用言   ようげん   용언<用言>   《南》 풀이씨

    品詞の1つで、述語になりうるもの。下位部類に動詞存在詞形容詞指定詞がある。韓国・共和国では動詞・形容詞を品詞として認め、用言はそれらの品詞を総称するものと捉えている。


用言語尾   ようげんごび

    語尾のうち、原則として用言にのみ付くもの。終止形語尾、接続形語尾、連体形語尾、体言形語尾がある。


陽母音   ようぼいん   양모음<陽母音>, 양성모음<陽性母音>

    朝鮮語の母音調和における母音グループの1つ。現代語の用言の活用について言う場合は ㅏ および ㅗ を指す。中期朝鮮語について言う場合には、ㅏ,ㅗ,ヽ(아래아)を指す。   陰母音   母音調和


陽母音語幹   ようぼいんごかん

    母音語幹のうち、語幹末の母音陽母音である語幹。現代語では主に用言の語幹について言い、語幹末の母音が ㅏ,ㅗ 以外の母音である語幹を指す。   陰母音語幹    母音調和

 
リエーゾン   liaison   《南》 사잇소리   《北》 사이소리

    2つの要素が合わさって合成語を作るときに、要素の間に[ㄴ]が挿入される現象。2つめの要素の頭音が母音 [i] あるいは半母音 [j] であるときにこの現象が起きる。例えば、논 「田」と 일 「仕事」が合わさると[논닐]と発音される。1つめの要素の末尾が終声 ㄹ であるときは、ㄴ が流音化して ㄹ と発音される。例:볼일[볼릴]「用事」。なお、終声の初声化を「リエーゾン(リエゾン)」と呼ぶ学者もいるが、リエーゾンの本来の意味からかんがみれば、その名づけは妥当ではない。   「終声の初声化、사이시옷、リエーゾン」のページ


吏読   りとう   《南》 이두<吏讀>   《北》 리두<吏讀>

    漢字の音・訓を借りて朝鮮語を表記したもの。「りと」とも言い、「吏吐」、「吏道」とも表記される。漢文の翻訳で多く用いられ、文章は朝鮮語の語順で書かれる。広い意味では郷札口訣も含めて吏読と呼ぶこともある。
【吏読の例】


略待   りゃくたい

     해体


略待上称   りゃくたいじょうしょう

     해요体


流音   りゅうおん   흐름소리   《南》 유음<流音>

    子音のうち、舌で上あごを弾いたり、舌の両側から息をもらして出す音。朝鮮語には ㄹ があり、初声の位置では主に [r]、終声の位置では主に [l] と発音される。   子音口音鼻音


流音化   りゅうおんか   《南》 설측음화<舌側音化>   《北》 ≪ㄹ≫소리되기

    語中で、終声 ㄹ の直後にある初声 ㄴ、あるいは終声 ㄹ の直前にある終声 ㄴ が流音 ㄹ になる現象。신라[실라]<新羅>、열녀[열려]<烈女>など。ただし、終声 ㄴ と 初声 ㄹ の間に形態素の境界がある場合には ㄹ が鼻音化する。


連音[化]   れんおん[か]

     終声の初声化


連体形   れんたいけい   관형형<冠形形>

    用言の語形のうち、体言の前に来てその体言と関係を結ぶ形。用言の種類および連体形の時制により、複雑な体系を持つ。
  非過去 過去1 過去2 過去3 未実現
動詞 I-는 II-ㄴ III-ㅆ던 I-던 II-ㄹ
存在詞 I-던  
形容詞・指定詞 II-ㄴ  
    連体形の過去時制には3つの部類がある。過去1は通常の過去を表すものである。過去2は結果の残っていない過去を表すが、存在詞・形容詞・指定詞の過去2は、過去1と意味的に大差がない。過去3は時間的な幅のある過去を表し、動詞にのみ存在する。連体形の時制は、同一の形が異なる文法的意味を表すものがあるので(II-ㄴ、I-던 など)注意を要する。
    終止形の時制は、一般的に発話時を基準とした時制(絶対時制)であるが、連体形の時制は場合によって過去のある時点を基準とした時制(相対時制)としても用いられる。例えば、커피를 마시는 사람은 두 명 있었다.「コーヒーを飲んでいる人は2人いた」という文で、마시는 は 있었다 の時点から見て「現在」になるので、非過去時制が用いられている。


ローマ字表記法   ろーまじひょうきほう   《南》 로마자 표기법   《北》 라틴문자표기법

    朝鮮語のローマ字表記は、南北で政府の定めた表記法があり、地名表示などに用いられている。南は2000年に文教部が定めた「국어의 로마자 표기법(国語のローマ字表記法)」が、北は1992年に定めた「조선어의 라틴문자표기법(朝鮮語のラテン文字表記法)」が現在用いられている。
    上記以外に、学術界ではエール(Yale)方式がしばしば用いられる。また、韓国の旧ローマ字表記法であったマッキューン=ライシャワー(McCune-Reischauer;M-R)方式は、在韓米軍機関などを中心に用いられている。
    【人名等のローマ字表記】 韓国においては、個人や会社などのローマ字表記は各個人・各会社の判断に任されており、政府の定めた表記法に従っていない場合が多い。旅券などに記載されるローマ字表記にも統一性はなく、同一の名前でも異なるつづりである場合もある。例えば、「이(李)」という姓は「Lee,Yi,Ri,Rhee」など人によってまちまちである。したがって、ある人の名前のローマ字表記を知ろうとするならば、その人本人に確認せざるをえないのが実情である。
【それぞれのローマ字表記法】
母音
 
文教部式 a ae ya yae eo e yeo ye o wa wae oe yo u wo we wi yu eu ui i
Yale式 a ay ya yay e ey ye yey o wa way oy yo wu we wey wi yu u uy i
M-R式 a ae ya yae ŏ e ye o wa wae oe yo u wo we wi yu ŭ ŭi i
子音
 
文教部式 g,k kk n d,t tt r,l m b,p pp s ss ng j jj ch k t p h
Yale式 k kk n t tt l m p pp s ss ng c cc ch kh th ph h
M-R式 g,k kk n d,t tt r,l m b,p pp s,sh ss,ssh ng j,ch tch ch’ k’ t’ p’ h


6字母   ろくじぼ   《北》 륙자모<六字母>

    김두봉 が考案した正書法において、新たに作られた という6つの字母。いずれも主に変格用言など不規則な活用をする用言の語形を表記するのに用いた。1949年に朝鮮語文研究会から出された『朝鮮語文法』がこの字母を用いた表記法を採用しているが、実用にはほとんど資さなかった。김두봉の失脚とともに廃止された。

 
分かち書き   わかちがき   《南》 띄어쓰기   《北》 띄여쓰기

    単語と単語を離して書く正書法の規則。朝鮮語では19世紀末の『独立新聞』で初めて採用され、正書法としては1933年の 한글 맞춤법 통일안(ハングル正書法統一案)で正式に規定された。原則的に単語と単語を離して書き、語尾はつなげて書く。共和国の正書法では「1つにくくられるかたまり」という単位を認めて、複数の単語からなりつつも1つの概念を表すものは続け書きする。


話法   わほう

     間接話法直接話法