2021年度 活動日誌

5月 ヤンゴン日本語教室便り

2021年5月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

相変わらずミャンマーでは国軍による支配が続き、暗いニュースがばかりが目に入る日々です。そこで、今日は現在のミャンマーやGJOを離れて、ミャンマー人の大好きな占いについて私の経験をお話しさせていただきます。

今を去ること40年近く前、まだ大学生だった私は、初めて当時のビルマ、ラングーンを訪れ、ラングーン観光の目玉ともいうべきシュエダゴンパゴダにもちろん連れて行ってもらいました。シュエダゴンパゴダは4つの入り口があり、それぞれ階段やエスカレーター、エレベーターなどで境内に登ります。境内に登るまでの参道に仏さまにお供えする飾り物や花、蝋燭、線香、土産物屋が立ち並び、賑わっています。そしてお店の他に、占いの館(?)のような所もあります。

約40年前に私が行った時は店の中ではなく、参道に机を置いて占い師の女性(ベーディンサヤマ)が座っていました。今は、占いに使うお金なんかもったいないわと思う還暦婆さんたちも当時は21、2歳のパッパラパーな(80年代の俗語で、「アホのこと、理解できない」という意味です)アホの女子大生です。当然占ってもらうことになりました。

一人目と二人目の友人は、「性格の良い男性と結婚して、子供にも恵まれ、お金持ちになってとても幸せになる」と言われて大喜び。次に見てもらった友人は「あなたは教師になりますよ」。4人目の友人は、「あなたは性格の悪い男と結婚するわ」。これで一同爆笑。5番目に私が見てもらった時は、開口一番、「アピョウジーピッメー」。周りのミャンマー人たちがぎゃーっと笑い崩れる中、ツアーガイドさんが「みなさーん、今井さんが、『オールドミスになる』って言われました!」と大声で、ミャンマー語が全く分からない他のツアーの参加者にわざわざ通訳してくれて、茫然と佇む私をおいて、一同大大爆笑。シュエダゴンパゴダの参道にミャンマー人と日本人のけたたましい笑い声がこだましたのでした。このベーディンサヤマは、さらに追い打ちをかけるように、「おまえは溺れる」。ひー。溺れる?何に溺れるのでしょうか。酒に?男に?どっちも縁がない私ですが、実は水泳が大好きなので、「溺れる」なんて、とても現実的で恐ろしくなってしまいました。4番目の友人と私に対する破壊的な予言を聞いた、残りの二人の友人はすっかり恐れをなして、占ってもらいませんでした。

ミャンマーの占いは良く当たると、これまた占い大好きのタイの友人は、出張でヤンゴンに来た時もわざわざ占いに行っていました。それぐらい評判のミャンマーの占いですが、実はこの時の占いは結構な確率で当たりました。1番目と2番目に見てもらった友人は占いの通り、よい男性と結婚して(「良い男性」の定義は何という問題は置いときまして)、子供に恵まれ、裕福に暮らしています。3番目の友人が「教師になる」と言われたのを聞いて、この時内心、「この占いは当たらないな」と思いました。3番目の友人は教師志望だったのですが、事情があって、卒業後教職にはつかないことになっていました。皆も心の中でそう思っていたようです。でも、紆余曲折の後、彼女はベーディンサヤマの占いの通り、教師になったのです。これにはびっくりしました。4番目の友人は「性格の悪い男と結婚する。」彼女の夫は私からみれば素晴らしい伴侶だと思うのですが、本人曰く、「性格の悪い男と結婚するやて。大当たりや。あの占い当たったわ」。そして5人目の私。不吉な予言はこれも大当たり。「いや、まだ最後まで分かれへんで」と友人たちは言いますが、もう今世で結婚することはないでしょう。ミャンマーの占いの評判を落とすまねはしたくないです。独身はいいですが、「溺れる」方はありがたくなく、プールで泳ぐたびにあの予言が頭をよぎり、少し不安になります。プールで溺れるって実は難しいですが。

よく当たるという誉れ高きミャンマーの占い、平和になれば、皆様も是非シュエダゴンパゴダを訪れられた際、お試しください。但し、ありがたくないことを言われても知りませんよ。

1982年12月、シュエダゴンパゴダにて

4月 ヤンゴン日本語教室便り

2021年4月30日
 GJO日本語講師 今井 己知子

昨年の秋学期から月に2回ほどのペースで行われたタンデム学習と、2月の集中講義に参加した学生に、デジタルの素敵な参加証明書を発行していただきました。メールアドレスが分かっている学生にはメールで、分からない学生にはFacebookのMessengerで参加証明書を送りました。学生たちはもともと本名でないアカウント名を付けることがある上に、このご時世で誰だか分からないアカウント名に変更している学生もいるので、探すのに一苦労しました。

送ってすぐ返事が来る学生もいれば、既読になってはいるものの返事が来ない学生、今日やっとネットが通じましたといって返事をくれた学生もいます。返事をくれた学生たちはとても参加証明書の授与を喜んでくれていました。彼らの励みになったようでありがたいです。

返事をくれた学生数名と4月上旬に少し文字チャットでお喋りしました。学生たちの近況、または心境を少しお伝えしたいと思います。原文そのままではなく、私が少し簡潔にまとめたり、または英語を翻訳したりしています。

学生1:emergency bagを用意して、日本語の本を中に入れているけど、何か起きた時にどこへ逃げていいか分かりません。近所の人のfiber wifiを借りているので長く使えません。早く大学のタウングーホールで会いたいです。

学生2:春の革命の勝利は近いと信じています。革命後日本へ来るのを楽しみにしています。少数民族の人たちは今までひどい目にあってきました。彼らの権利を守るためにも連邦民主主義を勝ち取らなければなりません。私も逮捕されないように活動します。革命が終わったら先生にも会いたいです。

学生3:大丈夫じゃない。毎日不安で何もできなかった。毎晩テロリストたちが来て昼も夜もみんなが心配でいます。GUNの音もいつも聞いてこわいです。(銃の音がいつも聞こえてこわいです)。それほど、負けるのがもっとこわいです。わたしたちを応援する日本人みなさんにいつも感謝しています。We never give up!

その他、私のミャンマー語学習を応援して、時々時事ミャンマー語を教えてくれる学生もいます。

彼女たちと交流出来て嬉しかったですが、emergency bagを作っていたり、毎日銃の音が聞こえる中で生活したりと、春のうららかな日本で生活している自分と同じ時代、同じ地球にいるとは思えないような学生たちの日々に落ち込んでしまいました。クーデターが始まってもう3か月。一刻も早い終息を願ってやみません。

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