2018年度 活動日誌

3月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年3月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

4月13日から17日までミャンマーではティンジャンブエという水かけ祭りがあり、この期間はミャンマー全国がお休みになります。大学もお休みで多くの学生が帰省してしまい、ともにティンジャンを祝えないので、1カ月前倒しで3月に各大学でお祝いします。ヤンゴン大学では3月4日に行われました。

朝から国文科校舎の中庭で学生たちがテーブルを出して何やら作業している様子。何をしているのかしらと思っていたら、日本語講座の教え子二人が作りたてのお菓子を持ってきてくれました。モウンローンイエボーというお菓子で、お祭りの時に食べるのだそうです。もち米で出来ていて、上にココナッツのスライスをふりかけ、椰子砂糖がちょこんと乗っかっています。もち米で出来ているとはいっても、食感は白玉団子みたいで、あっさりして上品な味です。美味しくてあっという間に完食しました。中の幾つかに唐辛子を入れるそうで、「入っていたらラッキーです」と言われました。せっかくの白玉団子に何で唐辛子なんか入れるのかなと思うのは日本人だからでしょうか。学生にどうして唐辛子を入れるか尋ねると、「楽しくなりたいから」とのことでした。???私のには残念ながら入っておらず、全部大変美味しくいただきました。

その日の帰りに大学構内を歩いていると、学生の水かけ祭りに出くわしました。

ステージを組んで、DJと(年寄りにとっては喧しい)音楽でみんなが大いに盛り上がっている所へホースで上から水をドドドドっと噴射すると、さらにみんな狂喜乱舞。両手を上げて踊り狂っています。会場入り口付近に立てられた看板も、danceはいいけど、色粉をかけるのは禁止と、若者の水かけ祭りのはしゃぎぶりがうかがわれます。この羽目を外した楽しいお祭りが終わると、しばらくして期末試験に突入です。

2月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年2月28日
GJO日本語講師 今井 己知子

2017年度12月からヤンゴン大学の1年生は全員少し離れたHlaing キャンパスで一般教養科目を勉強することになりました。ここKamayutキャンパスとHlaing キャンパスは徒歩で40分、バスを利用しても15分から20分ほどかかります。1日の授業が終わって疲れているのに結構な距離を移動すること、雨期に入ると雨でさらに移動が大変になる(バスが来ない・激しい雨で外に出られない→もう、いいや。今日はさぼろう。)ことなどを考慮して、GJOヤンゴンでは2018年度12月から、LEVEL1のクラスを平日1日と土曜日1日に分けて開講することにしました。

この平日1日、土曜日1日の形態を学生がどう思っているのか知りたいと思い、アンケートを取ってみました。アンケートは質問事項を英語で作成したものをミャンマー人の友人にミャンマー語に訳してもらいました。2月22日23日の授業中に配布し、授業中に回収しました。その結果を簡単にご報告します。

2クラスとも2日間に渡り調査しました。出席していたのはのべ56名でした。無記名で、専攻と学年を記入する項目を設けたにもかかわらず、専攻無しが2名、学年なしが3名もいました。専攻別に見ると文系が34名、理系が20名、未記入が2名です。学年別にみると、1年10名、2年25名、3年4名、4年10名、5年、修士課程などはその他に分類して4名、未記入が3名でした。文系が圧倒的に多いのかと思っていたのですが、3:2の割合でした。学年別にみると、2年生が半数近くを占めていますが、これは1年大学で過ごして来て、GJOヤンゴン日本語講座の存在を知って、受講するようになったのだと思われます。

さて、質問内容をみていきましょう。「1.受講日はいつがいいか、次から一つだけ選んでください。A.平日2日 B. 平日1日と土曜日1日 C. どちらでもいい」で、Aが12人、B37人、C7人という結果になりましたので来学期もこの平日1日土曜日1日の形態でいこうと思います。1年生の便宜を図ってこのようにしたのですが、アンケートに答えてくれた1年生10名のうち8名がBがいいという回答だったので、これで良しということですね。

「2.どうしてこの講座を知りましたか。A. GJOヤンゴンのFacebookを見た8名。B. 友だちから聞いた21名。 C. 友だちがGJOで習っていた12名。D. 自分の専攻の先生から勧められた12名 E. その他3名」という結果になりました。BとCの友達関連が半数以上で、一番多いのですね。Facebookでの認知度はまだまだ低いみたいですが、12月から友達申請が急増し、友だちが500名以上に達したので、来年度はAがもっと増える可能性もあると思われます。専攻の先生に勧められたというのは、GJOヤンゴンのオフィスがある国文科だけかと思ったら、物理学科、コンピューターサイエンス、地理学、国際関係学科、人類学科など6学科にわたっていたのが意外でした。

さて、3つ目の質問は、「どうしてこの講座で勉強していますか。」です。複数回答可で、A. 日本語が出来るようになりたい、46名、B. 日本に興味がある(マンガ・アニメ・食べ物・国など)33名。C. 無料だから8名。D. 大学内にあって、便利な所に位置しているから。26名。E. 日本の大学が主催しているから10名という結果が出ました。Cの無料だからというのがもっと多いと思ったのですが、あまりお金は問題じゃないみたいですね。Eの日本の大学が主催しているのを選んだのが少ないのは、学生たちの一連の言動から判断するに、どうもこの事実が認知されていないせいだと思われます。今年の12月から始まる新クラスでは、本学TUFSが開いている講座であるということを強調しておこうと思いました。

最後の質問は「4.あなたの日本語のゴールは何ですか」です。結果はA. 友だちと日本語で日常会話が出来るようになりたい11名。B. 仕事で日本語が使えるようになりたい45名!C. 日本のテレビ、映画、アニメなどが分かるようになりたい14名。複数回答可にしましたが、仕事で使えるようになりたいと思っている学生が過半数を占めるなんて予想外でした。日本企業や日本相手の仕事はヤンゴン大生にとって魅力的ということでしょうか。

今回は時間がなくて、とても大雑把な質問しかできませんでしたが、次回はもっと準備に時間をかけて面白い分析結果が出るようにしたいと思います。

写真は院生の先生とLEVEL1の学生たちです。

1月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年1月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

去年に続いて今年も在ミャンマー日本大使館のご厚意で書道道具一式をお借りして書初めが出来ました。

今年は去年よりもずっと参加者が多く、LEVEL 3、LEVEL5併せて19人になりました。今年も本学日本語教育大学院生が、講師を務めてくれて、書道道具や書道の心得などを一通り説明したあと、それぞれのクラスのレベルにふさわしい書初め用の漢字を紹介してくれました。

去年は書初めにふさわしい言葉にこだわって型にはめてしまったという反省もあり、今年は院生の先生に全くおまかせした結果、学生たちの好きな言葉を書くことになりました。今時の学生らしく、自分の好きな言葉をスマホを使って日本語に翻訳していました。先生にきれいに筆でお手本を書いてもらい、何種類かの言葉を書いた後、本命の文字を清書する学生もいれば、初めから1種類の文字をひたすら一生懸命練習する学生もいて、それぞれの学生の個性が出て、興味深かったです。

今年は去年と違って色々な言葉が出ました。LEVEL3は「幸福」・「名声」・「愛」・「家族」・「健康」・「花火」・「健」・「笑う」・「希望」・「人間」。LEVEL5は「数学」(どうしてこの言葉を選んだか分かりませんでした)「花子」(これもどうして?)「勇敢」・「真実」・「明治」(歴史が大好きだから)・「葉月」(自分の日本名です)・「教育」・「希望」・「猪」。LEVEL3は優等生的な立派な言葉が多かったのに比べてLEVEL5はユニークな言葉が見られました。これもクラスの個性が反映していて面白かったです。


12月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年12月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

12月になり、新学年が始まりました。GJOヤンゴンでも日本語の超初級クラスが始まります。今年はGJOヤンゴン始まって以来の最多数で何と、241人がLEVEL1に登録しました。どうしてこんなに受講希望者が増えたのでしょうか。

○やっと大学内でGJOヤンゴン日本語講座の存在が認知され出した。

○ミャンマーにおける日本語学習熱の高まり

○GJOヤンゴンの講座で勉強すると、成績優秀者は10日ほど日本短期研修のご褒美がある

考えられるのはこの3つぐらいです。

日本語を勉強したいという学生がたくさんいるのはありがたく、嬉しい限りですが、240名を一つの教室で教えることは不可能なので、とりあえず二つのクラスに分けて120名ずつにしました。これでも外国語学習のクラスとしては問題外の大きさです。

教室やら教材やら準備に大わらわで12月7日のオリエンテーションを迎えたところ、出席したのはたったの188人!50人はどこに?さらに授業が本格的に始まりだすと出席者は150人程度に。12月29日が2018年最後の授業でしたが、二クラス併せて83人に。1カ月もしないうちに100人も減ったことになります。毎年3月の期末試験は、面白いことに、70名でスタートしても100名以上でスタートしてもなぜか30名に落ち着きます。今年もそうなるのでしょうか。

ミャンマー語は日本語と語順が同じで、他の文法もかなり似ているので、ミャンマー人学習者にとっては非常に習得しやすい外国語のはずですが、脱落する理由は日本語の表記にあります。私たち日本人にとっては全くなんでもないひらがな・カタカナが、外国人にとっては摩訶不思議な形をした習得困難な「悪魔の文」に見えるらしいのです。

学生のひらがなの宿題を見ていると、「す」と「お」と「む」が、そのどれでもない形に書かれていたり、「ふ」がクラゲみたいな形になっていたりで、こちらのひらがなの概念、認識が破壊されそうになります。

文字を覚えないとある程度のレベルまでしか進めないので、ここはどうしても覚えてもらうしかありません。みんな20歳前後の若いフレッシュな脳みその持ち主ですから、覚えられないことはありません。せいぜい脳のしわを増やしてもらうことにしましょう。

写真は、年の瀬12月29日の授業に健気にも出席してきた学生たちです。

11月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年11月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

ヤンゴン大学から本学へ今年も3人の学生が留学中です。今年は3人ともGJOヤンゴンで日本語を勉強した学生たちです。そのうち2人の国文学科生Su Wint Monさんと Hnin Eaint Waiさんにインタビューしました。その中から抜粋したものをお届けします。インタビューは一人ずつFacebookのMessengerを使って音声で行いました。

以下、S=Su Wint MonさんH = Hnin Eaint Waiさん

  1. 1週間の生活を教えてください。
    S:月曜から金曜まで大学で勉強します。家で明日のため予習します。
    H:月曜から金曜まで8:30から夕方だいたい5:30に終わります。日本語も英語も勉強します。水曜日は一つだけあります。
  2. 休みの日は何をしていますか。
    S:日本人とミャンマー人の友達と東京の周りに行きます。渋谷とか新宿とか、牛久の大仏も行きました。私は仏教徒ですから、大きい仏像が見たかったです。
    H:時々宿題をしたり、部屋を掃除したり、友だちと出かけたり、東京の有名な所へ遊びに行きます。
  3. 日本に来る前と来てからでは日本に対する印象は変わりましたか。
    S:日本に来る前は日本人は他の人のことを気がつかないと思っていました。でも、来てからは、日本人は他の人のことに気をつくと思いました。
    (注)Su Wint Monさんは友達にケーキを買いたいと思い、どこがいいか日本人に聞いただけなのに、その日本人は自分でケーキを買って、Su Wint Monさんにくれたそうです。
    H:前と変わりません。
  4. 自分の日本語で難しいこと、弱いと思う点は何ですか。
    S:文章を読むことです。難しい漢字があるからです。漢字の読みが難しいです。音読みと訓読みがあります。
    H:漢字です。意味は分かっても音が分かりません。自分で書く時に書けません。
  5. この2か月間(日本に住み始めた2か月間)で一番印象に残っている経験は何ですか。
    S:日本人はいつでもどこでも並んでいます。ラーメンを食べる時も並びます。
    H:外語祭です。語劇で、日本人がミャンマー語で話していることを聞いて可愛いと思いました。そして自分もミャンマー語劇に出たことです。
  6. ミャンマーへ帰るまでに日本で何をしたいですか。どこへ行きたいですか。
    S:京都へ行きたいです。神社がたくさんあると聞いたからです。住み心地がいいと日本人から聞いたからです。日本人の友達は京都が好きで毎年行きます。
    H:一人で旅行したいです。ミャンマーでは親がだめと言うから一人で旅行できません。でも日本は安全ですから、一人で旅行したいです。
    沖縄へ行きたいです。海がきれいだし、食べる物もおいしいと聞いたからです。それに住宅と踊りは面白いからと思います。
  7. ミャンマーへ帰るまでの日本語のゴール、目標は何ですか。
    S:JLPT(日本語能力試験)のN2を受けたいです。
    H:JLPT(日本語能力試験)のN1に合格することです。

この二人はミャンマーで日本語を熱心に勉強してきたので、生活するのに不自由は感じていないようですが、それでもやはり漢字には悩まされているようですね。教える側の悩みでもあります。あまり漢字を詰め込むと拒否反応を起こして、日本語を嫌いになられても困りますし、普段漢字を見ることのないミャンマーでたくさん習っても実生活で触れる機会がないので忘れてしまいますし。

人がある国を好きになるかどうかは、その国での経験、その国の人との交流に大きく影響されると思います。Su Wint Monさんの、「日本人は気が付かないと思っていた」という日本人に対する印象は、彼女を取り巻く環境や、ミャンマー人と日本人の親切の概念、人に対する接し方の違いなど、様々な要因により形作られたのですが、興味深かったです。私も東南アジア3カ国に住んでみて、各地の人々の行動パターンや物事に対する反応の違いに驚いたり、喜んだり、感激したり、怒ったりして少しずつその国の人たちに対する理解・共感または納得、または諦め(私個人にとっての収拾のつかない精神的溝)を深めていきました。一個人の非常に狭い範囲での経験でしかありませんが、私なりの○○人像が良くも悪くも出来上がっていて、しかも新しい経験をするごとに更新中です。彼女も今まさに異文化体験の真っただ中にいます。「なんでも並ぶ」不思議な日本人の中で彼女なりの日本像がどう形作られていくのか、どう変わっていくのか、話を聞くのがとても楽しみです。

10月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年10月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

10月は大学の授業がないので、GJOヤンゴンの日本語講座もお休みです。来学期からの授業で使える、生教材(教材用に作られた物ではない物)を求めて町に出ました。

すると、ヤンゴン大学の少し北にあるインヤー湖にPARK RULEと銘打った標識が何本か立ててあるのが目に入りました。

このインヤー湖というのは、イギリス植民地時代に作られた人造湖で、市民の憩いの場になっています。日中はさすがに強烈な直射日光を遮るものがないので、人影もまばらですが、早朝や日差しが緩やかになる夕刻、または夜になると涼を求めて人々がやって来て、湖の土手などで散歩したり、運動したり、グループで輪になってお喋りに花を咲かせたりと、思い思いのスタイルで楽しんでいます。

このインヤー湖に立ててある標識は、6つの禁止事項がイラストで描かれているので、日本語初級で習う文型、「~ないでください」の練習にぴったりです。早速写真を撮って授業で使うことにしました。

上の左―「魚を釣らないでください」。うちの外人教師寮でも、寮で働く男性たちは釣り竿の手入れに余念がありません。インヤー湖で釣っていると言っていました。

上の右―「泳がないでください」。まさかこの水質で泳ぐなんて、自殺行為だと思いますが、そんな猛者がいるのでしょうか。中の左―「バイクに乗らないでください」。これは守られているようです。中の右―……。「デートしないでください」とか「キスしないでください」とかでしょうか。「デートしないでください」を意図しているとしたら、全く効果なしです。実はインヤー湖は若者たちのデートスポットとしてとても有名なのです。

毎晩毎晩、土手のいたる所で幸せそうなカップルが仲睦まじくしている様子が見られます。下の左―「音楽を(大きな音で)聞かないでください」?「音楽を演奏しないでください」。これも無視されています。ギターを弾いている若い男性を仲間が囲んでいたり、恋人が寄り添っていたり。下の右―「物を売らないでください」。堤防の道には、お菓子やら軽いスナックやら風船を売る物売り達を時々見かけます。

禁止するということは、その行為をする人がいるということです。学生たちは、この禁止事項についてどう思っているのでしょうか。自分たちもこのルールを破っているのでしょうか。練習した後できいてみたいと思います。

9月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年9月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

9月に学年の年度末を迎えるヤンゴン大学では9月7日に留学生たちの閉講式がありました。GJOの日本語講座で通訳をして授業補佐をしてくれていた本学ミャンマー語学科からの日本人留学生4人も無事留学を終えることが出来ました。閉講式では、男子学生がミャンマー語でスピーチをして1年の留学の成果を披露し、女子学生3人はそれぞれ艶やかな伝統衣装に身を包み激しく華やかなミャンマー舞踊でやんやの喝さいを浴びました。彼らの晴れ姿をどうぞご覧ください。

また、9月5日にはヤンゴン大学に短期留学中の本学ミャンマー語学科1年生とGJOの日本語講座の学生によるタンデム学習の発表会がありました。ミャンマー人学生と日本人学生が合同で、食べ物か歴史について自分たちで話し合い、調査・発表をしました。写真は当日の発表の様子です。日本人はミャンマー語でミャンマーについて、ミャンマー人は日本語で日本について話しました。今年はいくつかのグループが水曜日の授業以外にも自主的に集まり、相談していました。タンデム学習の話し合いに出るためGJOの日本語授業を休んだり、大幅に遅刻してくるミャンマー人学生も出てきたほどです。こんなに熱心に積極的に取り組むとはびっくりするやら嬉しいやら。ミャンマー人学生にとって、このタンデム学習の経験はかなり楽しく有意義だったようです。これで日本語学習に対するモチベーションも大いに上がったのは間違いなしですね。ありがたい!

8月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年8月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

ミャンマーの大学では9月中旬から下旬にかけて2学期の期末試験が行われます。それで大学の正規科目ではないGJOヤンゴンの日本語講座は9月上旬に一足早く期末試験を行います。8月末に教科書の勉強を終えたLEVEL4のクラスに今まで習った日本語の知識を総動員して「私の将来」についてスピーチをしてもらいました。スピーチをするよう申し渡したのが月曜日で、実際に行ったのが金曜日。学生にとっては週末をはさんでいないのでゆっくり準備出来なくて苦しかったと思いますが、それでも頑張ってやってくれました。学期が終わりに近づいているので専攻の試験やらお別れ会やらがあったり、体調不良や家族が病気だったりで、この日出席できたのは6人だけでした。

みんなの夢は、教師になること・日本で働くこと・世界旅行して、色々な国の料理を食べること・大使館で働くこと・有名になること・色々な国の言葉を勉強して教えること・アニメーションの勉強をすること・会社経営をして億万長者になること・お父さんとお母さんに欲しいものを買ってあげること・シャン州(ミャンマー北部の州で年中涼しい)に家を買って、イチゴの苗を植えて、そこで暮らすことなどでした。色々な夢があって、意欲があって、つまりは希望があっていいなあと羨ましささえ感じました。

普段の教室での会話からも分かるのは、日本語を勉強している学生たちは海外へ行ってみたいと強く思っていることです。経済的な面やビザの問題もあり、私たち日本人ほど簡単に海外へ行けない彼らにとって、海外へ行くことはなかなか難しいことですが、かなえたい夢があるのは楽しみでもあると思います。お金があってビザも問題なく、何処でも行けるけどどこにも行きたくない、興味がないというより、いつか色々な国へ行きたいと夢見られるのは幸せなことではないかと思わされました。授業の最後に「夢がかないます(ように)」という文を教えてこの日は終わりました。あと数年したら社会へ巣立つ彼らですが、いつまでも夢を持ち続けて欲しいです。そしていつか本当に彼らの夢がかないますように。



7月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年7月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

早いもので先日GJOYangonで3回目の七夕を迎えました。1年目は着任したばかりで右も左も分からず学生に七夕を紹介する余裕など全く無く、2年目はうっかり7月に入るまで思い出さずでしたが、今年はやっと笹を準備することが出来ました。

6月下旬からどこに笹があるか調べて、大学構内にたくさん手ごろな太さのが生えているのを発見。物色の結果、大学構内の教会前にある敷地に植えられているのが一番手ごろだと分かり、本学交換留学生の男子に通訳してもらい、写真のインド系の管理人のおじさんに小枝を切っていただきました。

LEVEL2とLEVEL4の学生に去年と同じように短冊に願い事を書かせました。去年同様、だいたい「日本語が上手になりますように」や「日本に住むことができますように」「日本に行けますように」「世界旅行できますように」「両親が元気でありますように」が多く、韓流スターの名前を挙げて、「○○に会えますように」「○○のコンサートへ行けますように」などというのもありました。日本人のスターじゃないのが悲しいですが、このところ日本人の若いスターは韓国勢に押され気味ですから仕方ないのでしょうか。来年は短冊に日本人の名前を書いてほしいものです。今回変わったところでは、「日本人になれますように」(国籍を変えるつもりかしらん)と「せいこうしゃ(成功者)になれますように」(意欲的。素晴らしい)や、「携帯電話が買えますように」などがありました。

今年は笹を準備できたので、LEVEL4の学生が、「今年は本当の七夕です」と嬉しそうに言ったので私も心から嬉しかったです。ただ、LEVEL2の笹は、細いのに学生が多くて短冊が重かったのと、背が低くて短冊をくくりつけるのに苦心した学生が引っ張ったため、全員が短冊を飾り付けた時には実は折れてしまいました。来年はもう少し太めの笹をもらうようにしましょう。

みんなの願いがかないますように。☆☆☆。

6月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年6月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

本学の世界展開力強化事業における「日本発信力強化に貢献するミャンマー・ラオス・カンボジア知日人材養成プログラム」の一環として短期Joint Education Programがあります。今年で3年目のこのProgramでGJOヤンゴンの日本語講座で学ぶヤンゴン大学の学生5人が7月中旬から日本を訪れ、本学で様々な講義を受けたり、社会見学につれて行ってもらったり、日本人のお宅にお邪魔したりすることになっています。このProgramに参加することになった5人は何か月も前から大興奮の大喜び。ところが、世の中そんなに甘くありません。皆が待ちに待ったこの盛りだくさんのProgram2日目にミャンマー人学生による日緬比較のプレゼンテーションが予定されています。6月初めにその旨伝えると、一瞬緊張が全員の顔に走り、さらに、プレゼンテーションは出来るだけ日本語で行うよう、難しい箇所は英語かミャンマー語でも構わないと東京側から言われていると追い打ちをかけるように言うと、全員キャーキャーと戦々恐々とする始末。

GJOヤンゴンの日本語講座は正規授業が終わった放課後の時間を利用して行っているので、時間的制約がかなりあるため、彼らの日本語能力は初級前半も終了していないレベルです。この日本語力でプレゼンテーションを行うのは相当無理がありますが、内容が充実していれば、または努力の跡が見られれば大目に見ていただけるだろうと、学生の自立学習を妨げるようなことは敢えてせず、傍観を決めて一か月。6月最後の週にリハーサルをして、フィードバックしてほしいと全員が言うので、やらせてみたところ、予想通りの目を覆いたくなるような惨状で、どうしてフィードバックしたものか途方に暮れるばかり。でも、どうにかこうにか問題点を伝え、改善点のヒントを与えその日は終わりました。残念ながら来日前クラスは時間がなくて再度リハーサルする時間を取れなかったので、彼らがどう改善したのかは東京での本番まで分かりません。

大いに気を取り直して本件の良いところを考えると、このプレゼンテーションを行うにあたって、感心なのは大人の手が入っていないということです。誰にも入れ知恵された形跡がなく(それだけかなり凄い代物だということですが)、学生が自力で課題を調べ、プレゼンテーションの構成を考え、原稿を書き、発表したということは誠に喜ばしいことだと受け止めたいと思います。結果はどうあれ、自立学習の経験になったことは確かだと思いました。このような機会を与えて下さったTUFS及び世界展開力のプロジェクトに謹んでお礼を申し上げます。ありがとうございます。

ただ、プレゼンテーション本番で、日本側の聴衆の皆さんのお顔に?マークが浮かぶのが目に見えるようですが。

5月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年5月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

5月も授業がありませんので先月に引き続きミャンマーの生活を少しご紹介したいと思います。

4月中旬にミャンマーは新年を迎えます。13日ごろから休みに入り、17日に新年を迎えるのでこの時期まとまった休暇が取れます。このお正月が終って少しすると、袈裟ではない普通の恰好で頭を丸めた人たちをちらほら見かけるようになります。ミャンマーの善男善女がこのお正月休みを利用して一時的に仏門へ入るため、剃髪するのでこのような人たちを見かけるのです。

ミャンマー人の女性は普通黒髪を長く伸ばしている人が多いのに、この時はバッサリ切るどころかつるつるに剃り上げてしまうのには感心してしまいます。不信心者、いい加減仏教徒の私にとってはかなり勇気のいることですが、彼女たちの表情は晴れやかで誇らしげです。

写真の男性二人は外国人教員寮でお世話になっている公務員の方達です。左の男性は本当は去年得度したかったのにお金が無くて断念。今年46歳で念願の得度を果たしました。得度と言うと、仏教徒にとって誇らしい華やかな行事であるので、家族がそろって行うのだと思っていたのですが、この男性の場合一人でバスに乗って、首都ネーピドー近くの僧院へ行ってすませたとのこと。とても仲の良い奥さんや、子供たちは来なかったのか尋ねると、市場で働く奥さんは、お正月前の書入れ時で商売が忙しかったので職場から離れられなかったし、子供たちもそれぞれ仕事があるから来なかったとのことでした。

もう一つ興味深かったのは、得度は修行する寺によって、そして同じ寺でも人によってかなり環境が違うということです。この男性二人はクーラーのない所で出家していたそうなので、不信心者の私はまたまた感じ入りました。4月の、あの、クーラーを16度に温度設定してもちっとも涼しくならず、熱中症にかかりそうな暑さの中で、クーラーなしで仏教の修行なんて、考えられない。でも二人は、「凄く良かった。お金があればもう一度やりたい」と喜色満面でした。

写真の女性たちはヤンゴン大学国文科の先生たちです。年上の方の先生は、お母様と二人、母娘でクーラーのある部屋で修行されたそうですが、同じ僧院にはクーラーのない部屋もあるのだそうです。他の写真をご覧いただくとお分かりかと思いますが、美しく清潔な立派そうな僧院ですよね。このお二人の先生方も、また是非出家したいと爽やかに言っていました。

私は善男善女すべてが酷暑の中で苦行するのだとばかり思っていましたが、出家の経済状態によって選ぶ僧院も、さらに僧院内部の部屋も違うのですね。ブッダが生きていらした時代にはクーラーなんてもちろんなかったから、酷暑の中の苦行の方がよりブッダに近づける気がするような、でも、それは自虐的であまりにも辛すぎるような…。煩悩だらけの凡婦の私はそう思ってインタビューを終えました。

4月 ヤンゴン日本語教室便り

2018年5月4日
GJO日本語講師 今井 己知子

ヤンゴン大学は3月末に1学期の期末試験を終え、長期休暇に入りました。GJOヤンゴンも授業がありませんので今月はミャンマーの風物についてお便りします。

4月初めに大雨が降った翌日、朝起きてドアを開けてみると、建物中にふくいくとしたいい香りが漂っています。殺風景な寮にまるで天使が降りてきて祝福しているような素晴らしく気持ちのいい香りです。町に出てみると、老若問わず、女性たちが黄色い小さな可憐な花をかんざしのように髪に挿しています。ミャンマーの民族衣装を着ている女性も洋装の女性もまるでそれが規則のように花を身に着けていました。

一晩でいったい何が起こったのかしら、何かのお祭りかしらと寮の門番のおじさんに訊いてみると、パダウの花が咲いたのだと教えてくれました。

写真の黄色い花がパダウで、毎年4月初めごろ、雨が降った翌日一斉に咲くそうです。この花が咲くと、そろそろミャンマーの正月が近いづいてきたなと思うのだそうです。

写真は街角の露店の惣菜屋の店の壁に挿されたパダウです。昼ごろになっていたのでもう枯れかけていますね。このミャンマー人に愛されている花は大変儚くて花が咲いてたった一日で枯れてしまいます。だから街中の人が一斉に身に着けて楽しんでいたのですね。

国花:パダウ

PAGE TOP