


東京外国語大学長
東京外国語大学は、その起源を1857(安政4)年の蕃書調所にさかのぼるわが国でも最古の大学の一つである。過去150年以上におよぶ歴史のなかで、いくたびもの再編・統合を経験し、開成学校、東京外国語学校、東京外事専門学校などの時代を経て、1949(昭和24)年に東京外国語大学としてスタートを切った。それから約半世紀後の2004(平成4)年には、国立大学法人東京外国語大学として再スタートした。現在、本学のグランドデザインには、「地球社会化時代の未来を拓く教育研究の拠点大学」が掲げられているが、その目標に沿って、今後、グローバル化、少子高齢化などが生み出す厳しい競争的環境をのりこえ、教育研究面でのよりいっそうの充実と、その社会還元、さらには国際貢献に努めていきたい。
人材育成の基本目標としては、外国語学部・総合国際学研究科をとわず、本学は、次の4つの能力の養成とそれに見合った優れた国際人の育成をめざしている。
1)Communication (多言語社会に貢献するコミュニケーション能力)
2)Imagination(多文化社会をみつめるリアルな人間的想像力)
3)Exploration (グローバルな地域社会にひろがる精緻なリサーチ力)
4)Cooperation (地球社会と協働する果敢な行動力)
これらの能力の創造的な育成のうえに、地球社会化時代に通用するPresentation (卓越した自己表現力)を涵養する。
さて、本学は、2012(24)年4月より、2学部制(言語文化学部と国際社会学部)による新たな枠組みのもとで新たなスタートを切る。その改革の骨子は、次の通り。
1) わが国屈指の「地域研究の教育拠点」をめざして、前期課程においては、新たな対象地域として、アフリカ、オセアニア、中央アジアの3地域を加える。
2) 新たな地域言語として、南アジア学群にベンガル語を加える。
3)「世界教養」の理念のもとに、言語教育+地域教育+教養教育を有機的に組み合わせ、グローカリズム(グローバル+ローカル)教育を徹底する。
4)各学部の後期課程には、本学がめざす人材育成の目標に照らし、全体で6つのコースを置く。
一億総ひきこもりと言われる時代にあって、とりわけ3.11以後、国際ビジネスの最前線で活躍できるグローバル人材を育てることが、新たな国家的責務となっている。日本の将来は、彼らの双肩にかかっているといっても過言ではない。日本の「復活」に貢献できる人材を育てるため、今後、可能なかぎりの努力を重ねたい。また、アジア・アフリカ言語文化研究所は、世界のアジア・アフリカ研究をリードする地域研究の拠点として十全にその役割をはたしていく。本研究所こそは、「世界知の蓄積と地球社会との協同」の理念を、研究面において推進する母体である。留学生日本語教育センターは、この困難な時代にあって、わが国における日本語教育、留学生教育の新たなモデルとなるべく、新たな挑戦の道を歩みはじめる。