2017年度 活動日誌

3月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年3月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

今日、3月30日でヤンゴン大学は全学1学期の期末試験を終えて、これから2か月の長い休みに入ります。学生の姿もまばらになりました。

GJOには東京外国語大学からヤンゴン大学に寄贈された図書千冊以上が設置され、ヤンゴン大学生なら誰でも借りることができます。長い休みに入る前に常連の利用者が3人来ました。全員法学部の3年生で、よくマンガを借りるのですが、今回は日本語能力試験の問題集を借りていきました。

この3人はボランティアによる僧院の日本語教室で勉強しただけだそうですが、N2(上から2つ目のレベル)を今年受験するそうです。受け答えも流暢だし、部屋の出入にも必ず「失礼します」と言ったり、物腰も丁寧で、「日本人の礼儀正しい学生」と接しているような錯覚に陥ります。ヤンゴンの僧院では、ボランティアによる無料の日本語教育が実施されています。教師は基本的にミャンマー人ボランティアだそうですが、日本人が教えている所もあります。クラス編成などは各僧院によるそうです。本人の語学力にもよるのでしょうが、このように日本語力も高くてしかも感じのいいコミュニケーションが出来る学習者を産出出来るのは素晴らしいことだと思います。

GJOでは今のところ初級前半クラスしかないので残念ながら彼女たちに適したクラスはないのでこうやって図書の貸し出しで話をするだけです。GJOの学習者も彼女たちのように日本語力が高くて日本人に好感を持たれる日本語話者になってほしいです。

2月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年3月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

また暑い季節がやってきました。毎日最高気温35度を記録しています。

この暑い中GJOヤンゴンに爽やかなお客様がやってきました。昨年、一昨年とヤンゴン大学に語学留学していた国士舘留学の学生さんたち4人です。彼らが授業に参加した日はLEVEL3のクラスの授業がある日で、「~ています」を使って専攻・職業・住居などを言う文型を学習したところでした。それで、日本人とミャンマー人と互いの住居や専攻を訊きあう練習をしました。自己紹介しろとは指示していないのにミャンマー人学生たちは勝手に自分たちの名前や日本名を紹介していて、やる気満々でした。簡単な会話の後は一人ずつ前に出て練習済みの同じ文型を使って自己紹介してもらいました。ミャンマー人より日本人の方がむしろ緊張していたのが興味深かったです。学生たちがだんだん日本語を臆せず話すようになって来たのが嬉しいです。

1月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年2月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

非漢字圏学習者は漢字に対して苦手意識が強いので、漢字を書くのを楽しめるように一度筆を使って練習してみたいとかねてより思っていました。この度、在ミャンマー日本大使館に書道道具貸与をお願いしたところ、快諾いただいたので、新年の授業で書初めが実現出来ました。

本来ならば筆の持ち方・筆の運び方など、事前に時間を設けて練習するべきでしたが、なにぶん授業時間数が限られているので、いきなりぶっつけ本番の書初めとなりました。

書初めによく使われる言葉を教える暇もなかったので、漢字一文字から三文字までの自分の好きな言葉をいくつか考えておくように言っておきました。LEVEL3のクラスは割と平凡というか常識的な言葉が多かった中で目を引いたのが「大好き」と「お金」。これが自分の好きな言葉だと言われれば文句のつけようがないんですが。「お金」はmoneyではなく、ミャンマー人の大好きなgoldのつもりで候補に挙げたのか、それともやっぱりお金が好きだったのか、時間不足で真偽のほどは確かめられませんでしたが、「あまり書初めに使われない言葉だから」とやんわり言って候補から外させました。LEVEL5のクラスで変わっていたのは「可愛い」と「宿題」。宿題、好きなんでしょうか?宿題を出すと全員が嫌そうな顔をするのに。本当は密かに喜んでいたのでしょうか??ふうむ。

「これもだめ」「あれも変」「これは書初めで普通使わない」とせっかくの学生の斬新な発想を教師が切り捨て、ありふれた平凡な型にはめ込んでしまいました。学生の独創性を奪ってしまったのかも。もっと自由に選ばせれば良かったと少し反省しました。来年は、日本人から見れば突拍子もない言葉でも、本人が好きで、その言葉を筆で書きたいと希望すれば許可しようかと思っています。

学生たちは予想以上に上手にのびのびと筆を運んで習字を楽しんでいました。危惧していたように、墨汁をひっくり返してそこらじゅうを真っ黒に染めることもなく、借り物の筆の腰を全て折って破壊することもなく、無事に終えることが出来ました。これで漢字の形が良くなって、漢字学習にもっと力が入るようになれば喜ばしいのですが。

最後にこの場を借りて書道道具一式をお貸しくださった在ミャンマー日本国大使館に改めて謝意を表したいと思います。チェーズーティンバーデー(ありがとうございます)。

12月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年1月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

ヤンゴン大学の学生に少しでも日本文化に対する理解を深めてもらいたいと去年から少しずつ日本文化紹介を試みていますが、2017年の年末は、国際交流基金の日本語教育インターンシップで派遣された本学日本語教育専攻大学院生が、年の瀬の日本の習慣について紹介しました。紹介したクラスは日本語を勉強して3学期目、漢字もまだ100文字程度しか理解できないLEVEL3なので語彙を選びつつ、イラストや絵をふんだんに使っての講義となりました。

まず、年末年始というのは、1年のいつ頃のことをいうのかから始まって、年賀状の紹介、干支・年男年女、大掃除、しめ縄・門松・鏡餅などお正月に欠かせない飾り物の意味、年越しそば、除夜の鐘、初詣など短時間に盛りだくさんの紹介でしたが、みんな興味深そうに聞いていました。

理想は、この年末の日本の習慣について、ミャンマーと比較してミャンマー側の習慣を説明できるようになること、それぞれの習慣について疑問に思った点や興味を持ったことを質問できるようになることですが、道遥か遠しです。でも、とりあえず少しでも日本の文化習慣に対する理解を深めることが出来たと思います。



11月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年12月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

ミャンマーの国立大学では、教師はインジ―という短い上着とロンジーという腰巻風の布の伝統的な民族衣装を身に着けます。今学期GJOヤンゴンで日本語授業を手伝ってくれる、JFの日本語教育インターンシップで派遣された本学日本語教育修士課程の院生が仕事用に持ってきたのは脚にぴったり貼り付くような黒いスキニーパンツで、それをはくと、まるで中国人留学生の女の子で、どう見ても教師には見えません。それで、こちらでインジ―とロンジーを調達することになりました。

日本語講座の一番上のクラスの学生3人と待ち合わせて大学近くのゼー(市場)へ連れて行ってもらい、インジ―とロンジー選び。学生たちは色を決めたり、値段をきいたり、紐を結ぶタイプかホックで止めるタイプがいいか、知っている日本語を駆使して新しい先生を大いに助けてくれました。

ロンジーとインジ―を着ると、すっかり若い色白のサヤマ(女性の教師)の誕生です。学生たちがこのサヤマを早速週末、ヤンゴンの一番の見どころと言われるシュエダゴンパゴダへ連れて行ってくれるそうです。教室の外で実際に日本語を使ういい練習になるし、院生にとってもビルマ人の面倒見の良さに触れられて、お互いに幸先のいいスタートとなりました。

10月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年11月3日
GJO日本語講師 今井 己知子

ヤンゴン大学から本学へ3人の学生が留学中です。そのうち一人はGJOヤンゴンで日本語を勉強した国文科の学生です。今月の日本語教室便りは、留学中の国文科学生Thae Su Hlaingへのインタビューの中から抜粋してお届けします。

インタビューは、11月2日にFacebookのMessengerを使って音声で行いました。

1.1週間の生活を教えてください。

――9回授業があります。日本語の授業が6回と英語が3回です。

2.休日にしていること。

――ミャンマー人の先生(東京外国語大学客員教授)とミャンマー人の友達と遊びます。

――料理をします。

――図書館へ行って、本を読みます。

3.日本に住んでどうですか。

――天気が良いと思います。好きです。全然ホームシックはないです。

4.料理する時、野菜とかどこで買うんですか。

――武蔵境の業務スーパーへ行きます。業務スーパーは安いですから。

5.日本に来て驚いたことは何ですか。

――日本人がマスクをしていること。ヤンゴンから日本へ来る飛行機の中で4人か5人の人がマスクをしていました。日本に着いたら20~30%の人がマスクをしています。なぜ日本人はマスクしていること、好きなのか、驚きました。

6.自分の日本語で弱いこと・難しいことは何ですか。

――(ミャンマーで)話すこと。(東京で)今は全部大丈夫。一番難しいことは書くこと、漢字もひらがなも。。日本語で日記を書いています。

7.日本で何をしたいですか。

――旅行したいです。
(どこに行きたいですか)初めて大阪です。二番目は立山・黒部です。日本はどこでも行きたいです。
(どうして立山・黒部?)冬に雪がたくさん降ってきれいだと思いますから。

――アルバイトしたいです。ミャンマーにはアルバイトがありませんから。

8.ミャンマーへ帰るまでの日本語のゴールは何ですか。

――JLPT(日本語能力試験)のN2にパスするぐらいになりたいです。

以上です。

このインタビューの録音を後で聞きかえして驚いたのは、私が手加減せずにnatural speedで話していたにもかかわらず、彼女がちゃんと聞き取って正確に返答していたことです。彼女があまりにも自然に受け答え出来ていたので、自分がnatural speedで話していることにインタビュー中、全く気がつきませんでした。9月26日に来日して以来1か月ほどで、これだけ流暢に会話できるようになったのは瞠目(どうもく)です。

学習意欲が旺盛であること、若くて学習能力が高いこと、日本語のシャワーを浴びられる環境であること、そして日本でトップクラスの優れた日本語教育を毎日受けていること、この四つが合わさってこんな素晴らしい結果を生んだのだと思います。毎日ご指導くださっている本学日本語教育センターの先生方にこの場を借りてお礼を申し上げます。どうもありがとうございます。

それにしても業務スーパーで野菜を買うなんて、しっかり者の主婦みたいですね。全然ホームシックにかかっていないし、留学を心から楽しんでいるようで、安心しました。彼女が留学を終えて来年ヤンゴンに戻って来るのが楽しみです。

9月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年10月3日
GJO日本語講師 今井 己知子

8月下旬から3週間、本学ビルマ語学科1年生がヤンゴン大学国文学科に短期留学(ショートビジット)でビルマ語を学んでいました。その短期留学の一環として、ミャンマー人学生と自分たちで自由にテーマを決め、話し合い、発表するタンデム学習があります。GJOヤンゴンの日本語クラスでこのタンデム学習に参加を呼びかけたところ、初日の第1週目はクラスの半数以上が参加するという大盛況となりました。各グループのトピックはなぜか食べ物に偏っていましたが…。

4グループに分かれての話し合いでは、本学1年生のビルマ語とGJOヤンゴンで学ぶヤンゴン大学学生側の日本語では、意思の疎通がなかなか難しく、1年間本学に留学したヤンゴン大生3人と本学日本人留学生の助けも借り、英語も混じっての日・英・緬三カ国語のディスカッションとなりました。

第3週目にグループ発表をしましたが、9月半ばはヤンゴン大学の後期期末試験も間近なため、ミャンマー側の出席者は激減。それでもSS(ショートスティ)で4月に本学へ来たLEVEL4の学生(動物学専攻と国文科)2人とLEVEL2の学生(英語専攻)が発表しました。LEVEL4の二人は頑張って日本語で発表しました。その他、発表はしなかったけれど、同じグループの日本人学生の応援に来てくれたミャンマー人学生もいて、本学1年生の発表を少しハラハラしながらも楽しく見守っていました。

来年再来年に再会した時は英語を使わずにもっと突っ込んだディスカッションが出来るようになっていればいいですね。

8月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年9月6日
GJO日本語講師 今井 己知子

6月に始まったGJOヤンゴン日本語クラスも8月末に無事終了しました。

8月末の今学期最後のクラスでLEVEL3の学生に簡単な発表をしてもらいました。「みんなの日本語Ⅰ」の第18課で「私の趣味は~することです」という文型を習ったので、その文型に2,3の説明文を加えて自分の趣味について発表しました。当日出席したのは12人。このクラスでは、映画と旅行が趣味という人が一番多かったです。変わった趣味では「デパートで果物を買うこと」というのがありました。これを聞いてみんな爆笑していました。この映画・旅行に、読書・料理・歌を聴くこと・絵を描くこと・写真を撮ることと続くのですが、スポーツが皆無だったのが印象的でした。ただでさえ暑いヤンゴンで、わざわざスポーツをして汗をかくこともないということでしょうか。男の人たちが適当な場所を見つけてチンロン(籐を編んだボールを使ったサッカーのようなもの)に興じているのをよく見かけますし、ヤンゴン大学構内でも早朝ウォーキングをしている人をちらほら見かけますが、このクラスでは好まれないということですね。

授業中習った文型を使うこと、それを少し説明することとしか指示しなかったので、どんな発表になるか内心ひやひやしていましたが、みんな多少の文法の間違いはあってもなかなか面白く良くまとまっていました。もっともっと語彙や文法を学んで自分のことをたくさん日本語で話せるようになってほしいと思いました。

7月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年8月4日
GJO日本語講師 今井 己知子

今学期から少しずつ日本の風物や日本文化を紹介していこうと思っていたのに、七月七日が七夕だということをすっかり忘れていました。それで当日急遽カラーのコピー用紙を短冊に切、教室で願い事を書いてもらうことに。本学ミャンマー語科の交換留学生に七夕についてミャンマー語で簡単に説明してもらい、日本の七夕の写真を見せて、みんなも願い事を短冊に書きましょうということにしました。願い事を書く時は「~ますように」という文型を使うことを説明して、日本語とミャンマー語の両方で、どうにかこうにか願い事を短冊に書くことが出来ました。一つの短冊に2つも3つも願い事を書く学生もいました。願い事は結構バラバラで「日本語が上手になりますように」「お金がたくさんありますように」や家族の健康を願ったものや、「願い事がかないますように」といった願い事秘密主義なのか、よく分からないものもありました。

本当は笹が欲しかったのですが、何処でどう手に入れたらいいか分からなかったので今年はGJOヤンゴンオフィスの窓の柵に、折り紙で作った飾りと共にみんなで吊るしました。窓に吊るした折り紙の飾りが気に入ったみたいで「きれい」と、喜んでいました。みんなの願いがかないますように。☆☆☆☆彡

6月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年7月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

雨期真っ盛りのヤンゴンで6月12日に無事2学期の授業を始めることが出来ました。ミャンマーでは12月からが1学期、6月から2学期となります。4月スタートの日本人にとっては少し不思議な感じがします。今学期はそれぞれLevel1とLevel3が進級してLevel2とLevel4の2クラスを開講しています。

前期は急に増えたミャンマー語学科への留学生に当局の教室手配が追い付かず、非正規科目のGJOヤンゴンの日本語授業は、流浪の民のように色々な部屋をあっちこっちとさまよっていました。今学期はGJOヤンゴンオフィスのわずか二つ向こうの教室を使っていいことになり、機材や教材を運ぶのに大変便利になりました。もう一つ嬉しいことには、この教室は土足であがっていいため、今までのようにいちいち靴を脱がなくてよくなりました。去年1年間使わせてもらった教室は全て土足禁止で全員履物を脱いで入っていました。まるでパゴダに入るみたいだなと初めはちょっと驚き、面白く思いました。でも、神聖なパゴダは掃除が行き届いていて清潔なんですが、教室は人手不足のためそういうわけにもいかず、いつも足の裏が真っ黒になっていました。今学期はそのストレスもなく快適に授業が出来ています。

去年の経験から、学生が日本の風物をあまりにも知らない(本当にびっくりするぐらい知らないんです)ことが分りましたので、今学期から授業に出てきた新出単語で日本文化関連のものは写真を見せることにしました。日本に対する知識を増やしてもらい、学習意欲を高めるのも目的なんですが、教科書の練習問題に出てきた単語がよくわからないと、正解の文が作られないからという理由もあります。例えば、経験を問う文型を習った時、歌舞伎とすき焼きについて感想を述べる練習問題がありました。それぞれの経験について、どう思ったか形容詞がイラストで提示されています。歌舞伎については「きれいでした。でも、眠かったです」で、すき焼きについては「美味しかったですが、甘かったです」などと感想を言うのですが、その二つを知っている人には何の苦もなく当たり前のようにできる問題です。しかし、歌舞伎を知らない学生にとっては、形容詞のイラストが「きれい」や「すばらしい」を意味するのが分からないのです。すき焼きについては、食べてみないと味が分からないので、写真を見せても分からないのですけれども、何が入っているか写真を見せて説明するだけでも興味がわくようです。

先月は日本の象徴のような富士山・お花見・すもう・歌舞伎・お茶を見せました。その他、おにぎりだとか、蕎麦、すき焼き、紅葉、沖縄などです。画面一面に桜の花のピンク色が広がり、下には菜の花の黄色が帯を描いてる写真は特に美しくて、学生たちも「ほうっ」という感嘆の声をあげていました。相撲やお茶は奥が深いので、ちゃんと説明していたら何時間もかかりますから、極めて表面的にさらっと説明していますが、学生たちは興味津々の様子で楽しんでいるのがよくわかり、こちらも嬉しいです。いつも最後に言うのは、「是非日本へ行って見てみてね」と「美味しいですよー。是非是非日本へ行ったら食べてみてね」で、日本語教師と言うよりは日本の営業マンみたいだと思う今日この頃です。でも、本当に一人でも多くの学生に日本の素晴らしい文化美しい景色や美味しい食べ物を味わってほしいです。

おにぎりや蕎麦・すき焼き、色とりどりの美しい茶菓子など、説明しているこちらの方は郷愁と共に食欲を大いに刺激され、困ってしまいます。

この活動には本学ミャンマー語学科留学生が大活躍。私がした説明を即興でミャンマー語に訳してくれるので、学生たちも良く理解でき、大助かりです。彼女たちのおかげでこの活動も成り立っていると言えます。この場を借りて彼女たちの功績をたたえるとともにお礼を言いたいです。いつもどうもチェーズーティンバーデー。

5月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年6月5日
GJO日本語講師 今井 己知子

GJOヤンゴンの日本語講座は本学からヤンゴン大学への寄贈講座で単位が発生しない非正規授業です。授業は放課後に行われ、熱心な学生たちが自分たちの学部や専攻の授業が終わってわざわざミャンマー語学科の校舎まで通ってきます。日本に留学したい、日系企業に就職したいという希望を持って勉強している学生が多いです。今のヤンゴンでは日本語が出来ると高給が保証されているからです。でも、残念なことに全ての語学教室に共通していることですが、レベルが上に進むにつれて、数が減ってきます。

来なくなる理由は様々でしょうが、今年は出来るだけ定着して、継続して受講する学生を増やすよう様々なアプローチが必要だと考えています。自分が様々な語学に挑戦してはドロップアウトを繰り返してきたのを振り返ってみると、途中で習うのを止めてしまったのは、その言葉が使われている国や地域の文化に対する知識の欠如が考えられます。毎週毎週どんどん難しくなっていく文法を習うだけでは無味乾燥な感じでした。新しい語彙を習いながら、その語の写真を見たり、またはその語にまつわる話などを聞いたりすれば興味が増すと思われます。

ヤンゴンの町は日本車であふれかえっているのに、ミャンマー人の中には日本について無知な人が多いのが意外でした。とりあえず日本をもっと知ってもらうために6月から始まる新学期の授業で文化紹介を少しずつ取り入れようかと思案中です。

4月 ヤンゴン日本語教室便り

2017年5月4日
GJO日本語講師 今井 己知子

ヤンゴン大学は3月末に期末試験が終わり、4月5月と続く長いお休みに入りました。ヤンゴンは4月になると、連日35℃以上、体感温度42℃~49℃にすっかりもなる酷暑が続くので、キャンパスを訪れる学生は殆どいません。学生たちは帰省したり、友達と旅行したり、すっかり休暇モードに入ります。2か月もの休みの間、全く日本語に触れないでいるので、新学期が始まるころにはせっかく苦労して覚えた日本語も忘却の彼方に。特に漢字は簡単に忘れてしまうので、何とかしたいと思っていたところ、4月4日にヤンゴン外国語大学で行われた日本語教育セミナーで、国際交流基金の無料の表記学習アプリのビラがあったので、「渡りに船」と、早速翌日GJOヤンゴンのFacebookで紹介しました。

この無料アプリ”Memory Hint”は、スマホにダウンロードすれば、イラストや音声で漢字やひらがな・カタカナを自習出来て、クイズもあるというスグレモノです。ヤンゴン大学の学生たちも他の国の若者同様、スマホ大好きなので、このアプリなら手軽に勉強できるから、きっと学生たちも喜んでくれるに違いないと思って勇んで掲載したのはいいけれど、「いいね!」を教えてくれたのはたった12人です。「いいね!」と思っていないのか、クリックし忘れたのか、はたまたGJOヤンゴンのアカウントを訪れていないのか…。休みに入る前に「連絡事項はGJOヤンゴンのFacebookを通じてしますから、必ずよくチェックするように。分かりましたか?OK?」「はーい!」「OK!」と返事だけは調子良かったけれど。

Level 1の学生達の中には解読不可能なひらがなを書いたりカタカナをしっかり覚えていなかったりする学生もいるし、Level 3の学生は宇宙人の文字のような漢字を書く学生もいるので、来学期は文字学習を強化しなければなりません。それに、学生との連絡の緊密化、連絡手段の確立も新たな課題のようです。

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