTAHR OLI」についてはこちらを参照(https://www2.ctahr.hawaii.edu/about/index.php)
スタッフの方からレクチャーを受け、タロイモを収穫していきます。地上に出ている葉柄をつかみ、地中に埋まっている球茎ごと引っこ抜きます。配られたお好み焼きのヘラのような、小さい鉈のような器具(鋭くない)で葉と茎、根を切り、1か所に集めていきます。
私たちが収穫したタロイモはフードパントリーに寄付されたようで、私たちが実食する分は事前に用意されていたものが作業をしている間に調理されていました。ハワイにおける伝統的なタロイモの食べ方は蒸したものをすりつぶしてペースト状にした「Poi(ポイ)」であり、私たちはそのすりつぶす工程を体験しました。
まず、調理器具として木の板(papa kuʻiʻai、パパクイアイ)と石器(kuʻi ʻai pōhaku、クイアイポハク)、そして水を張ったボウルを準備し、石器を水で濡らしながら蒸されて黄色くなったタロイモをつぶしていきます。スタッフの方による実演を見ていると、だんだんとタロイモがずんだ餡のようなテクスチャを増していきました。
論集にも記述があるように私たちも体験しましたが、なかなか実演の通りにはいかず、石器や木の板にくっついてしまうことも多々ありました。そんなこんなで完成したポイは主食のためそれ自体に味はあまりなく、ほんのりと甘い気がしました。時間がたつと酸味を帯びてくるようです。食感については上で述べたようにずんだ餡に近く、手で適量を摘んで少しずつ食べました。
スタッフの方は即興でパンノキの実でもポイをつくり、私たちも一つまみ試食しましたが、タロイモよりも味が薄くて粘度が低く、ジャガイモに近い味とサツマイモに近い食感でした。
実はこの時、UGCのボランティアや地域の方々が集まり、私たちへの歓迎として食事や飲み物を持ち寄る「Potluck(ポットラック)」ランチが展開されていました。ハワイ料理の主菜(お肉だった?)とポイを合わせて食べると、マッシュポテトに近い感覚でなかなかにおいしかったです。
昼食を終えると再びバスに乗り、次の目的地へ向かいます。
その途上、ダニエル・K・イノウエ国際空港の近くを通った際に、モノレールのようなものが見えたのでとっさに撮りました。
こちらはホノルル・スカイライン
ハワイで鉄道と言えば、アメリカ版の映画『GODZILLA ゴジラ』(ギャレス・エドワーズ監督、2014)ではホノルルが舞台となるシーンがあるのですが、その中で高架鉄道が登場していたのを思い出しました。作中では旅客営業していましたが、実際には2014年時点では建設中で、そこから約9年を経た2023年に開業したようですね。今回のツアーでは乗る機会がありませんでしたが、ツアー中にもっと鮮明な写真を撮ることが出来たのでのちのち掲載します。
バスに揺られること30分ほどで住宅街に降り、少し歩いてたどり着いたのはフードパントリー(無料の食料提供)施設「The Pantry」でした。建物は倉庫のような構造で、希望者は欲しい品目をオンラインで注文し、ボランティアが袋にそれを詰めたものを取りに来るというシステムになってました。私たちは説明を受けた後に食料のピッキングと箱・袋詰めをボランティアとして体験しましたが、多くの注文にお米(3号くらいの量で一袋の商品になっている?)が含まれていたことが特に印象的でした。慣れてきて食料の場所を覚えたこともあって手際よく作業が進み、その時あった注文票の分は全て終えることが出来ました。
私たちが午前中に収穫したタロイモたちはフードパントリーに寄付されましたが、倉庫にあった・寄付を受けた食糧はどうしても加工食品・保存食品が多く、生鮮食品へのアクセスの難しさという課題も実感しました。
作業後は解散となったので、一部の参加者はバスでホノルル中心部や博物館に向かったようですが、私は行きたい場所が別にあったのでワイキキに戻ることにしました。先生方とUberに便乗して30分、ホテルに戻って少し荷物を整理して、20数年ぶりの思い出の場所を目指します。
ビーチ沿いを走るトロリー。1940年代までの市内交通の主役は路面電車(streetcar)であった。
強い日差しを避けながらダイアモンドヘッドの方向、すなわち南東へ海岸沿いを歩き、ワイキキ水族館(Waikiki Aquarium)にたどり着きました。私はどうやら幼少期にこの水族館を訪れているようで、実際に過去のアルバムを見ると私が水槽の前に立っている写真がありました。
決して大きい水族館ではないですが、ハワイに生息する海の生き物をたくさん見ることが出来ます。そしてハワイ諸島固有種のハワイモンクアザラシ(ʻIlio-holo-i-ka-uaua)を展示している屋外プールに行くと、なんと研究のためカリフォルニアに出張中とのことでした。絶滅危惧種のため野生個体へのアプローチは厳しく制限されており、飼育個体は貴重ですので、しょうがないですね。
2026年度スタディーツアーの空き時間ではまた訪れて本物を見てみたいです。
ハワイの漁撈文化に関する展示もあり。
工事中ということもあり、水族館は30分ほどで見終わったので、海岸沿いの公園(カピオラニパーク)を歩いてホテルに戻ります。
カピオラニパークは、この前日に訪れたアラモアナ公園と同じように観光地というよりも、地元の人などがのんびり過ごす空間という印象を受けました。ただ、街灯があまりなさそうなので夜は少し怖いのかなとも思いました。
部屋に戻ると翌日のハワイ大学マノア校でのお米の試食会イベント・調査に備えて、早めに床に就きました。(といっても翌日も5時前には起きて散歩することになりますが...)
4日目につづく...
参考文献
- 大西達貴(2026)「ヴァナキュラーな風景を過去から今、未来へと繋いでいくこと―ハワイの生活文化・風景の変遷とその記録、活用から―」、足立峻輔、新井祥穗、大西達貴、神代ちひろ、東条文柄、根木優気、松平けあき、山中晃徳 編『2025年度ハワイスタディーツアー研究報告論集』東京外国語大学学際研究共創センター(TReND)ほか、74-79頁。
- Acson, V., 2024, Waikīkī Twelve Walks Through Time, Island Heritage.
- Stone, S. C. S, 2014, Yesterday in Hawaiʻi: A Voyage Through Time, New Edition, Island Heritage.